”バレエのために”よりも
”バレエの前に”をやっておいた方が
”バレエのため”になる。
序論:大人の指導は超難解
大人は、個体差・個人差が非常に大きい。
これが、指導を難解にしている。
一所懸命やっていても思うようにいかない原因や、指導言語や体の方程式が崩れてしまっている原因がここにある。
本稿では、「大人がバレエを踊りやすくするために体を整える」ことについて述べる。
本論:大人のバレエ 踊りやすくするためにカラダを整える
本論1:飛ばすからこそ遠回りになりやすい
上の図を見て欲しい。
バレエのための体作りというと、①をすっ飛ばして、②ばかりをやりがちである。
①の存在に気づいていないケースもあるだろうが、”②をやれば①も出来る” という勘違いを起こしやすいのも確かである。
もちろん、①と②は密接な関わりを持ってはいるが、②に①が含まれるわけではないことを忘れてはならない。
①を飛ばして、②に取り組んだ際のマイナス面を見てみよう。
見たくはないかも知れないが、マイナス面を知っておくことは「不適切な行動を避ける」という意味でも重要なことだ。
▶︎ほとんどの大人は、筋バランスに偏りがあり、筋の過活動と非活動の差が存在する。
↓
▷より一層、差が広がることで、現状、微弱な筋はますます活動を弱めてしまう。
▶︎①が解消されていない状況は、本来、②を行うべき状況であるとは、言い難い。
↓
▷体作りの目的が達成されないだけでなく、体作りを行うことで、事故やケガを誘発しやすい。
▶︎本来の可動域が制限されてしまっているために、代わりに他の部位で動くことを覚えてしまい「癖」がつく。
↓
▷代償行為(運動)を「正しい動き」と認識してしまうため、正しいことをしても受け入れにくくなる。
(これは心理面にも影響を及ぼす)
本論2:大人と子供の違い
大人が子供と違うために考慮した方が良いことは、複数存在する。
骨格、体の大きさや重さ・運動経験の有無・成長期と老化という違い、などである。
とはいえ、あなたが最もわかりやすいのは「生活習慣」であると思う。
子供は、一斉に学校に行き、同じ時間の授業を受け(つまり、椅子に座り机に向かう)、時々、体育などが入り体を動かす。
違いはあれど、大人ほど多様ではないし、選択肢があるわけでもない。
大人の場合、さまざまな生活パターンが存在する。
例をあげてみよう。
▶︎デスクワーク…座っている時間が長い。
▶︎立ち仕事…立っている時間が長い。
▶︎家事・育児・介護・農作業…前かがみになる時間が長い。
3パターンだけでも、これだけ多岐に渡る。
デスクワークと言っても、一日中パソコンを使う人とそうでない人では、パターンが異なる。
立ち仕事と言っても、立ったまま何らかの作業を続ける人とそうでない人とでは、パターンが異なる。
通勤の有無によっても違いが出るし、通勤が車なのか、バスや電車なのかでもパターンが異なる。
大人の場合、子供よりも「個人差」が非常に大きい。
さらに、あまり歓迎すべきではない習慣がついてしまっているケースが、120パーセント確実であることを知っていただきたい。
すると、体に不調が表れやすいのだ。
これでは、とてもじゃないがバレエで踊りやすい体の状態だとは、言うことが出来ない。
本論3:「基礎」を正確に知る
日常で不調が発生していなくても(気づいていなくても)、いざ、バレエレッスンをする際にネックになることがある。
▶︎本来、持っているはずの「可動域」が減少している。
▶︎本来、生活するだけで手に入るはずの「筋活動」が不足している。
「基礎」とは、本来持っている体の機能のことである。
「基本」ではない故、絶対的なものである。
基礎という土台がないまま、「バレエのため」という可動域拡大に取り組んでも、求めるものは手に入らない。
バレエダンサーと同様のストレッチやエクササイズをしても、動作に反映できなかったり、ケガや痛みを招く。
或いは「良くなった気がする」止まりだったり、その時は良かったけれどいつの間にか抜けてしまっていた、ということが起きるのは、このためだ。
結論:より絞って、集中的に
本稿で述べたことは、バレエレッスン外でやっておくことである。
レッスンの目的が「肩こり解消」であるならば話は変わるが、それ自体を目的とする時点で、「肩こり解消エクササイズ」である。
バレエではない。
体を整えるために、市販のテキストにあるような、沢山のエクササイズやストレッチは大変だし、負担になる。
大人に必要なものに絞って、体を整えよう。
それだけでも、今までよりも随分「正しい」に、近づくことが出来るだろう。
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これだけはやっておきたい、項目別ストレッチ・エクササイズ・マッサージ掲載