同じビジョンを持つ。
何に向かっているのか。
序論:「意識」より「解釈」
バーレッスン中盤に登場する「バットマン・フォンデュ」は、教師の意図が通じにくい動きの1つだ。
今日は、ここを解説しよう。
バットマン・フォンデュは、
・動作足つま先を床に着くタイプのもの
・45度 もしくは それ以上の高さで行うもの
大きく2つに分けることができる。
今回は、バレエレッスンで取り上げられることの多い後者を対象とする。
前者とは、方法が異なるので注意してほしい。
それでは、一緒にやってみよう!
本論:先生 悩みのタネ「バットマン・フォンデュ」|大人バレエの基本
本論1:先生だって悩みます
もう、何年も前の話になるが、とある若い先生から相談を受けた。
「子供のクラスも、大人のクラスも、バットマン・フォンデュが途中からディベロッペになってしまうんです。
毎回言っているし、それでも分からないみたいなので、何回も動いて見せてます」と。
彼女、若いがキャリアはあるし、指導力もある。
話を聞くと、やるべきことはやっているし、言っていることは正しい。
とても、彼女の指導力不足とは思えない。
多くの教師は「途中からディベロッペなバットマン・フォンデュ」を目にしてきたことだろう。
もしかしたら、あなたの先生は、現在進行形で感じていることかも知れない。
今日は、私の体験を通じて、バットマン・フォンデュ(45度)を一緒に知ろう!
本論2:同じ「ビジョン」を共有しよう
まず、この先生に限らず「バレエの先生」の頭の中には、こんなビジョンがある。
そのまま、ルールブックにできることなので、一緒に整理しよう。
[バレエのルールブック]
バットマン・フォンデュは、支持脚・動作脚が「同時」に伸びる。
「途中からディベロッペに…」というのは、このルールが守られていないことを指している。
つまり、こういうことだ。
②で、すでに支持脚が伸びてしまっているため、②〜③では「動作脚のみ」の動きになってしまうことに着眼しよう。
これを「ディベロッペになっている」と言っているのだ。
この状態に対して、「動作脚を先行するように」という提案をしたそうだが、とても正しい提案だと思う。
私もそうするだろう。
それでも、何も変わらないとのことだった。
本論3:ストップモーションを活用しよう!
内容的には変わらないのだが、
①生徒さん本人が「認知」しやすい
②生徒さん本人が「確認」しやすい
これを提案する必要がある。
本人が重要度を認知していなかったり、できていないことを認知できていないと、そもそも「気をつけよう」という意識が薄らいでしまうからだ。
こうした場合には、「ストップモーション」にしてみるといい。
つまり、バットマン・フォンデュは本来ムーブメントではあるが、動きの特色を得るために、一度「静止、ポーズ」として捉え、その後、もう一度「動画」にしていく。
カウント1
動作脚がクドゥピエ、支持脚はプリエ
カウント2
動作脚がアティテュード、支持脚は「変わらない」(まだ、プリエ)
カウント3
動作脚と支持脚を一緒に伸ばす
これをポーズとして区切って行う。
通常の倍のカウントを用いて、1つのカウントに1つの動作にしてみる。
慣れてきたら、同じ方法で通常のカウントに戻し、ポーズではなくムーブメント、動画として動く。
ここでのポイントは、カウント2では「支持脚はカウント2のまま、保持のみ」ということだ。
結論:後日談
今日の内容をまとめよう。
バットマン・フォンデュ
→両脚は「同時」に伸びる
→プリエをしたまま、動作脚をアティテュードまで移動させる(45度、もしくはそれ以上の高さのとき)
後日談がある。
この先生が連絡をしてきてくれた。
試してみたところ「ほとんどの生徒さんができた」と。
悩んでいた先生のビジョンが、はっきりと形になってよかったと思う。
手助けはできたかもしれないけれど、これまでの適切な指導があったからこその話だ。
あなたも確認してみよう。
それが「認知」へとつながるのだから。
まずは「疑う」ところから。
それが「前進」への一歩となる!