回転の安定を構成するベーシック:体を伸ばして使うということ

同じ電化製品でもハイスペックなものと、そうでないものがあるように。

見た目は同じでも、壊れているものがあるのと同じように。

それだけなら、なんとなく体裁をとれたつもりでも、回転のような動作でバレてしまう例はたくさんあります。

それらは全て、体を伸ばして使えているかに繋がり、結局のところ、ボディラインにも影響を及ぼすのです。

どの日にするか、決まった?

事件です!あなたのアンナヴァンがバレるとき

ここに2つの冷蔵庫があります。

中には食材が入っています。

Aの冷蔵庫に入っている食材は、鮮度が保たれています。

一方で、Bの冷蔵庫の食材は、傷んでしまっています。

見た目は同じ冷蔵庫です。

Bの冷蔵庫は、故障していて、食材を冷やすことができていなかったのです。

どちらも同じ冷蔵庫、外側だけ見ていればBが故障しているなんてわからないかもしれません。

けれども、実際には違ったわけです。

 ▶︎Aは、見た目も機能性も兼ね備えていている。食材を保存できている。
   →適切なアンナヴァン

 ▶︎Bは、見た目だけ冷蔵庫。ただし、冷蔵庫としての役割を果たせていない。
   →とりあえず見た目だけはできているアンナヴァン

 ▶︎結果、Bの食材は傷んでしまった。
   →見た目だけならなんとかなっても、ピルエットでは機能しないアンナヴァン

もちろん、ピルエットに限った話ではありませんが、できた・できないがはっきり分かるピルエットは、目安にしやすいものです。

とはいえ、あなたに勘違いして欲しくないことがあります。

 ▶︎最初のうちは、とりあえず見た目をなんとかしておく

これはとっても大事なことなんです。

とりあえず形を作ることができなければ、機能性をプラスしていくことはできません。

「アンナヴァン」と言われたら、とりあえずでも

  • とりあえずの形
  • とりあえずの位置

こうしたことができるのは超重要。

機能性を追い求めるのは、「アンナヴァンって、この形で、このくらいの高さ」とわかる場合の話。

要するに、「あなたはもう初心者のアンナヴァンから卒業しましょうよ!」という次のフェーズに入りましたよってこと。

これは、忘れないでください。

大人の特徴から算出する欲しいアンナヴァンの機能

ただ、アンナヴァンを作るのではなく

ただ、アンナヴァンに腕をぶら下げるのではなく

動きに役立つアンナヴァンを作りましょう。

細かいオペレーションの前に、バレエの概要として重要なこと。

 ▶︎体を伸ばして・張って使う

倒れかかった木をロープを張って、まっすぐにするように、体を伸ばし、張ることがバレエにおける重要項目です。

 ▶︎関節の可動を大きく出せるのも

 ▶︎長い筋肉を育てられるのも

体を長く使っているおかげ。

つまり、技術的な機能性だけでなく、あなたのボディデザインにも影響するってワケなんです。

では、ただなんとなく形を作ったアンナヴァンを、機能的なピルエットでしっかりと姿勢を支えるものに変えていきましょう。

ここでいう機能性を足していきます。

ところで!

ここでいう機能性?ここでいう機能性??何のことかわかっています???

そう、こういうところ流しちゃうと、上達はしないんです。

上達する人は、ちゃんとこういうところにビジョンを持とうとするから、次の課題がはっきり見えているんです。

話を戻しましょう。

ここでいう機能性とは【力のかかる方向、ベクトル】のことを言っています。

ただ、力を入れるだけでは、ガソリン満タンにしても、100年エンジンをかけることのない車と一緒です。

ちゃんと、有効活用しないと、ね。

大人の習性からすると、アンナヴァンは腕の重みでぶら下げてしまう傾向にあります。

もちろん、無自覚なケースがほとんどです。

機能的なアンナヴァンのためには、特に、肩から肘にかけての上腕が外に張り出す力を生み出し、腕やワキのホールドをする必要があります。

こうすることで、肩や腕が安定し、しっかりと体を支えることができるのです。(補足参照)

補足

大人にとっての大きな課題の1つが、上肢帯の安定。

腕の振り回し、それによる姿勢の崩壊、動きが崩れるなどは、上肢帯が安定しないことで引き起こされていることが多い。

プラスマイナスゼロの方程式、アンナヴァンを作ってみよう

アンナヴァンにおいて、外に張り出す力を発生させる重要さがわかったと思います。

と、ここで、あなたに話しておかないといけないことがあります。

それは、大人あるあるな発想と行動についてです。

「外に張り出す力を発生させる」というと、やたら肘を曲げて、潰れすぎたアンナヴァンを見かけます。

これ、本当に外側に「張り出す」力、発生していると思います?

答えを言うと、これも「形だけ」か、「ただ力が入っているだけ」です。

冷蔵庫の話を思い出してみましょう。Bの冷蔵庫は、故障していて、食材を冷やすことができていなかったのです。

 ▶︎肘を深く曲げ、なんとなく張り出した風な形を作ってみた

 ▶︎張り出した風な形を作ってから、とりあえず力を入れてみた

力は、必要分入らないのも機能的ではありませんが、なんのために使っているのか不明な力もまた、機能的ではありません。

ここは、しっかり整理しておきましょう。

では、具体的な方法を。

アンナヴァンを作ってみましょう。

ここから、2つの力の方向(ベクトル)を作っていきます。

ちょうど、プラスとマイナスを同時に働かせて、結果「0」にするような感じです。

どちらかが強すぎると、結果として、ぶら下がったり、肘ばかり曲がってしまうので注意。

 ▶︎前方に押し出す力

 ▶︎外に張り出す力

両方を同時に発生させましょう。

ちょっと、難しいかもしれませんね。

では、対象物を使って体験してみましょう。

ピルエットにも役立つ、アンナヴァン体験

フェイスタオルを1本用意して、両手で持ちましょう。

  • 両手の幅は、普段作っているアンナヴァンの幅
  • アンナヴァンの腕の形、高さをとる
  • 肘は外向き、背中は平らに、姿勢をとる

この形のまま、2つの力を発生させます。

  • タオルを前に押し出そうとする力
  • タオルを横に引っ張ろうとする力

タオルが弛まないように、しっかり外側に張りましょう。

このとき、アンナヴァンの形が変わったり、肘の向きや高さ、位置が変わらないように注意します。

適切にできていれば、腕に張りを感じたり、背中から腕が繋がっていることを感じ取ることができるでしょう。

まとめ

体を伸ばして使う、張って使う大切さがわかりましたね。

特に、ピルエットやアレグロ、バランスを取るなど、テクニカルな動作、うまくいったかいかないかが、はっきりわかってしまう動作への影響は大きいものがあります。

JBPでは、体を伸ばして使うことをエクササイズで体験し、バレエ動作に活かすWSを1月に行います。

大人が意識したい場所、ポイントをお伝えしますので、普段のレッスンでも取り入れてみましょう。

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2023011116 『体を伸ばして使う』“バレエに機能性と体感をプラスする”

ここまでをまとめます。

  • 見た目は同じようでも、機能がある場合とない場合があります。
  • 最初は、とりあえずでも「なんとなくな形」をとれることが重要です。
  • ある程度、なんとなくな形がとれるようになったら、機能性をプラスしていきましょう。
  • 体は伸ばして使いましょう。
  • 力の方向を正しく加えることで、動きと体の機能が加わります。

ファーストステップ♪

次のレッスンまでに、タオルを使ってアンナヴァンを確認してみて!

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