ピルエット:なぜ、支持側に倒れてしまうのか 

大人のバレエクラス。

ピルエットのほとんどは、支持脚側に傾いてしまっています。

動作側に傾いていることは、まず、ありません。

それは、大人特有の問題から発生しているのです。

いい失敗、悪い失敗

失敗すること、できないこと。これら全てが悪いことではありません。

できるようになるための “ステップ” となっている場合もあるからです。

その上で、もちろん悪い失敗もあります。

道標が間違っていれば、進む道も間違ってしまいます。道標が正しければ、進む道も正しいでしょう。

努力すれば報われるわけではないのです。

正しいことを努力して身につけるから、できるようになるのです。

バレエをする者としての約束

はっきり言いましょう。

ピルエットの場合、支持側に傾くのは【よくない失敗】です。

あなたが本腰入れて改善に取り組まないのならば、できるようになる日は来ません。

いつの間にかできるようになる類の問題ではないのです。

これは【課題】ではなく【問題】です。

もしあなたが、この現実を見たくないのであれば、今日の記事はここまでにしましょう。

いつまでもできるようにはなりませんが、逃げることができます。

その代わり、できないことを先生やバレエのせいにするのはやめましょう。

成功に導く失敗とは

突然できるようになったら嬉しいかもしれませんが、実際には試行錯誤を繰り返してできるようになります。

方向性が正しい失敗なら、大いに結構!

  • 支持側に倒れてしまう
  • 動作側に倒れてしまう

動作側に倒れてしまう失敗は、実は、心配するような失敗ではありません。

詳しい説明は省略しますし、確かにOKとは言えないかもしれませんが、未来に繋がる失敗です。

なぜなら、ピルエットの【根本的な方向性】が正しいからです。

「支持脚に乗って!」や「ルティレのバランスを練習して!」など、【あなたにとって適切ではない指導を受けていたとしても】それらが根本的な問題になることはないでしょう。

ピルエットの原理が表れる

どちらに倒れやすいかは、ピルエットの原理が体に入っているかが表れます。

よく、「体の真ん中に焼き鳥の串やコマの軸を入れたように」という表現を耳にしますが、これは【そう見える】だけであって、物理的な事実ではありません。

本当にそうだったならば、あなたは、とっくにピルエットができるようになっているはずです。

以前のバレエワークショップで詳しいことはお伝えしましたが、体の真ん中に軸をとろうとする意識が強いのであれば「回れない原因がそこにあるのかもしれない」とあなた自身に問いかけてみてください。

その思い込みを外すことこそが、スタートラインに立つことになります。

20222月もうすぐ

3つのポイント

できるだけシンプルにお伝えしましょう。

詳しいことはWSでお話ししているので、ここでは、概要にとどめます。

ポイント1

さまざまな情報でも発信されていますが、やはり、欠かせないのがルティレへの行き来。

  • 支持脚を擦ってルティレに上げる
  • 支持脚を擦って降ろす

つま先が一度離れてルティレ、途中からつま先が離れてポジションへ。

とてもシンプルなのに、できる人はほとんどいません。なぜでしょう?

  1. つま先が支持脚についているのか、いないのかの感覚がない
  2. 動きが遅い

この2つは、先生の指導が入らなくても、あなた自身が良くしたいと思うのであれば、取り組むことができます。

次の項目を意識してやってみましょう。

【例題:第5ポジションからルティレ、再び、第5ポジションに戻す】

  1. クドゥピエから支持脚を擦って
  2. 猛スピードでルティレで【止まる】
  3. 猛スピードで支持脚の脛半分まで擦る
  4. 第5ポジションに収める

②ルティレの形で必ず止まりましょう。

そして、素早く脚を動かすことも忘れずに。

タイツやジャージなどのウェアが擦れて、シュッと音がするように動かしましょう。

ポイント2

例えば、第5ポジションプリエから、ルティレ+支持足ルルヴェに立ち上がり、再び、第5ポジションプリエに戻る。

という動きをするとしましょう。

着地の第5ポジションで、動作足と支持足の足裏が床に着くタイミングは【同時】、音で表現するならば【トン】と1つです。

ところが、ほとんどの人はこのようにします。

【支持足裏が床に着く➡︎動作足裏が床に着く】つまり、音は【トトン】と2つになってしまっています。

これはNG。

立っているときに支持脚やおしりによりかかっている証拠です。

着地を同時にしようとすることで、正しい重心の位置で立てるようになります。

必ず、修正しましょう。

ポイント3

焼き鳥の串やコマの軸ではなく、【壁作り】をしてみましょう。

支持側の脇の下から、デミポイントで床に触れているところまでの【外側のラインを意識し、壁にします】。

壁はぐにゃぐにゃと形を変えてはなりません。

位置を作った壁は、最後にポーズをとり終わるその瞬間まで崩しません。

こうすることで【見た目】には、焼き鳥の串が刺さっているかのように、コマの軸が通っているかのように見せることができます。

まとめ

ピルエットは、職業ダンサーと同じことや同じエクササイズをしても、できるようにはなりません。

なぜならば、彼らはすでに【回る感覚がインプットされているから】です。

無意識でも、瞬間的に回る体制に入れる場合と、それ自体が難しい場合では、対応が異なります。

ただダンサーと同じことをしてみたいだけなのか、あなた自身ができるようになりたいのか。

改めて、はっきり整理しておくことが求められます。

  • 動作側に倒れる場合は、心配する必要はありません。
  • 支持側に倒れる場合は、本腰を入れて改善しないと全ての回転で成長することができません。
  • ルティレへの行き来をできるようにしましょう。
  • 着地の音を1つにすることで、まっすぐに立つことを覚えましょう。
  • 支持側のアウトラインで壁をつくりましょう。

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