ダブル以上を回りたい!(2)ふらつかないピルエット攻略

ダブルPhase2

シングルはどうにかなっても、ダブルになるとふらつく・怖い・後ろに倒れるなど、回転においての症状。「薬」となるのは、プレパラシオンです。

この記事では、前回の記事で取り上げた4つの項目の”より詳細なチェックリスト” を紹介します。
(本文中に前回記事のリンクがあります)

さて、さっそくチェックしましょう!

症状への薬

冒頭で紹介した通り、ピルエットでのあなたの症状に対しての【薬=プレパラシオン】です。

あなたには、どんな症状(ピルエットのお悩み)がありますか?

□ふらつく
□後ろに倒れる
□回りきれない

では、体調不良の症状に対して服用する薬は?

□頭痛=頭痛薬
□発熱=解熱剤
□切り傷=消毒・絆創膏など

頭痛で頭痛薬を飲むべきなのに、腹痛の薬を飲んだり、消毒液を頭にかけたり、絆創膏を貼ったりはしません。

回転において、上にあげたような症状が出ると「ルティレを作る」だとか、「ルルヴェのカカトを高くする」だとか、「バランスを長くとる」だとか、間接的なことばかりに終始しがちです。

それは、バレエレッスンの性質上ありがちなことではありますが、最初に対処することではありません。頭痛があるのに頭に消毒液をかけてみたり、切り傷を消毒せず頭痛薬を飲むようなものです。

スタイルによっては、後ろに倒れることを前提としたプレパラシオンがあるほどです。理想は、あなたの症状に合うオーダーメイドなプレパラシオンです。

 

どんな薬でも守るべきことがある

【薬=プレパラシオン】ですが、薬が正しく効果を発揮するために守らなければならないことがあります。それが、”用法・用量”です。

これを守らないと、毒になってしまうこともあります。バレエレッスンも同様です。
レッスン自体がいいものでも、あなたの方法が適切でなければ毒になってしまうことだってあります。

この “用法・用量” にあたるのが、プレパラシオン4項目です。前回の記事をお読みいただくと、理解が深まります。

ダブルPhase1 ダブル以上を回りたい!(1)ふらつかないピルエット攻略

用法・用量を守った上でのオーダーメイドなんだね!

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4項目チェック

ここからは、より詳細な4項目のチェックをあげていきます。

プレパラシオンに関してではありますが、症状へのオーダーメイドお薬(=プレパラシオン)ではなく、”用法・用量” にあたるものですので、バレエレッスンをする全ての人に該当、必須項目です。

 

胴体の方向

症状

・腕や足で回ろうとするため、力で回っているように見えてしまう。
・イチかバチかになりやすい。
・バレエのトゥールでなく、ただの回転になってしまう。

クエスチョン

おへそで方向をとっていませんか?
▶︎入門過ぎたら、おへそで方向をとることはやめましょう。
▶︎エポールマンはどこで取りますか。

 

顔・胸・下腹が全て同じ方向を向いていませんか?
▶︎回転の動力が全く出ません。少しずつ、ズレているのが正解。

 

左右の腰骨が “平面” になっていませんか?
▶︎これも回転の動力が出ない原因です。第4・第5ポジションでの骨盤ポジションを正確にとりましょう。

こう変わるポイント

正しい回転の動力を生み出すことができるため【イチかバチか】がなくなります。「これだ!」と確信を持って回ることができます。

 

頭の向きや目線

症状

・回ることへの恐怖感がある。
・回っているときにどうなっているのかがわからない。
・バランス感覚に欠ける。

クエスチョン

普段の生活での “まっすぐ前を向く” と同じになっていませんか?
▶︎目線は【目の高さ】にしましょう。バレエの基礎です。
▶︎普段の目線は、目の高さより低いことに注目。

 

一点を集中してみていませんか?
▶︎頭が前に突き出てしまいます。頭は常に後ろに保ちます。

 

顎をひき過ぎていませんか・二重顎のようになっていませんか?
▶︎過剰に首に力が入ってしまう原因です。頭の角度を正確にとりましょう。

こう変わるポイント

平衡感覚が取れるため、回転への恐怖心が和らぎます。回転中のバランスが取れるようになります。

 

腕のポジション

症状

・腕に振り回される。
・体が吹き飛ばされる。
・体力が消耗しやすい、やる気がなさそうに見える。

クエスチョン

アナヴァンに構えた腕をプリエでセゴンまで開いていませんか?
▶︎ピルエット・アンディオールでは、セゴンまで開いたら開き過ぎです。
▶︎特に女性は、この方法だと体が振り回されやすいので注意が必要。

 

”アナヴァン+セゴン”(もしくはアロンジェ)でOKと思っていませんか?
▶︎”正しくアナヴァン、正しくセゴン” では具体性に欠けるため、体が適切に動けません。

 

肘が伸びきっていませんか?
▶︎腕を動力にしてしまうパターン。120%振り回されます。

こう変わるポイント

省エネな回転に変わります。(回転は体力を消耗する動作の1つ)振り回されない、まっすぐな回転になります。

 

足のポジション

症状

・頭や上半身が前につっこみやすい。
・回りはじめに、前側の足のカカトが引けてしまう。
・ルティレ(パッセ)が開かない。

クエスチョン

しっかり開いていますか?
▶︎アンディオールが甘くなっていませんか。動力の補佐をする役割があります。開きましょう。

 

プリエを深くし過ぎていませんか?
▶︎プリエはあくまで回転のために行います。できるだけ足首を曲げずにプリエしましょう。

こう変わるポイント

回転をするために必要な【スピード】が出るため、回数を増やすことができます。こまのようなすばやく真っ直ぐな回転になります。

 

まとめ

まずは、【おやくそく】として守るべきことを【無意識でもできるまで】練習しましょう。ここを抜かすと、必ずつまづきます。先にやっておく方が近道です。

トゥールは、考える間もなく瞬間的に複数のことができなくてはならない為に難度が高く、知っている・知っているけど忘れがちでは対応できません。
無意識でもできるようにすることが求められます。

プレパラシオンを正しく最適化することで、バレエらしい力技感のない、まっすぐな回転を生み出すことができます。

□プレパラシオンの重要性を強く認識しましょう。
□無意識でもできるまで練習しましょう。
□レッスンも練習も、毒にも薬にもなることを忘れずに。

はじめの一歩♪
おうちでプレパラシオンをとってみよう。

 

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