連載「教わる力」〜③話を聞く〜|大人のバレエ

“あなた” と “おニャーさん” が、お茶会をする「エッセイ」。

ご近所会議でもするかのように、座談会にお付き合いください。 好きなお茶のイメージはできましたか? お気軽に読んでみてください。  

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  この記事は、全3回の連載です。

●前回の記事はこちらから● https://juncotomono.info/be-taught-2-essay/

 

いよいよ最終回。

わたしは、冷たい麦茶を用意しました。

今日もおしゃべりにお付き合いください。  

 

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  今日お話しする内容は、おそらく、ほとんどの人は持っている能力だと思います。

一方で、あなたの職場なり、知り合いなりに一人くらいはいるかもしれません。

 

ちょっと、ギョッとするようなこともあるのですが、大人の話として聞いてください。

 

スタジオで、こんな光景をみたことはありませんか?

先生が「前に出て!」といっているのに、なぜか後ろに下がる。
これはわかりやすい例です。

もしかしたら自信がなくて、誰かが前に出るのを待っているのかもしれません。

 

では。

「骨盤の位置が正しくないですよ!」という先生の意見に対して、
「お腹がこうなってました!」
「脚がこうなってました!」と、的外れなことを言い出す。

 

「つま先を伸ばして!」と言われているのに、なぜかそれはやらずに
「お腹の引き上げや背中がどうこう」ということをした挙句、

「つま先が伸びないんですけど、わからないんですけど!わかるように教えてよ!」とはじまる。

 

 

お察しだとは思いますが、話が通じないんです。
とても残念ですが。

 

本人の聞く気がないというよりも、「話を聞く」という “能力” がないんです。

なので、こんな光景を目にしたら、そっとしておいてあげましょう。

 

 

もちろん、あなたにとって、快適とはいえないかもしれません。
とはいえ、努力したくてもできないわけですから、一歩譲ることも考えてください。

私は若いころ、ここが理解できませんでした。

話をそのまま聞くことは、誰にでもできることだと思っていたのです。

だから、どうしたら理解してもらえるのだろうと、一生懸命、伝え方を試していました。

 

もちろん、伝え方に問題を抱えている場合もあります。

その上で、話をそのまま聞くことができない、相手が何を言っているのか字面を理解できないケースもあるようです。

 

 

これは、先輩方や各方面の方々の助言によって気づき、調べたり、勉強する中で、そのような事例があることを、ようやく理解することができました。

私の経験上の話になりますが、質問の内容でその傾向がわかります。

答えに困る質問が多いのも特徴です。

 

実際に伺った話ですが「教わる力」がある方は、

「質問したいことがはっきりわかるまで、やってみたり、一度整理したりする」
と言います。

 

この時点で、質問するにしても “思いつき” ではなく、熟考した上でのことだとわかります。

そして、”整理したり、考えたり、試してみるうちに、自分なりの糸口が見えてくるからこそ、質問が多いわけではない” ということも伺えます。

「教わる力」がある方の質問というのは、非常に答えやすいのが特徴です。

それだけ、理解していることと、分からないことかがはっきりしている。

何を知りたいのか。 それに対して自分で実験してみてどうだったか。

 

ここまで、用意して質問にきてくれます。

お盆の上に、ご飯とお味噌汁と、主菜副菜が並べられた「定食」にして、”質問” にしてくれる。
自分で定食にする。

質問は、お味噌汁がいいのか、お吸い物がいいのかの意見が欲しい。
主菜の味付けを、醤油味にしたけれど、もしかしたら塩味だったり、他の調味料を足すべきなのかの意見が欲しい。

こんなイメージです。

 

いわゆる「質の良い質問」というものです。

あなた自身はきっと、話をそのまま耳に入れることはできていると思います。

次は「定食作り」に挑戦してみませんか?

定食を作っているうち、いつの間にか、質問したかったことも解決するかもしれません。 

 

 

 

 

 さて、最後にヴォルテールの言葉を記しておこうと思います。

どのように答えるかではなく、むしろ、どのような質問をするかで人を判断せよ。

 

私は、この言葉を知ったとき「ああ、質問って恐ろしい!」と思いました。(笑)

質問するときは、しっかり考えてからにしよう!と思い直したものです。

 

 

今回、私があなたにお伝えしたいのは、クラスを受けていて問題がある人がいるというのは、めずらしくないということ。

レッスンに集中していると気づかないかもしれませんが、突発的な行動を起こすこともあります。

距離を置くことです。
物理的な距離も、会話的な距離もです。

 

あっちこっち稽古場を回っているときは、さっきまでご機嫌だったのに、何事が起きたのかと思うほど豹変してしまったり、駅で待ち受けられていたり、そんなこともありました。

そしてこうした経験は珍しいことではなく、わたしの周りの先生でも、起きたことがある事例です。

ゾッとするような話も聞いてます。

 

まだ、教師に向かっているうちはいいですが、あなたに向かい出したら過剰になることだって考えられます。

だからこそ、距離を置くということを、大人だからこそ、考えていただきたいのです。

その重要性を知って欲しいのです。

 

あなたなら、理解してくれるでしょう。

 3回に渡って、「教わる力」についてお話ししました。

 

掲載された内容は、あくまで私個人の意見ですので、その点、ご了承ください。  

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  お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

おニャーさんより

 

著者おニャー

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