【とりあえず・仕方ない】入門用アンオーから卒業しよう。

バレエはまるで “動く絵画” のよう。

顔が絵画、腕が額縁の役割を果たします。

美術品のようにさえ見えるそのポーズひとつが、実はとても機能的な役割を果たしています。

“仕方ない・とりあえず” アンオーから変わるときがきました。

言葉は同じ、中身は違う

腕をぶら下げてしまう大人にとって、アンオーにするだけでも体を落とさずに済む要因にはなります。

その一方で、踊っているあなたにとっては動かしにくい、ちょっと厄介なポジションに感じるかも知れません。

  • 首が短く見えやすい。
  • 肩が上がりやすい。
  • 肩を下げようとすると、腕が短くなってしまう。
  • 回転などでアンオーにすると崩れやすい。
  • そもそもアンオーの位置がよくわからない など。

「アンオー知ってるよ!」

いえいえ、きっと知らないことや理解が足りないことがあるはずです。

話を進めましょう。

まずは “スペース”

“首が短く見えやすい” と “肩が上がりやすい” からいきましょう。

首を長く見せるだけでなく、頭を小さく見せることができます。

意識したいのは、2点。

  • 耳から腕までの距離
  • 両腕から顔までの距離

前者は、正面から見たときに【顔と腕の間にスペースがあるか】ということ。

このスペースがないと頭が大きく見えてしまいます。

同じ大きさの絵画でも、大きい額縁に飾ることで絵画が小さく見える。

同じ量の料理でも、大きい皿に盛り付けることで量が少なく見える。

➡︎この原理を思い出してみましょう。

また、肩が上がってなかったとしても、上がって見えてします。

さらに、肘の向きが曖昧だと、このスペースが潰れやすくなります。

しっかりと外向きにし、肘が適切に曲がっているかを確認しましょう。

アンオーを習う問題点

後者の両腕から顔までの距離というのは、体を側面から見たときに【腕よりも頭が後ろに位置している】関係性をとること。

ここが厄介な問題です。

  • 腕を前にすることで関係をとる。
  • 頭と背中を後ろにすることで関係をとる。

同じ腕が前、頭が後ろという関係でも、実態は全く異なります。

ちょっと厄介なのは、バレエレッスンでは大抵、姿勢を取れるようになる前に【アンオーは前に、視界に入るように前に】と習ってしまうことです。

もちろん、大人クラスではそうせざるを得ない状況がある場合も事実なのですが。

とはいえこれが、引き上がらず、アンディオールできない原因。あなたが思うより、問題は深刻なのです。

どのような姿勢を取るべきか、例えできなくても、理解はしているのであれば【とりあえず・仕方ないからこのアンオー】からは、一刻も早く卒業しましょう。

入門クラスは基礎でも基本でもなく、まず、バレエクラスに慣れることが目的。

慣れたら早めに、初級へ移行しよう!

正しいアンオーのレシピ

正しいアンオーの作り方は、次の通りです。

  1. まっすぐに立ち、腕を天井に向かって垂直に伸ばす。
  2. その位置で腕の形を作る。
    ➡︎肘を外側に曲げる、手首を曲げ、指先を作る。
  3. 腕の位置を動かさずに、頭と背中を後ろに移動させる

この状態では、確かに腕は体の前に位置していますが、腕を前にしたのではありません。

このように正しくアンオーをすると、背中に緊張感が生まれます。

そして、アンオーの悩みが解決します。

補足

①最低でも側面からみたときに【体の幅】に腕が収まっているようにあげましょう。

腕が上がりにくい、上がらない場合は、腕の付け根の可動域を広げましょう。

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なぜ「腕を前に」なのか

バレエをはじめるとき、基礎的な筋力が一定程度あれば、レッスンをすることで強くすることはできます。

とはいえ、実際には姿勢を保つことができないほど筋力が低下した状態で、バレエレッスンをスタートさせるケースがほとんどです。

要するに、腕を上げると姿勢が崩れてしまう。

  • お腹が緩み、突き出てしまう。
  • 背中や腰を反らせてしまう。
  • いわゆる「肋がひらいている」突き出してしまう。

腕の重さを受け止めるだけの腹筋の強さがないと、アンオーにしたときに、幼児腹のようにお腹を突き出して立ってしまいます。

この姿勢をその場でなんとかしようとすると、腕を前にという指示が出てしまう場合があります。

この場合、あなたはどちらかの選択をせねばなりません。

【指導者の方へ】

見極める目を持っている先生にとって、どちらを優先するべきかは悩むところかと思います。

次の項目がヒントになります。

  • 少なくとも、体側の幅より腕を前に出さない。(この幅が限界)
  • 体全体を後ろに倒させる。
  • 肩が上がっても、手首の高さを優先させる。(手首を天井に持ち上げる)

もちろん、お腹の強さが不足していることを自覚してもらうことは必要です。

参考にしてみてください。

2つの選択①

1つ目は、正しいアンオーを身につけるということ。

ただし、正しいアンオーをしても姿勢が崩れずに済むだけのお腹の強さは、最低でも必要になります。

つまり、今のままでは正しくできませんから、努力を必要とします。

  • 普段から、お腹を引っ込める。
  • 普段から、姿勢をよくする。
  • 必要ならば、筋力アップのエクササイズを足す など。

こうしたことを実際に行動に起こす必要があります。

2つの選択②

2つ目は、何も変えない・やらないということ。

ただし、バレエの基本という意味での正しいアンオーはできません。

アンオーを正しくできなければ、少なくとも、アンオーが出てくるポーズや動作を正しくすることはできません。

また、アンディオールや引き上げなどの要素も獲得できません。

当然、股関節や膝、足首の故障のリスクも上がります。

とはいえ、何も努力しなくても済みます。楽です。

自分で選ぶ

どちらにするかは、あなた自身が選択しましょう。

必ず、メリット・デメリットを承知の上で、あなたの責任で選択すべきです。②を選んだのに “バレエが上手くならない、ケガをした” など、先生やバレエのせいにしてはいけません。

①を選んだのならば、やることはやらなければ、あなたの希望は叶いません。

どちらを選択するのも、あなたの自由ですし、それが大人の醍醐味でもあります。

最も良くないのは、どちらも選択せず、曖昧なまま【人のせい、環境のせい、バレエのせい】にしてしまうこと。

あなたがもし、①を選ぶのであれば喜んでお手伝いします。

まとめ

アンオーを正しく行うためには、【アンオー自体】の構成を知ることが大切です。

位置関係は同じでも内容が全く異なる為、注意しましょう。

  • どうするのかの選択は、あなたが決めましょう。
  • アンオーと顔のスペースを作りましょう。
  • アンオーを正しく作れるだけの体の機能を身につけましょう。

ファーストステップ♪
どちらを選択するのかを、今日中に決めよう!

【実践編:ポジションの詳細 〜腕と背中を一度につくる〜】

Thank you】


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あなたが基準に沿ってレッスンすることは、バレエを愛する全ての大人に向けて、本当のバレエを、安全で適切な基準と方法を提供することにつながります!

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