バレリーナの象徴でもあろう “長い首”
しかし、勘違いを生じやすい言葉にもなる。
まずは、正しく “バレエを理解すること” が重要。
序論:バレエの一要素
バレエにおいて、長く伸ばされた首は、外観上の重要な要素である。
それだけでなく、バレエテクニックにおいても機能的な役割を担っており、頭部に次いで身体上部に位置することから、首がどうなっているかの影響は大きい。
本論:正しいバレエの考え方
バレエにおいての「首の伸ばし方」について述べる。
本稿では、正しいバレエの考え方に留め、体についての基礎知識や使い方については、別の機会に述べることとする。
本論1:バレエの “考え方”
結論を先に言うと、バレエにおいての “首を長く” とは、次の手順を踏んだ結果、得ることである。
(図1)
(手順)
①空間において
②頭の位置を高くする
③結果、首が長く伸びる
①空間において
必ず、空間を基準に考えること。空間は「絶対的な存在」であることを、決して忘れてはならない。
②頭の位置を高くする
空間を基準に、頭を持ち上げ、高さを出す。決して、どこかを下げるのではなく「上げる」。
これが “自力で、能動的に” 首を伸ばすということである。”何かのついでに伸びちゃったー”ではなく、「首を長く伸ばす」という意志を持って行動した、ということなのだ。
本論2:実は、教師に多い “勘違い”
今から述べることは、初心者よりもバレエ歴が長い人や、教師に多い勘違いである。いや、正直に言おう。ダントツで勘違いしているのは、実は「教師」である。
・バレエと他の何かを勘違いしている。
・他の人と違う言い方、変わった物言いで”ごもっとも風” を醸し出したい。(つまり、捻くれている傾向が高い)
・もともと、体が落ちている。(引き上がってない)
今から話す内容は、こうしたタイプに多い。予め言っておくが、「勘違い」の内容は、決して「変わった物言い」ではなく、この手のタイプがよく言っていることである。
もう1つ、ご理解いただきたいことがある。あなたの先生が、今からお伝えする内容に当てはまったとしても、批判したいわけではない。拡大解釈はご遠慮いただきたい。とはいえ、そのまま受け取った場合、テクニック的にも安全性の観点からも、弊害が大きいことは確かな事実である。
どうするかは、あなた自身が判断することだ。
本論3:発想の違い
本当は、発想の違いなんて言葉で済ませたくはない。教師ならば、単純に勉強不足なだけだからだ。
生徒側なのであれば、そう深刻に捉えなくても良い。今から、真相を知るわけだから「知って、整理する。そして、試してみる」これで良いわけだ。
では、どんな勘違いをしているのか、頭の中を覗いてみよう、
(図2)
(手順の内訳)
①自分の体において
②肩を下げる
③首が長く伸ばされた???
ここで注目したいのは、なんといっても ”②肩を下げる” ことで、首を長くしようとしている点である。
大人のバレエ、つまり、成人の体で最もやってはいけないことの1つが「肩を下げる」である。重さは、上から下へと流れる。肩を下げることで発生した重さは、股関節や膝、足首、足部へと流れ出し、関節可動を阻害してしまうからである。
この場合の問題点は、まだある。もう、お気づきの人もいるだろう。
筋を使って、首を伸ばすことをしていない。そして、実際に首は伸びていない。せっかくの「首の筋を鍛える」というチャンスを逃してしまった。
自分で首を伸ばすことをしていないと、
▶︎頭の角度をつけたときに、垂れてしまう
▶︎回転のスポットをつけるとぶれてしまう
▶︎後のカンブレで、頭がガクッと落ちてしまう
など、バレエテクニックにおいても弊害が出る。さらに、大人の場合「肩を押し下げる」と、頭が前に突き出てくるので、外観としても良くない。首は、肩を下げても長くはならない。
結論:正しい動きか代償かを判断する必要性
バレエにおいての首の伸ばし方。
↓
頭の位置を高くする、頭を後にすることで「首を長く伸ばす」。
こうすることで、首の筋は適切に働き、頭の重さを支えてくれる。見た目よろし、安全な方法である。
肩を下げて首を伸ばす、これは、肩を下げること自体が「代償行為」である。あくまで、代償は代償である。りんごはりんご、みかんはみかんなのだ。
首の筋に関しては、別の機会に述べる。