バレエの通訳|2つの骨盤水平

生徒も教師も楽しくレッスンする為に。
指導言語の通訳。

 

序論:指導言語による悩み

バレエレッスンに限らず、指導言語が存在する。

それは、互いに意図を汲み取らなければ、すれ違いになってしまう。

 

骨盤を水平にする・平らにする、これもその1つである。

教師がこの言葉を発する時、何を求めているのか。

本稿では、骨盤を水平にする・平らにする という指導言語の通訳を行う。

 

✳︎本論では、骨盤平らと記す。

 

 

本論:バレエの通訳|2つの骨盤水平

本論1:正面から見た時の骨盤平ら

この場合、どのような状況であるのかを整理しよう。

 

▶︎体を正面から見た時に、

▶︎腰骨が上下している。

▶︎つまり、高さを揃えて欲しいということ。

 

 

バレエは常に、骨盤の高さが揃っているわけではない。

グランバットマンやディベロッペで脚の高さを出す時などは、当然、骨盤の高さは変わる。(注1)

つまり、骨盤は傾く。

 

その上で、骨盤の傾きが必要な場合を除いては、腰骨の高さを揃える。

 

 

腰骨の高さが揃っていない場合の、骨盤平ら以外のサジェスチョンを上げてみよう。

 

・お尻が持ち上がっているよ

・外腿使いすぎているから、内腿を使いなさい

・脚を寄せて

 

こうした事も、骨盤に関連したサジェスチョンとなる為、気をつけてみたけどOKがもらえない場合は、腰骨の位置を確認してみると良い。

 

 

 

 

本論2:体側から見た時の骨盤平ら

鏡に対して直角に立ち、体を横向きから見てみよう。

 

▶︎体を横から見た時に、

▶︎左右の腰骨を結ぶ線が、前後してしまっている。

▶︎つまり、前後のズレをなくして欲しいという事。

 

 

横から見た時に、片方の腰骨が前に出過ぎている、あるいは、引きすぎている状況だ。

ほとんどの場合、動作側の腰骨が前に出過ぎる+支持側の腰骨が引きすぎてしまう がセットになっている。

 

1番ポジションと5番ポジションでの、骨盤のポジションは異なる。

同じにしていたら、実は、間違いだ。

 

それを前提として、例えば、バットマンタンジュ デヴァン(前)で、動作脚を出すのと同時に、ズルズルと腰骨が前に行き過ぎると、骨盤を平にしなさい!という、教師からの指示が出る。

 

本論1にも共通しているが、骨盤の可動は、動作に見合っていなければならない。

動作に見合わず、骨盤だけが可動している場合は、動きのバランスが取れていませんよ!という意味で、骨盤平らという言葉を使う。

 

 

 

この状況において、骨盤平ら以外のサジェスチョンを上げておく。

 

・腰骨を引いて

・腿が滑っている・雪崩れ込んでいる

・おへその向きを正面に向けなさい

など。

 

いずれも、動きのバランスが取れない場合に、目立つ行為である。

目立つ行為に対して、教師は指摘をする。

 

それが例え、根本解決するものでなかったとしても、悪目立ちしているのだから、まずは、言われたことに全力対応してみよう。

 

 

 

結論:バレエの特筆すべき性質

何度も言うが、骨盤は必要に応じて可動する。

大人の場合、必要な時も可動せず、体に負担をかけていることが多い為、ここはしっかりと認知しておく必要がある。

必要な時まで、頑なに骨盤水平を保とうとすることには、賛成できないし、バレエとしても正しくない。

 

しかし、不必要な可動を押さえる事も、バレエの醍醐味である。

なぜならば、バレエは付け足す美学ではなく、引く美学だからである。

余計な雑音を減らす、余計なノイズを減らす。

そこが、他のダンスとの圧倒的な違いであり、故に、洗練されたものなのである。

 

クラスレッスンにおいて、教師が骨盤平ら と言う言葉を発する時は、

・不必要に可動している

・動きとのバランスが取れていない

いずれかに該当する。

 

その際は、本論1と本論2のどちらを指しているのか把握することで、意図を汲み取り、理解が深まる。

 

また、1番ポジション・5番ポジションの骨盤プレースメントに理解がある場合は、どちらのポジションからスタートした動きかを考慮すると、より確信を持てるであろう。

 

指導言語は、複合性が高いことが多い。

だからこそ、行き違ってしまうこともあるのだが、意図が分かれば、テンポよくコミュニケーションを取ることが可能だ。

1つずつ、分かっていけば良い。

そこには、かつてないほどの楽しい世界が待っているのだから。

 

 

注1 参考:骨盤の動かし方について、実際に詳しく講義を行います。

 

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