バレエレッスンで出題されるアンシェヌマンの順番を覚える助けとして、「こうしたい!」というイメージを具体化するためなどに、腕や手を脚や足の代わりに動かしてみる【シミュレーション】をすることがあるかと思います。
その一方で、適切な方法や注意点などについては、あまり知られていません。この記事では、バレエレッスンで取り入れたい腕や手を使っての適切なシミュレーションの方法や注意点について、わかりやすく解説します。
大人はぜひ、覚えたい
□どんな動きかを確認する。
□理想の動きや改善後の動きを確認する。
□これから行う動きを頭に叩き込む。
□アンシェヌマンの順番を覚える。
シミュレーションをする目的はさまざまですが、大人の場合、腕や手を【正確に】動かせないと、脚や足・足指を正しく動かすことができません。
まずは、手を使ってシミュレーションできるようにする必要があります。
その理由
□他に【正確に】動きを確認する術がない。
□他の方法だと実際の動きを【詳細に】シミュレーションできない。
□頭の中に情報が入りにくい。入ったとしても優先度が低く【なんとなく】になりがち。
大人の場合、感覚と実際にかなりのズレが生じているため、体感を含む感覚を頼りにはできません。もちろん、「できた気がする」という【感情】の目安にはなるかもしれません。とはいえ、技術的にアテにすることはできないのです。
また、体は筋肉の働きによって動きますが、筋肉は脳からの指令によって動きます。
何かをできるようにしたい、何かを変えたいときに「なんとなく」だと指令がうまく出ません。情報としての優先度と定着をするためにも、腕や手を使ったシミュレーションを正確にやりましょう。
やってみよう!
難しいことはこのくらいにして、実際にやってみましょう!
腕や手を、脚や足に見立てます。今回取り上げるものは入門編になります。
ことばチェック
□脚(レッグ)…脚の付け根から足首まで
□足(フット)…足首から先(靴に覆われた部分)
□腕(アーム)…腕の付け根から手首まで
□手(ハンド)…手首から先
各パーツの見立て方
□脚 ▶︎ 腕
□足 ▶︎ 手
□肘 ▶︎ 膝
□手首 ▶︎ 足首
例題:バットマン・タンジュ
ここでは、シンプルなバットマン・タンジュを取り上げます。大人が陥りがちな傾向を考慮していますので「正しいシミュレーション」がしやすくなっています。
タンジュを【ざっくり】分析
タンジュのルールは?
・ポジションから足の出し入れをする。
・膝を伸ばす。
・つま先を伸ばす。
・脚を外向きにする、など。
動かしてみよう!
例えば、第5ポジション。
1:両腕を交差させる
▶︎脚の第5ポジション
2:手首を曲げる
▶︎アテール
前方へのタンジュをしてみましょう。
1:手首を伸ばしながら、腕と手を前に出す。
2:第5ポジションに戻す。
ここが大事!チェック項目
タンジュ&第5ポジション 共通のチェック項目
□肘は伸びていますか?
▶︎膝を伸ばす
□手指は伸びていますか?
▶︎足指を伸ばす
□肘は外向きになっていますか?
▶︎脚を外向き
第5ポジションのチェック項目
□腕が交差するところで、両腕が接触できていますか?
▶︎脚を押し出す
タンジュのチェック項目
□手首はまっすぐ伸ばされていますか?
▶︎足首を伸ばす
手首は【まっすぐに】伸ばしましょう。
外側へ押し出してはいけません。
確かに効果はありますが
苦手なものの克服「ありとあらゆる失敗」を想定してみます。その時、次にどう繋げるのか、どうリカバするのかをこれ以上できないほど詳細にシミュレーションします。失敗が失敗にならなきゃ「失敗」ではないんです。苦手なものは闇雲にやると余計嫌悪感が増します。まずは、シミュレーションを活用🌸
— 大人のバレエ上達 JBPおニャーさん (@junkotomono) November 3, 2021
海外の大学による研究報告で、シミュレーションの効果については実証されています。シミュレーションの仕組みを簡単に紹介。
正しいシミュレーション
⬇︎
実際と同じ状況の筋活動をするように、脳が指令を出す
⬇︎
実際に練習したときに近い効果が出る
「筋活動」筋肉を活動状態にするからこそ効果が出るものです。それを可能にするのは「脳からの指令」です。
必ず、理解しましょう。
【脳からの指令が…】
□弱い・曖昧だと指令が出ない
=筋活動がはじまらない
=思うように動けない
□指令自体が間違っている
=間違った筋活動が行われる
=間違った動きを覚える
シミュレーションは正しくやらないと、間違った方法や動きを覚えてしまいます。そのためには、【動きの正解】を知っていることが必要です。
あなたが知っている動作の正解は、どれでしょう?
A:バレエとしての正解
B:通っているお教室の方法としての正解
C:その先生の方法としての正解
ここをはっきり見極められるかで、悩むことの内容が変わりますし、目的さえ変わります。
「バレエが上手になりたいのだと思っていたけれど、実は、そうではなかった」ということも、あるかもしれません。
いずれにせよ、【バレエ】と一括りにせず、今習っていることがどこに当てはまるのか、分類し、区別することが賢明です。
まとめ
シミュレーションは、正しく行うことで効果を発揮します。一方で、間違ったことを覚えてしまうというデメリットもあります。
とはいえ、怖がる必要はありません。これは防げるものです。
特に、さらなるステップアップや改善を目指すとき、腕や手を使ってのシミュレーションは、大人にとっては必須です。
正しく、適切に活用しましょう。
□”ただなんとなく自己流” ではなく、正しく行いましょう。
□シミュレーションをする前に、バレエとしての方法を知りましょう。
□何にとっての正解かを、常に分類しましょう。
【バレエとしての正しいシミュレーションも紹介】
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今日、何か1つシミュレーションしてみよう!