基礎基本重視の落とし穴

エッセイ

おニャーさんが「個人的に」感じたこと、思ったことをお伝えするエッセイ。

井戸端会議のつもりで、お読みください。

2022年6月受付開始日

基礎基本が大事だから、難しいことよりも、そこに絞っている。

基礎基本が大事だから、それしかやっていない。

基礎基本が大事だから、それができるまで次へは進まない。

このような趣旨の言葉。

ネットなどでは、よく見かけます。

特に、大人や教師に多い言葉のように感じます。

なかには「基礎基本しかやらない教室です」と掲げているところもあって、個人的には驚きを隠せません。

これは、決して批判ではないのです。

そこに賛同得る人がいて、自分達だけで責任を取るのならばいいのです。

“自由と選択“という権利がありますから。

そこに介入する権利もないし、信じてやまない人の考えを変えるつもりもありません。

私の考えを押し付けるつもりもありません。

大人ですし。

なので、ネット上でバレエの議論がはじまっても、参加することはありません。

そんな暇もない。(笑)

さて、私は知っているんです。

「基礎基本しかみていない、基礎基本が大事で全てだと思っている、基礎基本を完璧にすれば上手になると思っている、基礎基本は安全だ、基礎基本に忠実に取り組んでいる」

そう思っている人ほど、基礎基本の定義が曖昧なことを。

疑問質問反論自論、それぞれあるでしょうけれど、そうなんです。

「バーレッスンがバレエの基本」と言われると、卒倒しそうになります。

ここに、基礎基本と呼ばれるものがあるとしましょう。

基礎基本が何なのか。

それがわかり始めるのは、その道を極めようと、時間も気力も体力もお金も投じて、技巧的なものも出来るようになって、それからです。

「もう、これ以上は無理だ」と諦めがつくほどやらないと、基礎基本なんてわかるものではありません。

“諦める“というのは、マイナスの印象が強いと思いますが、そればかりではありません。

諦めがつくまでやり切った、客観的に判断できることの結果でもあるのです。

そうした人たちがいう(ダンサーでもスポーツ選手でも、研究でも)基礎基本が大事だというのは、生徒が思う“基礎基本が大事“とは、意味が違います。

先の難しいこと、技巧的なことや最終形に取り組んでわかったことが、「最終形を実現するために基礎基本が要になる」と実感したからこそ思うことです。

ゴールが見えていて、近いところまで来たからこそわかる。

すでに、かなりのレベルに到達した人の言葉は、一般的な意味合いと異なることが多いですから、そのまま受け取ると、意味を取り違います。

➡︎基礎基本ではないことを「基礎基本」と思い込んでいる。

➡︎技巧的なことから逃げたくて「自分に」できそうなことを「基礎基本」と呼んでいる。

➡︎「基礎基本」という言葉を使うことで、思考停止に陥っている。

とても多い傾向です。

今から、あなたに大切なことをお伝えします。

走り高跳び。

何千回、何万回と跳んでも、バーの高さが同じならば、それ以上、高く跳ぶことはできません。

走り幅跳び。

「ホップ、ステップ」を1億回練習しても、100万年練習しても、「ジャンプ」をしなければ跳べる日は来ません。

「これが基礎です、これが基本です」あるいは「これが大事です」ということでも、先に進まなければ、やらなければ、基礎基本が何なのか、何のためにあるのか、わかる日は来ません。

例え、基礎基本が身についたとしても、バーの高さを上げなければ、ジャンプをしてみなければ、何のためにあるのか。

あなたが先に進まなければ、できる日は来ません。

それは、技巧的なことも、基礎基本も、です。

100億円積んでも、100万年かけても、やらなきゃわからないんです。

本当に基礎基本がわかっていたら「基礎基本」という言葉は、あまり使いません。

具体的な方法を知っているから、そちらを伝えるようになります。

習う側もそうです。

具体的な方法を知っていたら「●●を▲▲する」と意識するでしょう。

漠然と「基礎と基本が大事だから、基礎をしっかり、基本をしっかりやろう」なんて思いません。

わかっていないからこそ、曖昧なこと全てを乱雑に、乱暴に丸め込んで「基礎基本」という言葉で片付けようとしてしまうのです。

あなたが本当に、基礎基本を身につけたいと思うなら、基礎基本にこだわりすぎないことです。

チャレンジした方がいいことは、チャレンジした方がいい。

失敗したっていいんです。それが、レッスンですから。

失敗したら、感じるものがあるでしょう。

「これをやったらできるようになるかも」とか

「そのために、この基本動作の練習が必要かもしれない」とか。

それこそが、基礎基本を知る最も近道です。

基礎基本が大事だから、と諦めていることがあるのならばもったいない。

あなたの前向きな気持ちを、あなた自身で押しつぶす必要なんてないのです。

今日は、心当たりがある人にとっては、厳しく感じる内容だったかもしれません。

これは、個人的な意見ですので、あなたが思うことがあるならば、それはそれでいいと思います。

繰り返しになりますが、自分以外の考え方を批判したいのではありません。

「そんな考え方もあるんだな」と流して頂けたら幸いです。

お読みいただき、ありがとうございました♪

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