「意思を持って動いて!」
初心者の頃は聞かないかもしれない。
バレエに慣れていき、少しづつ慣れていき、そうなってくると耳にする先生の言葉。
そのとき、「意思を持って」動いたらOKが出たか思い出してみよう。
大抵は「NO」だ。
指導言語には、そのまま受け取った方がいいものと、そうではないものがあるということは、以前にもお伝えしているが、具体的に例をあげてお話ししよう。
”自分の意思で動く”とらの巻
“りんご”にヒントあり
最も多いであろう「グランバットマン」終盤。
上がった脚がポジションに戻すとき、「自分の意思で脚を下ろして!」と言われがちだ。
このとき「脚を下ろそう!」と意思を持って動いても、大抵は「自分の意思で脚を下ろしていない」ということになってしまう。
動きは相変わらず、変化していないからだ。
では、先生が何を求めているのか?ということになる。
ここを理解できると扉が開く。
アイザック・ニュートン。
あなたも知っているであろう “りんご” の話。
そう、私たちは普段、意識してはいないけれど「重力」が存在する。
モノが上から下へ落ちるのは「重力」によるもの。
もし、無重力だったら、宇宙船にイルカの如く、モノも私たちもプカプカと浮いてしまうのだ。
ちなみに重力があるからこそ、私たちは筋を活動させる。
そして、バレエでは「重力や重さ(体重含む)を感じさせない」ことは、大事な要素の一つだ。
モノが上から下へと「落ちる」とき、そのスピードは加速しながら落ちていく。
つまり、「一定の速度」ではない。
ここが、グランバットマンでの「意思で下ろす」を解くカギとなる。
バレエ実験
モノは、加速しながら落ちる。
これは、そのまま体にも当てはまる。
[グランバットマンに上げた脚は、加速しながら落ちる]
先生は、これを「意思のない動き」と言っているのだ。
”意思のない動き=重力に抗っていない” これを避ける方法を模索しよう。
そもそも人間は重力に抗って立っている。
重力に思うがままになってはいけない。
ちょっとした実験をしてみよう。
[やってみよう]
①グランバットマンに上げる。
②45度で一度止める。
③バットマン・ジュッテのようにポジションに入れる。
これならば、勢いに負けて「ドンッ」と足が床に着く音はしないだろう。
さらに、勢いに負けて、支持足に動作足をぶつけることで、ポジションに入ることもないだろう。
これが、速度コントロールである。
何もしなければ、脚は加速しながら落ちてくるが「意図的に」スピードを落とすことで「自分の意思で動いているように見える」のである。
まとめ
45度で一度止めることができたら、実際のレッスンでは「通過」になる。
ただし、”45度でいつでも止められるくらい減速すること” が条件だ。
「減速」することは、意思があるように見えるだけでなく、非常に丁寧な動きであるし、そう見える。
さらにステップアップしたいのであれば、グランバットマンでの最も高い地点〜45度まで猛スピードで下げ、45度から減速できるとさらにいい。
スピードコントロールは、脚の重さをコントロールすることにもなる。
ぜひ、やってみてほしい。
おうちでやるなら
高くなくても
45度より高いところ〜45度でOK!
試してみよう。