つま先を伸ばすとき、足指のどこを使っていますか?

バレエでいう「つま先を伸ばす」。

この言葉を聞いたとき、皆さんは足のどの関節を動かしていますか?

実は、ここには少しややこしいところがあります。

MP関節とPIP・DIP関節の分離

バレエでいう「つま先を伸ばす」という動作では、MP関節を屈曲させながら、PIP関節・DIP関節は伸展させていくことが大切です。

つまり、

● MP関節 → 屈曲

● PIP関節 → 伸展

● DIP関節 → 伸展

という組み合わせです。

ところが、実際に「つま先を伸ばそう」とすると、MP関節ではなく、PIP関節やDIP関節を丸めてしまう方が少なくありません。

足指が使いにくい。
つま先がきれいに伸びない。
甲が出にくい。

こうしたことが気になっている方の中には、PIPやDIPを曲げることで「つま先を伸ばしている」状態になっていることがあります。

「伸ばしているつもり」なのに、実際には丸まっている

さらに難しいのは、本人がそのことに気づいていない場合です。

自分では「つま先を伸ばしている」。

でも、実際の動きを見てみると、MP関節はあまり動かず、PIPやDIPばかりが曲がっている。

これは、筋力だけの問題ではなく、どの関節をどのように使っているかということも関係します。

もちろん、足部を支え、動かすための筋力は大切です。

特に大人のバレエでは、まず身体を支えるための基本的な筋力をつけることが土台になります。

そのうえで、必要な動きをより細かく見ていくことも大切です。

「つま先を伸ばす」という動作そのものを、脳が違う動きとして覚えている場合もあります。

私たちは、体を動かすたびに「MPを動かして、PIPを伸ばして……」と考えているわけではありません。

「つま先を伸ばす」と思えば、これまでの経験から覚えている動きが自然に出てきます。

もし、

「つま先を伸ばす=PIP・DIPを曲げる」

という情報が入っていたら、いくら「もっとつま先を伸ばして」と言われても、その動きが繰り返されやすくなります。

まず「どこを動かすのか」を知る

足部を支えるための筋力をつけたうえで、それでも「つま先を伸ばす」という動きがうまくいかない場合。

そのときに確認してほしいことがあります。

それは、

「つま先を伸ばす」という動作と、MP関節の動きを結びつけること。

つまり、

「つま先を伸ばす」
↓
「MP関節を屈曲させる」

という情報を、体だけでなく脳にも覚えてもらうことです。

今まで、

「つま先を伸ばす」
=「PIP・DIPを曲げる」

という情報が入っていたのであれば、

「つま先を伸ばす」
=「MPを屈曲させる」

へと、少しずつすり替えていく必要があります。

MPとPIP・DIPを「分離」して使う

ここで重要になるのが、MP関節とPIP・DIP関節の分離です。

足指を全部まとめて動かすのではなく、

「MPは動かす。でもPIP・DIPは丸めない」

という感覚を作っていきます。

最初は、バレエのポジションで完璧なつま先を作ろうとしなくても構いません。

まずは、

MPを動かしても、足指の先まで全部丸まるわけではない

ということを、体に知ってもらう。

そして、

MPを屈曲させながら、PIP・DIPは伸ばしておく。

この組み合わせを、少しずつ覚えていきます。

これは、単に「足指の筋肉を鍛える」という話とは少し違います。

筋力、関節の動きやすさ、身体を支える力、そして関節をどのように使うか。

つま先の動きには、さまざまな要素が関係します。

その中のひとつとして、MP関節とPIP・DIP関節を分けて使えるかということも見ていきます。

「甲が出ない」ときも、足指を見てみる

「甲が出ない」と悩むと、どうしても甲そのものに意識が向きます。

足首をもっと伸ばそうとしたり、足指をもっと伸ばそうとしたり、ストレッチをしたり。

もちろん、足の形や関節の可動性、筋力など、さまざまな要素が関係します。

ただ、足指の使い方が整理されていない状態では、頑張っているのに思ったような形にならないこともあります。

特に、

● MPがあまり動かない

● PIP・DIPばかり曲がる

● 足指を丸めるようにして「つま先を伸ばす」

● その結果、足の甲からつま先までがきれいにつながらない

という場合には、まず足指の「動かし方」を見直してみることも大切です。

「甲を出す」という結果だけを見るのではなく、その手前で、足指をどう使っているのかを見る。

ここがポイントです。

「できない」のではなく、「違う動きを覚えている」かもしれない

つま先が伸びないと、

「足指の筋力が弱いからかな」
「甲が硬いからかな」
「もっと足指を鍛えないと」

と考えがちです。

もちろん、それらが原因のこともあります。

だからこそ、まずは身体を支えるための筋力をつけること。

そのうえで、もし一生懸命練習しているのに、どうしてもPIPやDIPを丸めてしまうのであれば、

「私は、つま先を伸ばすときに、どの関節を動かしているんだろう?」

と、一度確認してみてください。

「つま先を伸ばす」という言葉は同じでも、実際に動かしている関節が違えば、出てくる形も変わります。

筋力をつけることと、身体を思い通りに使うこと。

どちらか一方ではなく、まず身体を支えられる土台をつくり、そのうえで動きの細かな部分を見ていく。

大人のバレエでは、そんな順番も大切だと考えています。

そして、その細かな部分のひとつが、MP関節とPIP・DIP関節の分離です。

次回は、実際に自分の足がどのように動いているのかを確認してみましょう。

「つま先を伸ばしているつもり」が、どんな動きになっているのか。

一度、自分の足を観察してみてください。

JBPタイトル