例え、違っていたとしても
困難に立ち向かった経験は、
必ず、得るものがある。
序論:反る動作が多いバレエ
体を後で剃る動作で、首が力んでしまうケースは多い。
最もわかりやすいのは、バーレッスンでのバックベンドだろう。
✳︎後ろのカンブレ・ポールドブラ。本稿では「バックベンド」と記載する。
バレエでは、反る動作が多い。
そもそも、立ち姿勢自体が日常生活での”良い姿勢”よりも少し反っている。
アラベスク、アティテュードデリエールといった、代表的なポーズも反っている。
故に、バックベンドを習得することは、多くの動作に良い影響を与えるだろう。
本稿では、後に剃る動作での首の力みについて述べる。
本論:後ろに反る動作での首のリキミ
本論1:頭の重さ
頭部の重さは、成人で体重の約10%だと言われている。
つまり、体重40kgなら4キロ、50kgなら5キロということである。
この時、よく言われるのが「ボーリングの球」である。
自分の首の上に、ボーリングの球が乗っていると想像してみよう。
随分と重いものが乗っているという、イメージがつくかと思う。
この重い”ボーリングの球=頭部” は、細い首によって支えられている。
直接支えるのは、首しかない。
胴体や太腿と比べて “華奢な” 首に、体重の10%の重さが乗っていると思うと、随分と重労働に耐えていることが分かる。
首に力みが生じる場合、先に確認しておきたいことがある。
頭を ”首の「筋」によって支えているか” である。
本当に、首の筋によって支えられているならば、首の筋によって動かしているならば、バレエにおいて、首が力んでいるようには見えない。
首が力んでいるとは、首の筋を過剰に使いすぎていることではない。
むしろ、逆である。
ここは、しっかり押さえておきたい。
本論2:バックベンドの ”そもそも”
では、バックベンドで考察しよう。
片手はバーを持ち、腕はアンオー。
そのまま後ろに反るという、お馴染みの動作を想定する。
この時、首にギシギシと力みが出現する。
頭部が下方に移動するとなると、実際の重さ以上に首に負担がかかる。
首は、必死に支えようとした結果、力みとなって現れてしまう。
そもそも、バックベンドとは、胴体が後方に傾く(倒れる)動きであって、頭部を後ろに倒す動きではない。
整理しよう。
<不正解>
頭部が後ろに倒れる。
↓
付随して、体も倒れる・反る。
<正解>
体が後ろに傾く・反る。
↓
付随して、頭もついていく。
順番が入れ替わるだけで、全く異なる結果を生み出してしまうことを認識しよう。
頭が先に、後方へ動くと、重さがダイレクトに首にかかってしまう為、支えようとして力みが生まれる。
本論3:対策
具体的な対策を述べていこう。
①首は、筋の活動によって支える。
筋活動が微弱な場合、強化トレーニングの前に「筋出力」をしっかり行うこと。
②胴体が先に後方移動する。
後に反る際の首の力み。
ほとんどの原因は、首が先に後方移動してしまうことにある。
先に胴体が後方に移動することを意識しょう。
③顔はアンオーの腕の方を向き、重さを分散させる。
顔が正面を向いた状態のバックベンドは、首に大きな負担をかける。
横を向くことで重さが分散できる為、力み対策には有効である。
ここでの注意点は、横を向いた状態でも、肩のラインは “バーに対して直角を保つ” こと。
首の可動域自体が少ない場合は、適応しないこともあるので、適切な判断が必要。
結論:両極端も対策は同じ
本稿では、後ろに反る時の首の力みについて述べたが、対照的に、ダラリと頭が垂れてしまうケースも多い。
どちらがマシなのか?
それは、明らかに力んでいる方である。
あなたがもし、バックベンドやアラベスクで、首に力みが生じているのであれば、”頭部の重さを支えることに立ち向かった故の代償運動” なのである。
頭部がダラリと垂れてしまうということは、重さを首で支えることを「放棄」してしまっているのだ。
対照的ではあるが、対策は同じである。
とはいえ、前者は代償を引き起こしながらも、得るものがある。
後者には、それがない。
対策が同じだからと言って、同じ土俵ではなく、力みが気になるあなたは一歩リードしている。
バックベンドは、首だけに留まらず、頭部はもちろん、背中の操作を身につけることが可能である。
立ち方やアラベスクなども、良い方向に向かうだろう。
ぜひ、繋げて欲しい。
無駄な努力はない。
努力をどう活用するのか
一滴も残さず、使いこなそう。