バレエの立ち姿勢。
自分でできることは自分でやっておきたい。
できるだけ「効率よく」バレエを楽しむためにも。
大人は、子供より、体が大きい。
子供をそのまま “拡大” したのが大人ではない。
当たり前のことのように思えるが、こと、バレエの世界では忘れがちなことである。
大人は、大人特有の課題を抱えているのだから、ここを加味した練習法が望ましい。
大事なのは、”子供と同じ方法をとって、表れた形がバレエでない” ではなく、”表れた形がバレエであること” だ。
ここを忘れずにいよう。
今日は、大人が「最低限やっておきたいバレエの立ち姿勢」について、あなたにお伝えしよう!
立ち姿勢を取るための仕組み
その立ち姿を疑え!
子供には「最」重要ではなくても、大人にとって「最」重要なことがある。
それが、体重の重さを[体の後ろ] に設定することである。
これは説明するとなると難しい話なので、とりあえず知ってさえいればいい。
私たちは、何もしなかった場合、重さは体の「前」に落ちる。
それは、ただ立っているときや座っているときでさえそうだし、前に歩くとき、重さを前に落とすことで移動する。
(決して、良い歩き方とはいえないが)
これが、全ての問題の元凶であることを知ろう。
体の動かし方・使い方、技術習得、体型デザイン、ケガ…全ての、全ての、もう一度言おう、全ての元凶だ。
個人的に、荷重と重心を一緒にすべきではないというのは、こうした問題を複雑にしてしまうからである。
バレエでは、荷重位置と重心を [できるだけ遠ざける] という “動きの原則” がある。
同一意味にとらえてしまうと、説明がつかなくなってしまう!
”まっすぐ立つ” 技術
子供用のバレエを習っている場合、仕方がないことではあるのだが “大人用の立ち姿勢” を知らない、自覚がないケースが非常に多い。
大人が子供用の立ち方をしていると、重さをどんどん前に落としてしまう。
加速度的に、望まない方向へと引っ張られてしまうので、注意が必要だ。
まずは、ここまでやってみよう。
[脳内バレエ]
▶︎恥骨と鳩尾を「縦一列」に揃え、フロアに対して「垂直」に立てる。
*側方(横向きで確認することが大切)
側方からみると、大抵は、恥骨より鳩尾が前に飛び出している。
そのために、恥骨から鳩尾を結ぶ線は、フロアに対して “垂直” ではなく”斜め” に倒れてしまう。
まずは、この線を垂直に立てられているか「鏡を見て」チェックしよう。
そして、この線よりも「お腹が出ていないこと」も重要だ。
もし出ているなら、この線とお腹の位置を合わせよう!
子供からの脱却
腹部と骨盤の位置をとったら、次は、胸のポジションを足してみよう。
ここは特に、大人の体には必要なところで、子供の立ち方と大きく異なる点である。
胸の真ん中に、「胸骨」と呼ばれる骨がある。
わからなかったら、”左右の鎖骨の間〜鳩尾までの縦ライン” で良い。
(以降は、胸骨と記す)
大人に適切な立ち姿勢は、「胸骨がわずかに後ろに倒れた状態」である。
前に倒れた状態は、あなたのご想像通り「姿勢が悪い」状態である。
そして、意外と多いのが「胸骨をまっすぐに立ててしまうこと」である。
下の図は、3パターンを表しており、ピンク色の線が胸骨に当たる。
胸骨をまっすぐに立てることが通用するのは、せいぜい小学生くらいである。
中学生くらいを目安に、大人同様に胸骨をやや後ろに傾けることを覚えなければならない。
大人ならなおさらである。
「胸骨をやや後ろに倒す」ことは、大人にとっての重要事項である。
この姿勢を取ることで、腹背筋が必要に応じて引き締まるだけでなく、重さを背中の後ろに移動することができるからだ。
骨盤が起きないのも、支持脚が引けるのも、足を開けないのも、甲が育たないのも、肩が丸まってしまうのも、引き上げができないのも…
言い出したらキリがないが、全ての元凶となっているからだ。
[脳内バレエ]
▶︎胸骨:鳩尾側を起点として、鎖骨側をやや後ろに倒し、胸骨全体がやや後ろに倒れる。
*鳩尾側を動かしてしまうと「肋が開いた」状態になるので、前に押し出さないように注意。
まとめ
大人に適切な立ち方を覚えよう。
①恥骨〜鳩尾を垂直に立たせる
②胸骨は、やや後ろに倒す
目的やスタイルによって、②どのくらい倒すかという「量」は異なる。
比較的、大きく倒す場合もあれば「やや」にとどめる場合もある。
大事なのは、「どのくらい倒すか」よりも、「胸骨がまっすぐではないこと、前に倒れていないこと」である。
やらないことを避けていれば、とりあえずは合格にして良い。
あなたもしっかり覚えよう!
今日は、鏡の前で
1回だけ確認してみよう!