おニャーさんが気ままに思ったことを綴るエッセイ。
井戸端会議のつもりで、お茶でも飲みながらお読みください。
判断できるときには、選択できない。
選択できるときには、判断できない。
そんな話を聞いた事があります。
「この道を進んでいったら、一体どこに辿り着くのか」相当の人生を歩んでなければ、その判断はできない。
けれども、判断できるときには選択できる状況にない。
つまり、年老いて選択肢が狭まるということ。
もう1つは、前途有望な若い人たちにはたくさんの選択肢があるけれど、まだまだ選択できるだけの経験がないということ。
バレエを教えていると同じようなことを思います。
バレエの場合、プロになるには幼い頃からの訓練が必要になります。
私の生徒は何人か、16歳くらいからバレエをはじめて、今現在海外で踊っている人も何人かいます。
バレエのビッグカンパニーからオファーを受けたり、それなりの規模のダンスカンパニーで踊っている人もいます。
でも、それは稀と言ってもいい。
普通じゃありません。
多くは、幼少期からの訓練を必要とします。
もちろん私もです。
とてもじゃないけど、彼らのように16歳以降にバレエをはじめたのであれば、やっていけなかったことでしょう。
私には、彼らのような才能はありませんから。
そうしたこともあって、バレエの場合は「生徒さんより先生の方が若い」場合がたくさんあります。(大人対象のクラスの場合は)
ですが、バレエという世界に限定すれば、どんなに若くても先生の方が先人であることに違いありません。
時々、耳にしたりSNSで見かける事があります。
「先生はこういうけれど、私はこうだと思う」
「先生が言うのは、こう言うことだ」
疑いもせず、自分の考えを先生の考えとすり替えている。
主観を入れずに、相手の言いたい事実だけを捉えると言うのは、実はなかなか高度な事です。
主観なのか、客観的なのか。
判断できるだけの知識を要するからです。
それがないと、こうして勝手に自己判断してしまいがちです。
先ほどの話を思い出してみてください。
先生は、バレエの先人。
先人とあなたの判断、どちらを優先すべきなのか。
もちろん、どちらでも構いません。
大人ですから、自分の行動に責任を持って、人のせいにしなければどちらでもいいのです。
結果はどうあれ。
だって、目的は様々でしょ?
その上で、もし上達したいのなら、まだあなたが判断できる状況ではないことを知っておくべきでしょう。
自分では「Aがいい」と思っても、先生が「Bの方がいいよ」というならば、そちらを選択してみるのがベターです。
一方で、上達云々よりも「自分のやりたいことをやりたい」というケースだってあるわけですから、その場合は、Aを選択してもいいとは思います。
もちろん、その後の先生との関係などは、話が別ですよ。
で、ですね。
ここで私が大事だと思った話があります。
大人の方がバレエをレッスンする場合、職業訓練ではありません。
もちろん、「プロのレベルを目指したい!」という方がいらっしゃるのは十分承知ですが、職業訓練ではないことは確かです。
それは、踊りのレベルということではなく、職業訓練の先には「就職」があるわけです。
バレエ以外のお仕事に、年齢制限や資格の有無、欲しいスキルなどがあるように、バレエにもそうした募集要項があるわけです。
もちろん、先にお話ししたような私の生徒のような人もいますけれど、彼らはかなり特別です。
そうしたこともありますから、やはり強制はできません。
職業訓練ではありませんし。
全員が上達を目指しているとは限らないわけですから。
運動不足解消、ダイエット、美容や健康のためにやっている人だって、それはそれでいいのです。
また、「上達したい」と言っていても、先生が思う上達と生徒さんが思う上達は、必ずしも一致しません。
ですから、先生の選択を優先しなくても、自分のやりたいことをやりたいのであれば、そちらを選択するのも、ありなのかもしれません。
その上で。
例えそうだったとしても、片耳だけは空けておく。
片耳開けておくということは、人の意見を聞くチャンスを残しているということ。
閉ざしてしまえばチャンスは失いますが、片耳だけでも開けておけば、まだそのチャンスは残されています。
そして、「どこに辿り着くのか」
今課題としていること、取り組んでいることを続けたら、どのようになるのか。
体を動かすという意味では、どんな方法でもいいのかもしれません。
ただ、バレエの形式を重んじ、バレエとして成立させるのであれば、動けばなんでもいいというものでもありません。
バレエになる動き方というものがありますから。
いろんな考え方があると思いますが、ふとそんなことを思ったので、あなたにお伝えしました。
お読みいただき、ありがとうございました♪