必ず、原因がある。
それは、レッスン前に
確定しているのかも知れない。
序論:ウォームアップの害
レッスン前の時間に行う事の1つとして、ウォームアップがあげられる。
体を温め、心拍を徐々に上げておく事で、ケガのリスクを軽減するだけでなく、その後に続く、クラスレッスンを有効なものにしてくれる。
そう、クラスレッスンで有効にならなければ、ウォームアップとしての体(テイ)をなさない。
その上で、現状では、体をなさないどころか、害となるようなウォームアップが頻発しているように思われる。
つまり、ウォームアップが、ケガのリスクが上がる・パフォーマンスの低下・身体機能レベルが落ちる、といった原因になり得るという事だ。
本稿では、ウォームアップで避けるべき事について述べる。
なお、レッスン前の過ごし方について述べた記事のリンクを貼っておく。
まだ、お読みでない方は、お読み頂くことで理解が深まる事と思う。
本論:ウォームアップで避けるべきこと|大人のバレエレッスンでの注意点
本論1:関節を緩めること
本稿では、ウォームアップで避けるべき事を、3つに分けて述べる。
関節を緩める事は、あなたの体感では、動きやすくなるといった充実感を覚えるのかも知れない。
体感とは厄介で、そのほとんどは、正しい・間違っているの合図自体が間違っている。
体感に頼ってはならない理由が、ここにある。
関節を緩め、その後にバレエレッスンをするという流れは、大人にとって、非常に危険な行為である事を忘れてはならない。
実際に、足首のケガが絶えないという人を観察していると、レッスン前に、グルグルと足首を回していることが非常に多い。
例え、教師が、どんなに良いレッスンを提供していたとしても、こうした事をしていると、リスクは格段に上がる。
大人は子供と違って、体が大きく、体重も多い。
そして、バレエは立って行うものである。
重さは、上から下へと流れる。
関節を緩めてしまうと、重さを支えきれず、ケガや事故を引き起こしやすくなる。
特に、床に近い部位は、重さが下に落ちる分、リスクが非常に高い。
動きやすい ”気がする”、頑張った ”気がする”。
この “気がする” は、あなたを満足させてくれるのかも知れないが、その代償は大きい事を忘れてはならない。
大人がやりがちなNGウォームアップ
▶︎足首をグルグル回す。
本論2:筋を長時間に渡って伸ばし続けること
筋を長時間に渡って伸ばし続けると、いざ、レッスンで働いて欲しい時に、機能しなくなってしまう。
筋は、ゴムのように伸び縮みすることで、仕事を行う。
収縮できなければ、動きを生み出すことは出来ない。
ところが、長時間に渡って伸ばし続けると、伸びきってしまったゴムのようになってしまう。
収縮という仕事をしたくても、出来なくなってしまうのだ。
特に、筋力が弱い・パワーが足りない部分を、動く前に、長時間に渡って伸ばし続けるべきではない。
より一層、働かなくなるようになる。
決して、ストレッチがダメと言っているのではない。
レッスン前にするのであれば、仕事などの日常生活で、必要以上に固まってしまった部分を、正常に戻そうとするストレッチであれば、問題はない。
むしろ、やった方がいい。
具体的に言うと、長時間、同じ姿勢をとり続けている場合(立ちっぱなし、座りっぱなし等)局所的に必要以上に固まってしまい、可動を阻止している事がよくある。
こうしたケースのほとんどは、本人に自覚がある。
その場合は、正常に動きやすくなるよう、ストレッチを行うと良いだろう。
放置しておくと、代償運動が発生したり、他の部位に負担がかかる。
この点、大人は留意しておくと、コンディションを整える際、役立ってくれるはずだ。
ただし、何度も言うが、長時間に渡って伸ばし続けてはならない。
大人がやりがちなNGウォームアップ
▶︎開脚をやり続ける。
▶︎前屈のストレッチをやり続ける。
本論3:床に座り続けること
突然、激しい運動を行い、心拍数が急に上がることの危険性は、あなたなら認識していることと思う。
ウォームアップでは、何もしていない状態から、バレエという激しい運動に向けての “中間”を取る事が、非常に重要である。
つまり、徐々に、心拍数を上げ、血流を促す。
急ではない、徐々に。
スタジオに入り、床に座り込んだままでいる事は、心拍数をあげるどころか、下げてしまう行為となる上、体が冷えてしまう。
わざわざ、このような事をするのであれば、ウォームアップはしない方がマシである。
床に這いつくばるように、座り込み、開脚や長座でスマホを見る…と言う光景は、大人に限らず見かけるが、ウォームアップとして好ましくない上に、レッスンに挑む姿勢ではない。
大人がやりがちなNGウォームアップ
▶︎長時間、床に座ったまま。(ストレッチも含む)
結論:エアコンより、服装
基本的に、1つのことを長時間に渡って行う事は、ウォームアップとしては不向きであり、避けるべきである。
床に座る時間を、少しでも、短くしてみる事からスタートしてみては、いかがだろうか。
その時間、その場足踏みでも良いし、バーを持って、体を伸ばすなどしても良い。
床に這いつくばる必要は、ないのである。
もう1点。
ウォームアップをする時の服装である。
気温が低いのに薄着、それでいて、エアコン等の苦情が寄せられると言う事は、以前から、様々なスタジオで耳にする事である。
どうやら、お教室によっては、夏場・冬場になると、 ”エアコン戦争” というものが発生するらしい。
体を温めるには、エアコンの温度よりも、暖かい服装をする事が大切である。
荷物になるなどの言い分もあるのだろうし、気持ちは理解出来る。
とは言え、まずは、服装を見直すと良いだろう。
服装に、特に指定がないのであれば、レッスン中でも調整すると良い。
羽織る物やジャージのようなものだけでなく、マフラーやスカーフも効果的である。
荷物になりにくいウエア探しが、大人の楽しみとなってくれると良いのではないかと思う。
筆者は、未だ模索中の身である。