経験談から:投げ出して見えた、その態度

エッセイ

おニャーさんの気ままにエッセイ。

今日も、お茶やコーヒー片手に気楽にお読みください。

この話、バレエテクニックや体の動かし方に関する、通常の記事にしようか迷ったのですが、経験談が中心ということもあり、エッセイにすることにしました。

学生の頃、舞台でそれぞれが場当たりなり、体を慣らしている姿を、とある先生が見ていらっしゃいました。(*)

実はその先生、それ以前でも指導にいらしてくださったり、他の先生をご紹介いただいたり、当時、とってもお世話になっていた先生です。

その日、私は回転の調子がとてつもなく悪くて、端の方でずっと練習していました。

その時、その先生にこんなことを言われたのです。

「あなたは途中で投げ出している。できてもできなくても、それは絶対にやっちゃいけない」

その[練習]は、いわば自習のようなもので、その先生に指導してもらっていた時間ではありません。

ですが、その様子を見ていた先生から、そう言われたのです。

もちろん、私自身、投げ出しているつもりはなく、むしろ必死です。

だからなぜ、そう言われるのか、正直、理解できませんでした。

そして、なぜ「投げ出しているように見えるのか」その先生は、それ以上は言いませんでした。

それは、少しずつわかるようになっていきますが、はっきりと言葉にできるくらいになったのは、実はそれから20年も先のこと。

それは、【動きの途中で形を崩す/腕の動きを早く終えてしまう】こと。

そして、【すぐに姿勢を崩してしまう】こと。

バレエのNG行為ですが、態度にまで影響するとは、その当時、思ってもいなかったのです。

こうしたことの重要性は、一定のレベルにならないとわかりません。

大事だよ、やりなさいと言っても、優先順位は低くなりがちです。

だから、バレエの悩みと言っても、こうしたことが上位になることはまずないわけです。

ですが、それは違います。

バレエが上手下手以前に、「投げ出して見える」という最悪の結果をうんでしまいます。

レッスンがどう、舞台がどうではなく、そこに向かう姿勢の問題ですから。

はっきり言って、最悪です。

私自身、ここまではっきりわかるまでに20年かかったわけですが、その間、何も変わらなかったかというと、そうではありません。

その先生の指導は、その先生の紹介で次の先生に見ていただくようになるまで、続きました。

「投げている」と言われた日から、なぜ投げているように見えるのかを考え、心当たりがあることは排除、改善をしました。

結果、それ以降「投げている」と言われたことは、ただの一度もありません。

「ああいう風に練習しなさい、あの人を見てやりなさい」と何人かの先生が他の生徒に伝える「対象」になることはあっても、その逆はありません。

私は今、当時、答えをすぐに教えなかった、その先生に感謝しています。

手取り足取り面倒を見てもらっていたら、そんな風にはなれなかったでしょう。

よくなったとしても、そこ「しか」よくならないでしょうから。

今ならわかります。

その先生が、私自身をきっと信じてくれていたんだろうということが。

きっと、何が悪いのか考え、何らかのアクションを起こすと。

こうした経験があるからこそ、形を崩さないことや腕のポジションなどは、大人にも意識してほしいと思っています。

もちろん、バレエテクニックにも影響はありますが、それ以前に、その人が誤解を受けるからです。

しかも、大人のクラスの場合、何も言わずに先生に誤解されたままの場合も多い。

やった本人は、原因がわからないから、先生の態度にストレスを感じてしまう。

互いにとって、いい状況ではないわけです。

もちろんわかってます、私も。

大抵の人の興味はここではない。

変形させない、腕の保ち方(時間の取り方)などは、実はバレエの核でありながら、耳にする機会が少ないものだから、重要性を認識できる人が少ない。

スルーされることは多い。

SNSだって、こうしたことを取り上げたときは、目を向けてくれる人が少ない。

そう、だからバレエ動作自体もうまくいかないのに。

それでも、定期的に言い続けているのは、バレエの上達にも大事なことだし、先生や周りの人に誤解を与えないため。

踊っている人の思いが、きちんと届くようにするため。

過去の自分の経験が、誰かの役に立つことを願っているのです。

*レッスン指導の先生ではなく、作品指導のための先生。

お読みいただき、ありがとうございました♪

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