基本、基礎と言うならば
こうしたことを大事にせねば。
グルグルしているだけではないのである。
本ページに記載の(図)に関しては、大雑把にイメージするものとして書いてある。
厳密な詳細については、専門のイラストなどをご覧いただきたい。
ここではあくまで、大まかなイメージ図として掲載していることをご了承いただく。
序論:容易だが、困難
ロン・ド・ジャンブ・アテール(ロン・ド・ジャンブ・パール・テール)は、バーレッスンで行われるベーシックなバレエ動作である。
✳︎以下、ロンドジャンブアテールと記す。
要素としての活用を含めると、様々なバレエ動作に活用されており、多種多様な形態で用いられている。
また、空中で行われるものにも含まれる。
大人にとって、ただ、脚をグルグルと回すだけならば、さほど難しいものではないだろう。
回転やジャンプのように、動作そのものに困難を来す類のものでない事は、確かである。
その上で、厳密かつ、正確に行うとなると、話は全く違ってくる。
バーレッスンの構成上、ロンドジャンブアテールからは、格段に難易度が高くなる。
その難易度は、プリエからバットマン・タンジュ・ジュッテまでとは、桁違いだ。
単語と長文問題ほどの差がある。
この動作を、厳密かつ、正確に行う為には、技術力を要する。
厳密かつ、正確に行えない場合、センターレッスンで行われる動作に多大な影響を与え、バレエ形式、本来あるべき形から逸脱してしまう為、丁寧な動作運びをしなければならない。
本稿では、大人にありがちな行為と、対処について述べる。
本論:大人バレエにありがちな動き|ロンドジャンブアテール
本論1:用語の整理
ロンドジャンブアテールを解説するにあたって、必要な用語を整理する。
バレエレッスンで使用する言語である為、あやふやな人は、ここで覚えよう。
ロンドジャンブアテールとは、動作足のつま先で、床に半円を描く動作である。
半円を描く方向には、2種類存在する。
▶︎ロンドジャンブアテール アンディオール
▶︎ロンドジャンブアテール アンデダーン
である。
ロンドジャンブアテール アンディオールは、
・足を前に出し
・横を通り
・後ろに到達する。
・第1ポジションを通り、繰り返す。
という動きの流れとなる。
ロンドジャンブアテール アンデダーンは、
・足を後ろに出し
・横を通り
・前に到達する。
・第1ポジションを通り、繰り返す。
となる。
アンディオールとアンデダーン。
この2つの言葉は、覚えておこう。
本論2:大人にありがちな動き
大人にありがちな、ロンドジャンブアテールを整理しよう。
A:①足運びに関わりなく多いのは、前と後の位置を取れていない事。
②アンディオールで多いのは、横から後ろまで行き来らずに、第1ポジションを通ってしまう事。
③アンデダーンで多いのは、横から前に行き来らずに、第1ポジションを通ってしまう事である。
B:特に、アンディオールに顕著に現れ易いが、横を通った直後に、動作脚の膝が下向きになってしまい、アンディオールが出来ていない。
C:第1ポジションを通る際に、骨盤のポジションが崩れる。
本論3:こだわるポイント
本論2の解説を述べる。
Aについて
まず、第1ポジションに立つ。
余談ではあるが、大人には、第1ポジションからのロンドジャンブアテールを行う事を奨める。
第5ポジションからスタートする場合もあるが、このポジションから正確に行う事は、大人特有の阻害因子が強く現れ易いからである。
かつ、個人的には、第5ポジションで正確に行う事は、本来、訓練された職業ダンサーでも難しいと思われる。
前と後のタンジュをしてみよう。
ただ何となくではなくでは、正確性に欠ける。
はっきりと明確に、どこの前後なのかを、言葉に出来る位置を取る事がポイントである。
タンジュで取った2つの位置、前と後で、一度止まりながら試してみる。
・アンディオールでは、前で止めて位置を確認、横を通り、後ろへと運ぶ。位置を確認。
・アンデダーンでは、後ろで止めて位置を確認、横を通り、前へと運ぶ。位置を確認。
体感で行ってはならない。
鏡を見るなり、人にみてもらうなりして、事実として、前後の位置を取る。
Bについて
ロンドジャンブアテールが、大人にとって高難度な動作である理由が、ここにある。
この動作では、エカルテ という位置が存在する。
エカルテと言っても、体の方向のことではなく、あくまで脚の位置を指す。
真横を過ぎたエリアが該当する。
エカルテのエリアでは、脚は [横] の状態を保たねばならない。
エカルテとは、脚を前後ではなく、横に出すポジションである。
アンディオールでは、前に出した脚が、横に運ばれ、そのままエカルテを通り、後ろの脚の向きになる。
つまり、脚が後ろの向きになる事を 遅らせる。
アンデダーンでは、後に出た脚が、エカルテで早くも横の状態となる。
つまり、脚は早めに横の向きにする。
いずれにしても、膝は常に、バーの外側を向いていなければ、アンディオールが足りないという事になる。
Cに関しては、記事で詳しく述べているので、お読み頂きたい。
本論4:可動域を広げ易いバレエ動作
②に関連した、身体機能について補足する。
エカルテを正確に通っている時、恥骨〜かかとまでの距離が最大となり、特に、内腿が張った状態となる。
その際に、大腿骨頭が前方に押し出されることで、股関節の可動を広がる。
✳︎大腿骨頭…太腿の骨(大腿骨)の上端
ロンドジャンブアテールは、股関節の可動を促す事が得意な動作である。
その為には、正確にエカルテを通らねばならない。
このエカルテを厳密に行っていないと、センターレッスンで美しくない形として現れやい。
グランフェッテルルヴェで、お尻が持ち上がってしまう。
後方へのブリゼにおいて、最初に出す脚の位置が正確に取れない。
ピケアンディオールでの、(プレパラシオンデガジェアントールナン)デガジェの出し方が正確でなく、腰が引けてしまう。
などである。
結論:意識すること
ロンドジャンブアテールでは、
・前・横・後ろ
・後ろ・横・前
という3つの位置にエカルテを足してみよう。
アンディオール
▶︎前・横・エカルテ・後ろ
アンデダーン
▶︎後ろ・エカルテ・横・前
出来る出来ないの前に、意識付けをする事は、大事な 準備 となる。
エカルテは、脚を横に出すポジションであるから、脚の向き・構造を記すと、次のようになる
アンディオール
▶︎前・横・横・後ろ
アンデダーン
▶︎後ろ・横・横・前
エカルテは、アラセゴンよりも広い可動域を必要とする。
アラセゴンを正確に取ろうとしない事は、エカルテも正確に取ることが出来ず、ロンドジャンブアテールも正確でない事を示す。
まずは、アラセゴンの位置を正確に取ろうとする事、その先にエカルテがある事を忘れてはならない。
兎にも角にも、エカルテというポジションを通る事を知って頂きたい。
デリエール(後ろ)になってから、アンディオールしても、あとの祭りだ。
知っていてさえくれれば、指摘する事は出来る。
知らない場合は、大切な事を言っても、流されてしまうのが現実である。
あなたには、ぜひ、覚えておいて欲しい。