アラベスクの膝が緩む理由:日常でも意識できるとあるパーツへの意識

バレエの場合、一般的な体の動かし方の延長にあるものもあれば、バレエ専用とも言うべき動かし方をする場合もあります。

解剖学通りに動いても、うまくいかない理由です。

今日の話題もその1つ。

裏腿。

このパーツは実に、さまざまな役割を担っています。

さあ、一緒に裏腿について知りましょう!

曲げるの?伸ばすの?どっちなの!

一般的に裏腿(ハムストリングス)は、膝を曲げる筋肉として知られています。

ちょっとした体の本などを見ればわかりますが、膝を伸ばす筋肉の代表格は前腿(大腿四頭筋)です。

ところが、バレエにおいては裏腿も膝を伸ばす役割を担っています。

大部分を裏腿で伸ばし、最後の仕上げとして前腿が働きます。

ですので、バレエにおいては一般解剖学では対照的な役割を持つ筋肉が、同じ目的に向かってリレーをするのです。

 ▶︎坐骨が最も床から遠ざかるまでは、裏腿で膝を伸ばす。

 ▶︎さらに膝を伸ばすために、前腿が収縮する。

ここまできてようやく、膝の曲げ伸ばし0度が成立します。

膝の曲げ伸ばし0度ができれば、それだけでバレリーナの脚になります。

従って、多くの人は膝を伸ばしているつもりでも、曲がっていることがわかります。

アラベスクで膝が伸びない理由がここに

ところが、厄介なことが発生します。

裏腿はバレエにおいて、膝を伸ばす役割も担っていますが、確かに膝を曲げる役割も担っているのです。

その証拠に、アラベスクをするとき、多くの人は、タンジュから膝が緩みながら脚を上げてしまうのです。

なぜ、このとき裏腿が膝を曲げる方向に働いてしまうのでしょう?

その原因が「おしりの筋力不足」です。

例え、日常生活を送るにあたって十分な筋力を持っていたとしても、それだけではバレエには全く足りません。

とても優雅に、静かに見えるその動きがどれだけハードかは、あなたならご存知のはず。

バレエを踊るに十分なおしりの筋力がない状態で脚を上げようとすると、つま先側から上げざるを得ないため、力のかかるベクトルが違ってしまうのです。

つま先は、体から遠ざけながらアラベスクをしたい。

そして、太ももからダイレクトに動かすことで、股関節を動かし、脚が上がっていきます。

一方で、おしりの筋力が弱いと、つま先を体の方に引き寄せ(この時点で力の方向が違う)股関節を動かさずに上げようとしてしまいます。

結果として、膝が曲がってしまうのです。

日常生活でもできる“おしり”対策

生活の中で、少しだけ意識してみましょう。

おしり対策のヒント

  • おしりに緊張感を持つ
  • 坐骨を寄せる
  • 背中を立てる(前屈みにならない)
  • 歩幅を広くとる
  • 骨盤を振らずに歩く(骨盤ではなく、脚を動かす意識を)

まとめ

裏腿について知ることがありました。

解剖学はヒントになる場合もありますが、それだけではうまくいかない理由も分かりましたね!

JBPでは、バレエに必要な可動域の確保や筋力をつけるための体作りWSを1月に開催します。

関連

2023010419 『ストレッチ&コンディションEx.』“体作りのワークショップ”

また、アラベスクの上体の形について取り上げるWSもあります。

記事の内容に、正しい上体の作り方をプラスして、美しいアラベスクを目指しましょう。

関連

2023011119 『回旋を出す』“胸椎の可動 アラベスクへの発展”

ここまでをまとめます。

  • 裏腿は、膝を曲げる役割も、伸ばす役割も担っています。
  • おしりの筋力が不十分だと、膝を曲げながら脚を上げてしまいます。
  • バレエを踊るのに必要な筋力をつけましょう。

ファーストステップ♪

日常で気をつけられること、どれか1つを今日のテーマにしてみよう!

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