背中は全てを物語る。
あなたの全てを。
序論:当てはまるものは?
肩が丸まってしまう、巻き肩。
或いは
肘が伸び切ってしまう、アラベスクの時に横に出した方の肩が捻れる。
心当たりはあるだろうか。
特に大人からはじめた方は、1つ以上は当てはまると思われる。
本稿では、これらに共通した原因について述べる。
本論:肩が丸まる、巻き肩、捻れる|意外な原因
本論1:見た目に直結している
序論で述べたような事が起こると、どのような見た目になるのだろうか。
①肩が丸まる・巻き肩
ここに関しては、何よりも “姿勢不良” になる事を、強く、強く、理解せねばならない。
姿勢が悪いという事は、何よりもテクニックに支障が出る。
そして、筋バランスが崩れてしまい、”癖”が付きやすい。
以下、警鐘として述べておく。
指導者、トレーナー等で起きている事であり、あなた自身がしていることではないだろう。
とはいえ、目にする事があると思うので、あなたの健康を害さない為にも、敢えて伝える。
代償だらけの自分の立ち方を基準に、姿勢不良を肯定するかのような意見を目にする事がある。
それは、自分だけに留めておくべきだ。
自分の代償を正当化するする為に、他者を巻き込むべきではない。
代償と気付いていないのならば、最もタチが悪い。
自分の世界に浸るのは結構だが、他人の健康を害するべきではない。
②肘が伸び切ってしまう
いわゆる “棒のような腕” に見えてしまうし、実際にそうである。
アームスの柔らかさに欠け、動き全体の調和を崩している。
それだけでなく、投げやりな印象さえ、与えてしまう。
このタイプは、見た目だけでなく、大きな怪我に注意しなければならない。
腕の重さをコントロール出来ず、振り回している為に、いつ脱臼してもおかしくない。
特に、ハードな練習や疲労している時、自分の体力以上のことをしている場合にリスクが高まる。
この現象は、バレエに限った話ではなく、しばしば、審美系スポーツなどでも見受けられる。
③アラベスクの時に横に出した方の肩が捻れる
この状態では、胸を起こす事が出来ず、寝そべったようなアラベスクになってしまう。
または、腰から折れてしまう。
アラベスクにおいて「起こす」のは、腰ではなく、胸である。
脚が割れ、寝そべっているような状態のアラベスクは、アーチ状の背中のラインを作ることが出来ない。
美しいアラベスクを完成させる為には、改善しておきたい事である。
また、腰から折ってしまうと、過剰な緊張と負担を強いられ、高さを出す事が出来ない事も知っておいて欲しい。
本論2:方程式が通じないという難関
全てに共通した原因は、”腹背筋” の弱さである。
肩と腹背筋というと、意外に思うかもしれない。
とはいえ、実際に、腹背筋が十分な強さを持っていたならば、肩が丸まることも、巻き肩になることも、捻れることも、肘が伸びきることもない。
というより、出来ないのだ。
言い方を変えれば、本稿で取り上げた現象があるという事は、「いかに背中が弱いかの裏付け」である。
バレエでは、特徴的なほどに、背中の強さを求められる。
決して、リラックスをしてはならず、強弱を変える事はあれど、常に緊張を保たねばならない。
腹背筋の説明をしよう。
人間の原理から言えば、”背筋があって腹筋” の順となる。
背筋が活動し、それらをサポートする役割を腹筋が担う。
一方で、大人の場合、この方程式が通用しない。
原因は端的に言うならば、運動パターンの少なさ、筋力不足、重さを利用することでの関節運動の習慣化、阻害因子が多い、といったところになる。
そうした事情がある事は、ぜひ、知っていただきたい。
私達が書くこうした記事にしても、実際のプログラムにしても、全て、こうした事を計算しているのである。
膨大な時間と、膨大な労力をかけて。
正直、並大抵のことではない。
他の指導者と言っている事が違っていたとしたら、ここの計算を我々は、隅々まで計算しているからだ。
方程式が通じず、悩んでいる指導者がいたら、ぜひ、参考にしていただきたい。
あなたには、指導者が悩む理由を知って欲しい。
指導力があっても方程式が通用しない為に、伝わらない場合があるという事実を。
話を元に戻そう。
そうした事情があり、大人の場合は、「腹筋→背筋」という方程式を身につける必要がある。
結論:バレエは背中が命
こうなると、”お腹を引き上げて、背中を引きあげればいいんでしょ?” という話に成りかねないので、整理しておこう。
まず、腹背筋の出力が出来ている事が前提となる。
ここに不安があるならば、先にやっておいた方が癖も増えずに済む。
次に、バレエをするにあたり、最低限、必要な腹背筋の強さをつける事。
前提がクリア出来たら、腹背筋の両立とバランス(割合、調合)に取り組むことが出来る。
肩や肘に、本稿で取り上げたような「症状」が現れているならば、こうした事を見直すと良いだろう。
もう一度言うが、背中が強ければ、現れる事はない症状である。
そして、バレエは背中が命である。
大人の場合、鍛え過ぎるという事は、まずない。
あなたが思うよりも、努力が結果となって現れやすい事である。
複雑なことではない。
シンプルに、強さが欲しいのだ。
▶︎参考
○背中のトレーニング
https://juncotomono.info/program/20201215-back-body-system/
○抗重力対策としての背中
https://juncotomono.info/program/20201229-original-bar-back/
○腹背筋の両立
https://juncotomono.info/program/20201209-wbp-trunk/