足裏のアーチが、なぜ低いのか。
甲が出てみえない、原因を探る。
序論:足底・足裏から考察する。
「甲」というと、普段は足部表面(画像 水色部分)を取り上げることが多いが、今日は、足裏・足底のアーチがもたらす甲への効果を考えてみたい。
本論:アーチが見えない理由と作り方
まず、整理しておきたい。
アーチ=骨格
土踏まず=外観
を指している。
つまり、アーチ=骨格、故に、骨の配列であり、土踏まず=外観、故に、骨を覆っているもの・接続しているものを全て含めた「私たちの肉眼で見えるもの」となる。
アーチはレントゲン、土踏まずは目で見えるもの、と捉えると分かりやすい。
下の図をご覧いただきたい。
(図)
同じ高さの甲であったとしても、足底がaのように分厚く、ぼてっとしていると、足が美しく見えない。
bのように、足底が薄い方が、甲が高く、充分に引き延ばされ、爪先が伸びた「美しい足先」に映える。
しかも、機能的である。
バレリーナは、トウシューズを加工して履いていることが多い。
ソールと呼ばれる靴底部分を途中までカットし、足底に吸い付くように工夫する。
それは、bの形状を作るためである。
ソールを足底に吸い付かせ、薄く見せることで、美しい足を作り上げ、演出する。
スプリットタイプのバレエシューズも同様である。
フルソールは、足を強くするという理由で使われこともあるが、時代が変わり、今では美しく見せるためにスプリットソールがベーシックな形となっている。
スプリットの方が、よく足底に吸い付き、薄く見せてくれるからである。
では、足底が薄く、よく伸びた甲・足先を作るには、どうしたらいいのかを考えたい。
そのヒントが「足底腱膜」にある。
その名の通り、足底の「腱膜」であり、筋のような活発な伸び縮みはしない。
足底腱膜は、かかとの痛みの原因として取り上げられることの多い「足底腱膜炎」で、耳にすることがあるかと思う。
バレエ由来で足底腱膜炎が疑われる場合
・かかとの引き込みによってポイントをする習慣がついていないか
・体重をかかとにかけていないか
・床に足を着く際にかかとから着いていないか(大人の場合、特にジャンプの着地は注意すべきである)など
間違ったテクニックを身につけてしまっていないかを、大至急、確認すべきである。
この足底腱膜がピンと張った状態だと、MP関節〜かかとまでに膜が張った状態となるため、ぼてっとした分厚い足底となる。
これは、お椀などにサランラップをかけた状態を想像すると分かりやすい。(図を参照)
結果として、いわゆる「土踏まず・アーチ」が見えない伸ばし方となってしまう。
(図)
バレリーナのような薄い足底、美しい足を作るファクターは、「足底腱膜を弛ませること」である。
そうすることで、甲が低い・足先がなかなか伸びない・足首が硬い、などの悩み多き足を持っていても、バレエとしては「美しい足」に分類されるようになるのである。
結論:大人ならではの伸ばし方がある。
この足底腱膜を弛ませることによるつま先の伸ばし方は、2020/08/11 「大人のためのポイント・デミポイント」(https://juncotomono.info/20200811-1620/)で、詳しくご説明することとして、ここではその為の「材料集め」について話したい。
それが、MP関節の可動と可動「域」である。
動かし方・使い方ではなく、シンプルに可動と可動「域」が必要となる。
ここの可動域が十分でない場合、足底腱膜を弛ませようにも弛むことができない。
ここで注意したいのは、MP関節をどうこう意識して欲しいということではないということ。
足指を動かすことで、MP関節を可動させていく。
念じても、動くわけではない。
実際にどこを動かすかを、はっきり理解してやるのかそうでないかでは、効果に差がつく。
実際に何をやるかは、ストレッチ末梢編(https://juncotomono.info/20200811-1620/)に掲載している「足指ストレッチ 伸展可動域」および「足指ストレッチ 屈曲可動域」が良い。
逆にいうと、足底腱膜を弛ませるために、これ以上ダイレクトに行えるものはない。
より、効果を上げたいのであれば、この順に行うことも重要である。
大人も、教師であっても、まだまだ可能性があると考える。