大人のバレエクラスでは、「4月始まり」のようなカリキュラムを作るのは困難です。
だからこそ、あなた自身の優先事項や重要性ランキングが、あなたのカリキュラムになります。
知識だけでは、バレエは上手にはなりません。
やらなきゃ変わらない。
それは正しい。
その上で、習得する手順やステップの方法・動き方といった知識は、生きた知識です。
ゆえに、同じ10学ぶにしても、効率よく学び、確実に身につく方法を、教えてくれます。
大人は時間に制限が多いゆえに、効率よく身につけるための知識は絶対に必要です。
ルティレルルヴェは何の役に立つのか?
ピルエットアンディオールやアンデダン。
怖いと感じたり、苦手な場合、どのような対策を取ったら効果的でしょう?
例えば、コレ。
▶︎ルティレ(パッセ)+ルルヴェ
▶︎ルティレルルヴェでバランスをとる
これではありません。
確かにこれらは、回転を安定させる練習にはなります。
要するに、【変形しない】ための練習です。
ピルエットで取るべきフォームを作り、それを崩さない練習です。
- 一度上げた踵が下がらない
- 一度作ったルティレを崩さない
- 一度作ったアンナヴァンを崩さない
- 一度作った姿勢を崩さない
- 一度作った胴回りを崩さない
例えば、ピルエットの最中に意図せず
- 踵が落ちてしまったり
- ルティレのつま先が支持脚から離れてブラブラしたり
- 両腕の高さが変わってしまったり
- 姿勢が崩れて背中が丸まったり
- ウエスト周りがくにゃくにゃと動いてしまったり
これだと回れないわけです。
仮に、これで回れたとしても、それはバレエで言うところの「ピルエット」にはなりません。
「ピルエットはこう」というフォームからは外れているわけですから。
チョコレートを持ってきて、「これは、りんごだりんごだ」と騒がれても通じるわけがありません。
大人がピルエット克服としてやりがちなルティレルルヴェは、こうした事には効果があります。
それに関連してもう1つ。
ピルエットの[フォーム]を学ぶとき。
つまり
▶︎どんな形で回っているのか
これを知り、覚える段階では、必要とする練習です。
だから、ピルエットの前段階練習として、回る前にこの形を作る練習をするワケです。
ただ、ここではあなたに【問題の独立】をしてもらいたいと思います。
ルティレルルヴェには、回転自体が含まれていません。
あくまで、回っている時のフォームの練習です。
回るのが怖い、苦手な人がこればかりやっていても、できるようにはなりません。
「なんとなくいいかも」ということはあるかもしれませんが、根本的な原因解決にはならないのです。
なぜなら、このタイプに必要なのはこの2つだからです。
▶︎回転自体に慣れること
▶︎回るという動作システムを体に入れること
回ると頭が揺れます。
その瞬間に、私たちはバランスを崩しやすい状況に陥ります。
だから「怖い」と感じる。
怖いから「ブレーキ」をかけてしまって苦手になる。
この状況は回らないと体験できません。
そして、バレエにはその状況を打破するための練習が、ちゃんと用意されているのです。
バレエには、ピルエットを身につけるプロセスがある
「ピルエットは怖いし、苦手。だからこそ、回転自体に慣れる必要がある」
理屈ではわかっても、では実際に何をするか?ということになります。
回転というのは、そもそもピルエットではじめて学ぶものではありません。
▶︎両足→片足というプロセスで身につけていく
ジャンプだってそうだったはずです。
まずは、両足のジャンプタンルヴェやシャンジュマンなどからスタートし、アッサンブレやジュッテなどの片足ジャンプを学ぶ。
クオリオティはさておき、大抵はこの順で学んでいるはずです。
回転も同じです。
▶︎両足でのより安定しやすい状況で回転に慣れる
▶︎片足の回転を学ぶ
大人の方が対象のバレエクラスの場合、小学校や中学校のように[4月から新しいカリキュラムが始まって、3月に終了するというサイクル]が取れるわけではありませんから、先生としても思い通りにはできません。
その上で、先生だけでなく、習い手も[今、あなたの中で重視することランキング]がはっきりしていると、レッスンを有効活用できるようになります。
ピルエットが苦手なら、今重視すべきは【両足での回転】です。
レッスンでピルエットが出てきても、です。
ピルエットの出来に一喜一憂している場合ではありません。
- デトゥルネ
- ストゥニュー
これら両足の回転をしっかり正確に行えるようにすること。
- 回転での平衡感覚
- 姿勢の保ち方と腕の使い方
- 回転軸の作り方
- 支持足の作り方(両足でも支持足があります)
- スポットの付け方
こうしたことを両足回転ですでに身につけておくのです。
そして、満を持して片足ピルエットへと挑む。
レッスンでピルエットが出てくるからどうこうという話ではないのです。
何を重視するのか、何を一喜一憂せず冷静にスルーするのか、あなたの中での問題であることをお忘れなく。
両足回転の習得についての補足
両足回転においても段階によって区切りをつけ、習得することで、苦手意識や怖さへの対策をします。
まずは、クオーターつまり4分の1回転で、支持足の作り方を学びます。
クオーターエリアは、ピルエットにおいても非常に重要なポイントです。
ここで回っている時の姿勢を作り切らないと、そのままフォームが崩れてしまいます。
また、最も姿勢やバランス、ポジションを取るのが困難なのが、プレパラシオン〜クオーターまでのゾーンです。
ここは、しっかりと学びましょう。
クオーターになれたら、ハーフターンを。
これは、バーレッスンで右から左へと向きを変える際にも使用されるので、ここまで来れば、レッスンで練習できる機会がグッと増えます。
そして、フルターン。
両足でのフルターンで回転軸の立て方を学びます。
実は、片足よりも両足の方が正確な回転軸を作りやすい。
ですから、ピルエットが回れるようになった時がきても、定期的に両足回転でチェックをすることで、癖がついたり、回れない方向に暴走することを防ぐことができます。
ここまでをセルフチェック!
- 両足シュスに立つ、両手はアナヴァン。
- そのまま、ハーフターンを行う。
予め、シュス&両手アンナヴァンに立つことで、腕や体の振り回し&勢いで回ることを阻止します。
この状態で回ることに慣れましょう。
特に、回転に対し「怖さ」を感じるケースの場合、腕や体を振り回し、勢いだけで回ってしまい、自ら恐怖の原因を作っていることが多くあります。
意図的に制限をかけ、余計な動きがない状況下で回ることを体験しておきましょう。
まとめ
回転が怖かったり、苦手意識がある場合は、適切な対応が必要だということがわかりました。
ただそれは、先生が何をするかよりも、あなたの中での優先順位が大きく影響します。
大人を対象としたバレエクラスのシステムを考慮した上での行動が、あなた自身を助けてくれることでしょう。
この記事で取り上げた両足回転を、JBP2月WSで特集します。
クオーターから行いますので、苦手意識がある方だけでなく、回転の構造システムや習得手順を知りたい方にもオススメです。
ここまでをまとめましょう。
- ピルエットが苦手の場合は、回ること自体に慣れましょう。
- 両足→片足の順で習得します。
- 習得順とは、あなたの中での優先順位のことを言います。
- バレエカリキュラムを組むのが困難な大人向けバレエクラスでは、あなた自身の優先順位がカリキュラムになります。
ファーストステップ♪
次のレッスンまでにセルフチェックをやっておこう!