イメージは、空想ではない。
現実にするのだ。
序論:実用性かつ正確な体現を求める
JBP講師M先生がおっしゃった イメージの作り方。
実用性と正確な体現を考える上で、大変有意義な内容だったので、本稿でお伝えしようと思う。
イメージで物事を解釈することは、時として助けになるが、一方で、毒にもなることもある。
適切な利用が求められる事を、知っておかねばならない。
本稿では、具体例を上げて、どのようなイメージングが適切なのかを解説する。
読み終えたら、ぜひ、あなたもイメージ作りをして欲しい。
本論:イメージの作り方|バレエレッスンのヒント
本論1:なぜ、イメージを必要とするのか
イメージを活用することは、できれば、最終手段でありたい。
受け手の解釈の幅が広すぎる為、互いの意思を正確に捉えることが、困難だからである。
それでも、イメージ作りが大いに役立つことがある。
①受け手にとって未体験である、もしくは、確かなものではないことをするとき。
②具体性に富んだ指示をしても、理解が困難であるとき。
③何かに固執してしまい、全体を見ることを忘れてしまっているとき。
例えば、①で考えてみよう。
[りんごを…]と伝えたとしても、りんご自体を知らなければ、話にならない。
そこから先には進めない。
ならば、[赤くて、丸い、木になる果物]とイメージを伝えたら、分かるかもしれない。
もちろん、分からないかも知れないが。
確かなことは、りんごを知らない人に、永遠と[りんご]という言葉を発し続けたとしても、話は通じないということである。
少なくとも、[赤くて、丸い、木になる果物]というイメージは、ヒントにはなるだろう。
本論2:イメージ活用を必要としないケース
イメージというのは、可能な限りの解釈の限定をしたとしても、行き違いが生じ易い。
本論1 [りんご] の例で言えば、[赤い] と言っても、黒っぽい赤、ピンクに近い赤、青みがかった赤など、どれを思い浮かべるかは、受け手次第である。
同じように [丸い] と言っても、コンパスで描いたような丸なのか、四角形や三角形の角が丸くなったようなものも含まれるのか、両方とも含まれるのかなど、どれを取るかによって、受け手がイメージするものは、大きく変わってしまう。
従って、具体的に何をすれば良いのかがわかっており、それが過去、何らかの形で経験していることであれば、イメージを活用する必要はない。
そちらの方が、余程、正確だからである。
過去の経験とは、必ずしも、自身に自覚があるものだけではない。
経験内容は、バレエに限った話でなく、トレーニングや他競技などでも良い。
本論3:避けるべきイメージ
背中に翼が生えたように…
最も、避けるべきイメージである。
子供に向けて、イマジネーションを養うことを目的とするならともかく、現実に起こり得ないことをイメージしてしまうと、本論2で述べたような行き違いが起きやすい。
しかも、行き違っている状態を [正しいもの] として誤認してしまうことが多い。
現実にあり得ること、出来れば、既に経験している中から、イメージを作る。
つまり、イメージを発信する側は、考え抜かれたものを提案すべきである。
思いつきでイメージを乱用すると、混乱を引き起こすからだ。
本論4:イメージの作り方 実践例
最も行き違いが少ないイメージ作りは、既に経験しているものから選択することである。
アッサンブレで考えてみよう。
▶︎バーレッスンでのバットマン・ジュッテの時のように、支持脚を伸ばそう。
▶︎バーレッスンでのバットマン・フォンデュのように、柔らかいプリエで着地しよう。
あるいは、図形でイメージを作る。
ルティレの例
▶︎支持脚と動作脚で、三角形を作ろう。
ロンドゥジャンブパールテールの例
▶︎床に、つま先で半円を描こう。
実在する物体や動きでイメージする。
▶︎ヨットの帆のように、ルティレを張ってみよう。
▶︎ボールが弾むように、ジャンプしてみよう。
▶︎ハイヒールを履いているように、ルルヴェしよう。
結論:正解、不正解はない
イメージには、適切か、不適切か、という課題はある。
イメージそのものが適切・不適切ということと、その人にとって、イメージを必要としているのか否かの判断である。
必要としていないのならば、混乱を起こすリスクを背負ってまで、イメージ戦略を活用すべきではない。
しかし、イメージを活用する場においても、イメージをすることがゴール・目的ではない。
何かを伝える為、チャレンジする為の補助的なものである。
つまり、目的が達成できれば、それでいいのだ。
それが、正解である。
イメージ自体に、正解も不正解もない。
押さえるべき知識があれば、過度に恐れる必要もない。
ポイントを押さえたら、あなたもイメージゲームをやってみよう。