鳥の翼は、大空を羽ばたくためにあります。決して、空から落ちるためではありません。
翼に形が似ている肩甲骨。
落ちるためなのか、羽ばたくためなのか。その存在意義とは。
状況を整理
「肩を下げて!肩甲骨を下げて!」と指示が出やすい状況を整理しましょう。注目は3つ。
- 腕付け根の角度
- 背中が丸い、姿勢不良
- 頭の位置が悪い
これに、”プラスα” がありますが、それは後ほど。まずは、1つずつ解説していきましょう。
腕付け根の角度(肩のアンディオール)
腕の付け根は、脚の付け根同様に外向きに保ちます。これが【肩のアンディオール】です。内向き(アンデダーン)になっていると肩や肩甲骨の指摘を受けやすくなります。
腕の付け根が内向きになってしまっている場合、その多くは、鎖骨の角度が適切ではありません。鎖骨に水が溜まってしまうような窪みができていないかを確認しましょう。
また、第2ポジション(アラセゴン)での腕の位置が低いと、肩がアンデダーンに入りやすくなります。腕の高さが低すぎていないかも合わせて確認すると、さらにGOOD。
肩のアンディオールに入る準備として、ここまではセルフでもチェックしておきましょう。
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『バレエ力を上げる』大人への3パック【アンディオール/ルルヴェ/二の腕】背中が丸い、姿勢不良
背中が丸くなっていると、相対的に肩甲骨が上がっているように見えてしまいます。この場合、対処するのは肩甲骨ではなく「胸骨(きょうこつ)の角度」です。
*胸骨…胸の真ん中に縦に位置する骨
胸骨がまっすぐになっていると背中が丸くなってしまいます。この位置は誤りです。胸骨はやや後ろに倒します。
特に女性は、バストの重さで前に引っ張られ、背中が丸まりやすいですので注意しましょう。
頭の位置を修正しよう
頭の位置が適切に取れている人は、本当に少ないです。現代人の悪習慣なのかもしれません。パソコン、スマホ、気付くと一日中、頭が前に突き出ています。
頭は、体の最も上部に位置しているため、正しい位置を取れないと頭から下が全て崩れてしまいます。
特にバレエでは、日常より頭を後ろに保ちます。頭の角度は変えずに、いつもより1センチ後ろにして保ってみましょう。
【プラスα】先生へのお願い
実際の指導現場、特に大人が対象のクラスの場合、子供以上に教科書の内容が通用しません。
大人の方が本当に(表面的な意味だけでなく)上達するように指導をするとなると、指導者としては、たくさんの困難に遭遇します。
「肩を下げて!」と先生が言いたくなったとき、そのほとんどは別の問題が原因です。
大人の場合、肩の位置が落ちていることがほとんどですので、それ以上に下げてしまうと体が落ちてしまうという問題を新たに生み出してしまいます。
先生のチェック項目
もちろん、全ての先生に当てはまる訳ではありません。
一方で、「なんだか、思いつきや口癖で言葉を発しているのかな?」と感じるケースが多発しているのは事実です。
あなたはそうではないとは思いますが、念の為、心の中で問いかけてみてください。
- 生徒さんの肩や肩甲骨は、本当に下がっていますか?
(ここに関しては、見極める技術が必要です) - 口癖で言っていませんか?
- 発言と本当の改善ポイントが一致しているか考えていますか?
- その指示は、本当に必要だと思いますか?
- 何を変えて欲しいのか、どうして欲しいのか、その理由は?明確なプランはありますか?
指導者としての力量は、解剖学知識やメソッド丸写しではありません。
ここは生徒さん側にも、理解が必要です。
解剖学やメソッド丸写しにするのであれば、丸写しが適応する身体能力が必要です。
このような提案を試してみてはいかがでしょうか?
- 鎖骨にお水が溜まっていませんか?
- 腕が下がっていませんか?正しい高さを保ちましょう。
- 肩を外へ広げましょう。
- 肩幅を広くしましょう。
- 肩甲骨を正しく寄せましょう など。
まとめ
今回は、生徒さん側・先生側、両面からの解説をしました。
“ただ、なんとなく” を卒業しようとすることで、考える力がつきます。
特に、生徒さんは、自分から課題を見つけようとする習慣をつけましょう。
「肩を下げて!」と指示が出たとき、言いたくなったときは、次の項目をチェックしてみましょう!
- 腕の付け根の角度を確認しましょう。
▶︎関連項目:鎖骨 - 背中を含む、姿勢を確認しましょう。
▶︎関連項目:胸骨 - 頭の位置を確認しましょう。
▶︎関連項目:頭
ファーストステップ♪
次のレッスンでどれかひとつ、意識してみよう!
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