同じ人間でも
骨格が違う。
だから「処方箋」
序論:状況によって変化する指導言語
・開く、閉じる
・上げる、下げる
相反する言葉が、同じ部位に対しての指導言語として使われることがある。
”状況” によって、適切な指導をするとなると、”状況” によって指示が変わるとは言え、習う側としては混乱しやすいものである。
本稿では、背中に対しての「開く・閉じる」についての解説をする。
本論:背中は開くのか・閉じるのか|大人のバレエ、指導言語を知る
本論1:最終的な形と目的
どうするかを考える前に、「背中を開いて!閉じて!」と指示されるとき、教師の目にどう映っているのかを整理しよう。
以下、「標準的な立ち方」との比較が前提である。
▶︎背中が丸い、真っ直ぐ立っていない
▶︎肩が丸まっている、前に位置してしまっている
▶︎腕に関わる部位のポジションが不正確
つまり、ざっくり言えば
①姿勢不良に映っている
②背面が休んでいるように映っている
この2つを理解しよう。
ここから言えることは、「背中を開いて!閉じて!」という指示を受け入れ、実行することで、正しい姿勢と背中の活動、肩や腕の位置を取る目的があるということ。
ここを見失わないようにしよう。
本論2:処方箋
大人に必要な “処方箋” を出そう。
まず、前提にするべきは、背中を「開く・閉じる」と指示する際の多くは、「肩甲骨」位置の修正を求められているのだということ。
肩・腕に関しても、適切な運動連鎖を持っていれば、肩甲骨の位置を修正することで、同時に変わる「ハズ」である。
従って、根本的には「肩甲骨」にフォーカスすることとなる。
大人のほとんどは、肩甲骨全体が外側に離れすぎだ。
「標準の立ち方」より、かなり、外側にあることがほとんどである。
これは、大人特有の日常生活の影響が色濃く表れていると言って良いだろう。
ということで、肩甲骨全体を寄せよう。
次に、平面上の向き。
肩甲骨を上下2つに分けてみよう。
大人に多いのは、上半分に対し、下半分がとても離れてしまっている状態だ。
「閉じて!」というのは、この部分。
下側だ。
「開いて!」とは、上側を言っている。
結論:問題の分離と補足
①肩甲骨全体を寄せる
②肩甲骨下側をさらに寄せる(閉じる)
「開く」に該当するのが上部分だが、積極的に開くというよりは「下側」を閉じることで相対的に「開く」になる。
「開いて!」と指示が出た場合でも、まずは、下側を「閉じる」(寄せる)ことが重要だ。
補足をしておく。
肩甲骨を寄せることで
・肋が開く
・胸が開く
・体が反ってしまう
ということが起きたとしても、肩甲骨の位置をとったことが直接原因ではない。
肩甲骨は、胸郭や背骨に関係なく動かすことが出来る。
このような問題が発生したとしても、肩甲骨の位置とは別問題ということは、強く強くお伝えしておく。
大人の場合、標準よりも外側に離れているので、相当に寄せたとしても、標準かそれに足りないくらいになる。
従って、厳密にいうと、いわゆる「肩甲骨を寄せた状態」とは異なる。
肩甲骨を寄せたから「反ってしまった」というのは、理由にならない。
肩甲骨に関しては、こうした「付属問題」が表れた時点で、正しい位置を取ることをやめてしまうことが多い。
納豆と納豆のタレは、ベツモノだ。
イコールにすべきではない。
「寄せる」のは、脚だけでない。
一緒にやってみよう!
大人は、肩甲骨も「寄せる」。
それに負けないお腹の強さを!
●参考●
お腹はこうして強くなる
▶︎https://juncotomono.info/program/20210202-abdominal/
お腹。脇腹の強さも忘れずに
▶︎https://juncotomono.info/program/20210217-waist/