大人にありがちな癖があります。
何十年もかけて身につけてしまった癖を改善するのは、決して簡単ではありません。
でも、ちゃんと手段はあるのです。
バレエには、大人のあなたに適応する体の再教育パートが用意されています。
あとは、あなたがその意図を汲み、適切に動いてみるだけ!
バレエテクニック 習得のセオリー
バレエの習得順序。
今回の話は、センターレッスンを想定してみるとわかりやすいかと思います。
初級と上級で圧倒的に違うものはなんでしょう?
もちろん、色々ありますよね。
あなたが今、想像していることもきっと正解。
その上で、大きな特徴として
▶︎初級では、その場で行うアンシェヌマンが多く
▶︎上級では、移動を組み合わせたアンシェヌマンが増える
ということがあげられます。
例えば、同じ[アダージオ]でも初級なら、腕を運ぶポールドブラや各種ポーズ、脚を大きく動かすと言っても、単独のディベロッペなどにとどまります。
一方、上級では単独のディベロッペに留まらず[トンベなどの踏み込みやピケ]などの活用で、移動するものが増えてきます。
ルルヴェを習得する過程も同じです。
まずは、その場でのルルヴェを学びます。
1番のルルヴェやシュス、あるいはルティレなどを組み合わせたその場で行うルルヴェです。
そしてそのうち、ピケやシャッセ、トンベなどが組み合わさった、移動の含まれた動作を習得していきます。
大人のクラスでは、なかなか理想通り・思い通りにはいきませんが、こうした順序で習得していくのが定石であることは知っておきましょう。
ただ大人の場合、[移動する=運動をする]ことが大事になってくるのも事実。その場合、移動をメインにしたアンシェヌマンを組む場合もあるんだよ♪
習得すべき重心線と荷重位置の関係
大人のクラスの場合、初級だろうとそれ以上だろうと、移動するものしないものが混在してアンシェヌマンとして出題される傾向にあります。
もちろん、出題されたものには真剣に向き合うべきですが、重視する順としては[移動しない→移動を伴うもの]になります。
つまり、移動しないものでうまくいかないのであれば、移動するものができなくてガッカリするのはナンセンスってものです。
わかりますか?この意味。
移動しないもので得るべきテクニックが習得されていないのであれば、移動するものでうまい行かないというのは、十分考えられること。
ならば、ガッカリするよりも、移動しない動きが適切か見直してみることが効率良いということ。
さて、この最初に習得したいことを言葉にまとめてみましょう。
こうなります。
▶︎重心線を変えずに、脚(足)を動かし、荷重位置を変える。
重心と荷重を同じ意味で使っている方が非常に多いですが、全く異なりますので、補足しておきましょう。
具体的に身につけたいこと
さて、[重心線を動かさずに脚(足)を動かし荷重を変えるもの]で絶対的に習得しておきたいことがあります。
▶︎胴体を不必要に動かすことなく
▶︎腕や脚を動かせること
移動しないんだから当たり前でしょ?と思うかもしれませんが、レッスン中の先生の言葉には、ここに関するサジェスチョンが多く含まれています。
- エシャッペや両足のルルヴェ(1番やシュスなど)
- シンプルなタンジュやディベロッペ
- シャンジュマンやアッサンブレ
こうしたバレエ動作でこんな指示をされたことが、1度ならずともあることでしょう。
- 上体を立てなさい
- おしりが出ている
- 肋が開いている、胸が突き出している
- 骨盤を動かさないで
- 体をまっすぐにしなさい
もし、プレパラシオンの段階でこうした【症状】が表れているのならば、動作・ステップの問題ではありません。
立ち姿勢を見直す必要があります。
一方で、プレパラシオンはまっすぐに立てているけれど、動き出すとこうした症状が現れるなら、脚や腕の動きに胴体が負けている証拠です。
つまり、体の重みで動いてしまっている証拠。
ほとんどの大人が持っている症状ですが、バレエにおいては早めになおすことがオススメ。
移動しない動きで修正しておかないと
- グリッサード&グランパデシャ での上体ツッコミ
- トンベパドブレ&ピルエット での上体の前倒し
こうした問題の改善が難しいからです。
それどころか、可動域も、筋力もつきません。
移動しない動きでは、体の重みに頼らず、脚や腕を動かせるように心がけましょう。
セルフチェック
セルフでできるチェックをご紹介しましょう。
今回取り上げるのは、シンプルな1番のルルヴェ(プリエなし)です。
- アライメントを整えましょう。
→体の側方を正しく配列します。 - 静かにルルヴェします。
- ルルヴェの頂点に達します。
- 姿勢を崩さずにアテールにおりましょう。
ルルヴェをするときに、上体が前に倒れたり、のけぞってはいけません。
まっすぐ上に移動しましょう。
もちろん、体を斜め前方に倒した方が動きやすいですが、これこそが上体ツッコミの原因(重さで動いているということ)です。
ただでさえ、重さに動いてしまう大人の場合、1ミリでも前に倒れないようにする意識が大切です。(それでも、実際にはかなり前につっこんでしまうため)
特に、踵が床から離れる瞬間が、最も体が前に倒れやすく、難しい瞬間です。
過信せずにチェックすることで、効率良い改善へと導きます。
まとめ
バレエテクニックの習得する順序がわかりました。
実際のレッスンでは、さまざまなアンシェヌマンが出題されますが、こうした知識を持っていると、あなたの中で今、何を優先したらいいのかが整理できるようになります。
JBPでは3月に、この記事で取り上げた[重心線を変えずに荷重位置を変える]WSを開催します。
大人に多い癖にじっくりと向き合い、正しい重心線の取り方へとエデュケーションします!
また、移動に関してのWSも予定されています。
移動する歩幅など、はっきりとした目安で取り組むからこそ身につけることができます。
さて、ここまでをまとめましょう。
- バレエでは、[移動しない動き→移動を伴う動き]の順で学ぶのが定石です。
- 移動しない動きを正確にできるようにすることは、大人特有の癖改善となります。
- 重心線を変えず、腕や脚を動かす際、動体が不必要に動かないようにしましょう。
ファーストステップ♪
セルフチェックをやってみよう!