人間の性質を
活用してみよう!
序論:頭ではわかっている「けれど」
特に多いのが、速くない速度での動き。
プリエをしたのに、改めて、プリエを足してしまうという “2度踏みプリエ”。
「大人だから」という話でもなく、子供のクラスでも見かけることなので、いわば「世代を超えた課題」である。
レッスンでは、「もっと引き上げなきゃ!」と意気込んでも、他のことに気を使うと、ついつい同じことを繰り返してしまう。
「頭ではわかっているのにな…」そう、あなたはがっかりしているかもしれない。
その上で、頭でわかっているか否かは、あなたが思うより大きな差がある。
つまりこうだ。
・頭でわかっている→自覚がある
・頭でわかっていない→自覚がない、重要だと思っていない
頭でわかっていなければ、何を言っても響かない。
頭ではわかっているけれど、気づくと2度踏みしてしまうあなたへ。
レッスンでのアイデアをお届けします!
本論:2度踏みプリエをしてしまうあなたへ|バレエレッスンのヒント
本論1:モノマネ大作戦
アイデアその① 連動を利用する。
人間には、「体は、別のパーツと同じような動きをしやすい」という現象を起こしやすい。
これを利用してみよう。
今回取り上げるのは「口と脚」。
口でプリエの形を作ることで、脚にマネしてもらおうという作戦だ。
これ、マスクをしていなかったら、レッスンで「思いっきり試す」ことは、外見上、難しいのではないだろうか。
できるだけ「大げさ」にやった方が、効果は高い。
不快なマスク着用レッスンが続いていると思うが、ここは、大いに活用しよう!
まず、プリエの「エ」の形をつくる。
アナウンサーの発声練習のように、はっきりと作ることがポイント。
「エ」は「イ」のように、口角が横に広がるが、もう少し厚みがある形だ。
ここに脚のパーツを当てはめて、イメージしながらプリエしてみるといい。
口角が落ちると、プリエも抜けやすいことを付け足しておこう。
口がプリエの形をすると、脚がマネしたがる。
膝が横に張り出してくるので、着地と次の動きとの「潤滑油としての役割を担った、本来のプリエ」に変わる!
[脳内バレエ]
プリエをするときに、プリ「エー!」と言いながら(口の形を作って)やってみる。
本論2:呼吸をしてみる大作戦
アイデアその② 無意識にしている呼吸を利用する。
無意識にしている「呼吸」。
あなたの呼吸が「医学書」に書かれているような「オーソドックスな呼吸」をしているなれば、これを活用してみよう!
✳︎実際には「オーソドックス」とは異なる方法で呼吸している人は多い。
本稿の内容を試しても、うまくいかない場合は確認した方がいいだろう。
今から、絶対に知っておいて欲しい「重大なこと」を伝えよう。
人間は、 “息を吸ったとき、体が上がる” ようにできている。
ちなみに、吐けば、吸った時よりも当然「落ちる」。
「ハーッ」と深く吐けば吐くほど、体は「落ちる」。
健康目的にはいいかもしれないが、バレエには不向きだ。
息を吸うと体が上がるというのは、気のせいではない。
体の構造上、そうなっている。
プリエで息を吐き出すなんて “もってのほか!” であることは、基本!
忘れずにいよう。
✳︎呼吸で体を上げる仕組みや方法、活用法は「JBP5月プログラム」で開催予定。
[脳内バレエ]
プリエを吸いながらやってみよう。
[バレエのルールブック]
引き上げたいときは “息を吸う” ことで、体を上げる。
結論:脱・2度踏みプリエ
2度踏みプリエについてのまとめ。
[バレエのルールブック]
前動作の着地と次動作のプレパラシオンを1つにする=リエゾンする。
[2度踏みプリエの原因]
前動作のプリエで体が「落ちる」
↓
「燃料切れ」状態になる
↓
次動作の燃料がない
↓
プリエを踏み直すことで動くしかない
▶︎つまり、前動作の着地プリエで「いかに体が落ちないか」が求められる。
[2度踏みプリエ脱出へのヒント]
①プリ「エー」と言いながら、プリエする
→口の形は大げさなくらいハッキリと!
②息を吸ってプリエする
→バーレッスンで取り入れ、センターでのジャンプ・ルルヴェ・回転などに活用
取り入れやすいところから
チャレンジしてみよう!