11月ワークショップ発表!

腕のポジションとホールド

「腕のポジション」タイトル

支えのない腕は、思わぬ落とし穴に誘導する。
感覚に頼らず、感覚を手に入れる。

 

 

序論:体得したい「感覚」

バレエでは、「足」のポジション同様、腕にも”指定されたポジション=位置” が存在する。

本稿では、ポジションをとった際に体得したい「ホールド」について述べる。

 

 

 

本論1:ホールドとポジション

ホールドとは、「支えること、一定の状態に”保つ”こと」を指す。

 

ホールドされていない腕のポジションは、どのようにみえるのだろうか。

あるいは、どのような体の状態になっているのだろうか。

 

・正確なポジションを取れない。

・脇を上げる・張るといったことがわからない、できない。

・肘を張ることができない、あるいは、肘を曲げすぎてしまう。

・だらしない印象を受ける、やる気がないように見えてしまう。

・ポジションから逸脱した動きが生まれてしまう。(ノイズアクション)

 

など、腕だけでなく、脇に関しても影響を及ぼす。

さらには、心理面においての「意図しない見え方」にまで波及することさえある。

 

 

では、腕のホールドが足りない・できていないと、何が起こるのだろうか。

 

・そもそも、求められた型をとることができない。

・体(体幹)が安定しない。

・コントロールできず、腕に振り回される。

・回転やジャンプの際に、体がバラける。

・アラベスクで横に出した腕の方が捻れる。

 

体が安定しないからといって、体幹トレーニングをしたところで、解決にはならない。

体幹トレーニングは、目的と方法を考えないと、可動自体を減らすことになるので注意すべきである。

特に、大人からバレエをはじめた人の場合、体幹トレーニングで「体が動かなくなることがないように」したい。

 

 

腕のポジションについて、復習しよう。

本稿では、「肘の向き」に着眼することとする。

 

・アナヴァン…肘は、外向き

・アンオー…肘は、外向き

・セゴン…肘は、後向き

・アンバ・ブラバ(プレパラシオン)…肘は、外向き

 

要は、セゴン(2番)を除いて、全て「肘は、外向き」である。

セゴンのみ、後を向く。

はっきり認識していなかった人は、ここで覚えよう。

 

 

 

 

本論2:動きにおいて

大人のバレエで目立つのは、バーレッスンにおいて、セゴンに出された腕の肘が、床の方を向いてしまうという事例である。

気をつけていても、疲労してきたり、他のことに気をとらわれていると、ついつい、抜けてしまいがちである。

ポジションに対しての対策は、後で述べるとして、もう少し、わかりやすいところから述べる。

 

セゴンに出された腕が、アロンジェになる際、あなたは、どのように行っているだろうか。
(アロンジェ…手のひらが下向きになる)

決して「肘を下向きに回すことで」アロンジェしてはならない。

 

このような動きをすると、肩が捻れ、前を向いてしまう。

首は短くなり、随分、「苦しそうに」見えてしまう。

さらに、肩甲骨のプレースメントは崩れ、姿勢が悪くなる。

 

見た目が良くないだけでなく、機能面にも影響を及ぼす。

脇や背中の緊張を失い、張りがなくなる。

胸が前に突き出し、お尻が後に飛び出る。

まるで「体が休んでいるかのように、怠けているかのように」なってしまうのである。

 

アロンジェにする際は、次のように行う。

 

手のひらを返すのと同時に、胸骨をやや後方に傾かせる。

つまり、胸を後に倒すことで、先に述べたようなことを防ぎつつ、広がりのある美しい体のラインを見せることができる。

これが、指導言語でいう「伸びて」の正体である。

 

胸が後に傾くので、ごく僅かに、肘の向きも変わるが、それは「胸の傾き」によるもので、単独で肘が向きを変えるわけではない。

このアロンジェができるようになると、アラベスクでの横に差し出された腕の問題も、一気に解決することができる。(注1)

 

このように腕を動かすと、腕自体だけでなく、背中や脇も、しっかりとホールドされる。

 

 

 

本論3:ポジションにおいて

ここからは、「動き」ではなく「ポジション」での、腕のホールドについて述べる。

 

そもそもの  “仕組み” を体験してみよう。

 

四つ這いになる。
(正しい四つ這いであること)

指先をまっすぐ前に向け、肘は軽く曲げる。

肘は、どこを向いているであろうか。

後を向いてしまっている人は、外向きになおそう。

 

これが、バレエにおいての「腕の仕組み」である。

四つ這いという、手部に体重がかかり、固定されたCKCで「肘を外に向ける」と、上腕と前腕が逆方向への働きをし(内外旋)、捻れた状態となる。(注2)

 

 

ここに「解剖学の落とし穴」がある。

 

□腕のポジションでは、腕が内外旋します。

■「だから、内外旋をする」では、ポジションに入れない。
内外旋をしたところで、プレースメントが取れていなければ、間違ったまま。

 

□腕のこの筋を使います。

■「だから、この筋を使おう」では、ポジションに入れない。
間違ったポジションで「この筋」を使うことだって可能である。

 

いわゆる「解剖学オタクや、体オタク」が陥りやすい。

大人も、頭が使えるからこそ、陥りやすい発想である。

何のために、何をするのかを、決して忘れてはならないのだ。

 

何が大事かというと

◎指定された部位(パーツ)が

◎指定された位置(プレースメント、ポジション)

◎指定された向き(ディレクション)を取ること。

これに尽きる。

 

これらを実施した結果、腕が結果として「勝手に」内外旋し、適切な筋が活動するに過ぎない。

従って、「腕を内外旋させて使おう!」、「この筋を使ってポジションを取ろう」と思った時点で、既に間違っている。

 

 

四つ這いで、肘の向きが取れたら、腕の関係性を崩さずに、それぞれのポジションを作ってみよう。

四つ這いが厳密に取れていたならば、「正しくホールドされたポジション」が取れるはずだ。

 

ポイントをいうと、CKCで体重がかかった際の、手部や腕の「圧」を残すと良い。

「力」ではなく、「圧」というのがポイントである。

この「圧」がゼロになってしまうと、ホールドは抜けてしまうだろう。

力づくで動くわけではないが、抜けているわけでもない。

そんな状態は「圧」で形成していく。

 

本稿では、四つ這いで例を取ったが、壁に手のひらをつけたCKCでも、同様に確認することができる。

その場合は、CKC、つまり「固定」になるように、手のひらに、しっかりと体重をかける。

 

 

 

結論:ストックを作る

レッスンは、常に「良い状態・できる」ことだけを求める場ではない。

改善点を見つけ、実験をし、正していき、自らの成長を促す場である。

従って、過度に失敗を恐る必要はない。
(ただし、緊張感は保つこと。事故防止や怪我防止のためにも必須)

 

大事なのは、改善点・間違いを見つけた時、素直に受け入れること。

それを前提として、改善するために・成長するために「何をすれば良いのか、何で確認したら良いのか」がわかることである。

 

つまり、今回のテーマなら、次のようになるだろう。

 

腕のホールドが足りない・わからない。

腕のポジションで確認。

四つ這いで確認。

もう一度、ポジションを取ってみる。

 

こんな具合である。

 

 

注1:アラベスクの基本~バレエの形式を満たす“十ヶ条”と体作り~[バレエ教本]  JBP著
→「第五ヶ条 アラセゴン(腕)の方が捻れている」を参照のこと。

アラベスクテキスト表紙アラベスクの基本~バレエの形式を満たす“十ヶ条”と体作り~[バレエ教本]

注2:CKCに関しては、こちらの記事を参照のこと。
https://juncotomono.info/okcckc/