タマゴが先か
ニワトリが先か。
答えは “運動パターンが先” だ。
序論:背中が語る
バレエでは、背中の優位性が際立っている。
”立つ” ということも背中で実現し、”バランス” の源は背中である。
背中の芸術と言っても、過言ではないだろう。
背中で魅せ、背中で語りかける。
その為には、強力な強さが求められる。
背中の強さがあってこそ、腕や脚は柔らかく・強く・優しく、語りかけることが出来るのだ。
本稿では、「背中を強くしたいときに、知っておきたいこと」について述べる。
本論:背中を強くしたいときに、知っておきたいこと
本論1:大人は知っておかないと効果が出ない
背中は強く、機能的であるに越したことはない。
背中が強くて困ることは、何1つとしてない。
では、「背中を強くしたい」と望む時、何から手をつけたら効果的だろうか。
子供の場合、背中を強くしたいのであれば、強化メニューからスタートして良い。
だが、大人の場合は異なる道筋を必要とする。
首と顎、腹筋の問題を抱えているからである。
まず、特に大人の場合は、背中を強くする前に、腹筋を強くしておく必要がある。
背中のエクササイズや筋トレなどを行うことで、腰を痛める場合のほとんどは、腹部収縮が不十分であることだからである。
本稿では、腹部については述べない。
腹部がしっかりと筋活動をしているのが前提であることは、押さえておいて欲しい。
もう1つ、お伝えしておきたい。
そもそも背筋の出力が出来ているか、という点である。
ブレーカーが落ちているのに、いくら電源ボタンを押しても電気がつかないように、出力できていない状態で強化しても効果は出ない。
世に出回っているエクササイズや筋トレなどは、筋出力が出ているのが前提である。
内容がどうこうというより、取り組み人間の出力が出来ていなかったら、効果が出なかったり、どこかを痛めるのは当たり前の話である。
背中の筋出力も合わせて、確認しよう。
✳︎筋出力については、こちらの記事を参照ください。
本論2:首の問題
首の後ろ側では、すでに、背筋がスタートしている。
背中が弱い為に、”代償として”首に力みが生じ易いのは、事実である。
力みはないが、頭が立っていないのであれば、それ以前の問題である。
一方で、首の問題を抱えていると、背筋運動をしても背中が入りにくことも事実である。
まさしく “タマゴが先か、ニワトリが先か” という状態に陥っている。
いずれにせよ
▶︎背中が弱い為に、首で補っている
▶︎首で補っているから、背中が入りにくい
という運動パターンが、すでに、構築されてしまっている。
ここが子供と違うところだ。
子供の場合、まだ「人間歴」が浅い為に、癖として存在していたとしても、運動パターンの構築までは至らないからである。
本論3:顎の問題
もう1つは、顎の問題である。
首に力みがある場合、下顎を引いてしまっていることが多い。
特に、頭部のポジション(バレエでは後方に位置を取る)を取ろうとする際、頭を動かす筋ではなく、下顎を引くことで代償してしまうことがある。
これも、首と同じく、背中が入りにくい原因である。
顎と背中のセットを一度崩し、再構築する必要がある。
そして、それが最も近道である。
結論:恩恵を受ける為に、除去したいこと
望まない運動パターンを崩し、背中が入りやすくなれば、強化トレーニングやエクササイズをした分、強くなるという恩恵を受けることが出来る。
その為には、”顎下のラインが過緊張を起こさない習慣を身につけること” が求められる。
右のエラ下から、左のエラ下にかけて、自分で触れて確認してみよう。
もう1つ。
頭を後ろに保つ時、後ろにするのは、あくまで頭であることを忘れてはならない。
つまり、下顎ではないのだ。
私たち現代人は、バレエだけでなく、日常生活においても頭部が前すぎる。
普段から、下顎ではなく、頭を後ろにする習慣をつけたい。
その時に、「頭が後ろですよ」と脳から指令を出すことも重要だ。
正しく出来れば、それだけで頭の重さによって背中が入る。
強化するための筋トレやエクササイズなどは、この延長にあるものである。
正しいことをする為には、
阻害因子を徹底的に除去すること。
ここに気づき、実行できる人は少ない。
●参考●
筋出力と日常からの出力、基本動作のポイント
▶︎https://juncotomono.info/program/20210105-basic-activity/