脚と骨盤のポジションによって、立位(立つ)姿勢が決まります。つまり、脚と骨盤のポジションが良ければ「良い姿勢」になるし、悪ければ「悪い姿勢」になるということ。
ここに、大人特有の悩みが存在します。
生活スタイルや長年とり続けた姿勢、運動能力や動きのバリエーションの有無、筋力や筋量、可動域などの影響。ジュニア世代のようにはいかない理由です。
言い方を変えれば、大人の体、運動パターンなどに応じた“適切な方法”を取れば、グッとバレエに近づけるということ。
JBPならではの解説、ぜひ参考にしてください。
大人に多い現象と原因
大人に多い、こんな現象。あなたは気づいていましたか?
- 脚を正しいポジションにすると、骨盤が立たない(受動的前傾)
- 骨盤を正しいポジションにすると、脚が引けてしまう
「骨盤が立たない」とき、何が起きているかをピックアップしてみましょう。こんな状況だったり、先生に指摘を受けるようなら、言い方は違いますが「骨盤が立たない」に該当します。
- おしりが出ている
- 反り腰
- 肋(肋骨)が開いている
- 下腹が出ている
- 胸が前に突き出ている など
脚(レッグアライメント)と骨盤ポジション、その両方が正しく取れていないと、まっすぐ立つことができません。どちらかではなく、どちら「も」マスト。両方揃わないと、そもそもターンアウトすることができないからです。
では、大人はなぜ両立が苦手なのでしょう。その原因と対策を紐解いていきます。
前腿が短い
前腿の筋肉は骨盤に付着しています。そのため、長さが足りないと骨盤を前に引っ張ってしまい受動的前傾(おしりが出ている状態)を招いてしまいます。
骨盤系の悩みがある人は、ほぼほぼ該当するのがこの「長さが足りない」問題。
とはいえ、「前腿は膝を伸ばすなど、バレエで必要とする活動(収縮)をするので、レッスン前にストレッチはしない方がいい」という意見を見かけることがあります。
決して、間違いではないのですが、該当するにしても、ちょっと動いたら前腿を活動「することができる」成長期にある子供達やダンサーの場合に考えても良いこと。
大人の場合、むしろ前腿を使うことが難しく「使いすぎだと思っていたら、整形外科で筋力不足を指摘されました」が多発しています。“脚が太い=筋肉を使っている・使いすぎ“ではありません。
従って、レッスン前の前腿ストレッチNGは、ほとんどの大人の方には該当しません。レッスン前でもいつでも、ストレッチをすることで筋肉の長さを確保しましょう。
内転筋が固い・短い
これも、前腿と同様の原因になっています。骨盤に付着しているため、筋肉が固くなったり、短いと骨盤を前方に引っ張ってしまいます。
内転筋は、日常生活ではあまり使われません。「内腿の感覚が薄い」それも、こうした理由が大きく影響しています。
日常生活で使われる機会が少ないと、機能不全を起こしやすくなります。筋肉が固くなって、伸び縮みしなくなってしまうのです。当然、長さも足りなくなってしまいます。
内転筋を鍛えることも大切ですが、長さを確保することが先決です。エクササイズができても、長さが足りずにまっすぐ立つことができないと、正しいバレエテクニックを習得することはできません。
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股関節伸展の可動域が足りない
股関節を伸展方向に働かせる際に、脚が前に押し出されることで、正しいアライメントが取れるようになります。
筋肉によって骨盤を後傾方向に働かせること。それができるだけの筋力も必要ですが、そもそも可動域が足りないと伸展自体ができません。
すると、脚の位置をとると骨盤が前傾し、骨盤を立てようとすると脚を引いてしまったり、膝が緩んだり、肋が開くなどの代償運動が始まってしまいます。
脚の位置をとった上での股関節伸展の可動域を広げましょう。
おしりの筋力不足
4足歩行から2足歩行になるために発達したと言われているおしりの筋肉。前腿と同様、年齢とともに筋力低下になりやすいパーツです。
「レッスンしているし、運動しているから大丈夫」と思ってしまうのは、レッドカード!体を動かすのは、筋肉を働かせなくてもできてしまいます。(その結果、怪我をしたり、痛みが出るなどの症状あらわれる)
また、おしりの筋肉が弱いと「腰痛」など異なるパーツに不調が表れるケースもあります。おしりの筋肉を積極的に使うのしても、そうじゃないにしても、立つ際に必要な分の筋肉の活動は、最低限必要です。
あなたのヘルスケアの面から言っても、使いすぎることを恐れるより、使えていない/筋力不足/筋量不足であることを恐れるべきです。
おしりの筋肉がつくことでの害はありませんが、足りない場合は、バレエだけでなく、日常生活でも害を及ぼすことをお忘れなく。
バレエで大活躍する“裏腿“の存在
先ほど取り上げた原因に、もう1つプラスしたいことがあります。それは、バレエで大活躍する裏腿「ハムストリングス」に関することです。
- 筋肉の長さが足りない
- 固い
- 出力ができていない(意思によって活用できない)
- ポジションを取れるだけの強さが足りない
- 筋肉がたるんでいる など
ハムストリングスは、脚にも骨盤にも直接的な影響を及ぼします。
- まっすぐ立てるのも
- 脚を前に押し出して、ターンアウトできるのも
- 片足で支持脚が引けずに済むのも
- 脚のアライメントと骨盤ポジションを両立できるのも
- アンディオールできるのも
- 骨盤を高い位置で保持できるのも
- 脚を寄せられるのも
ハムストリングスが大活躍してくれるおかげなのです。さらに、おしりの筋肉がベースとなり、協調することで可動域を拡大し、背中を反るなど、上半身の動きにも関わってきます。
ハムストリングスは常にコンディションを整え、伸長と強さの両方を兼ね備えたい筋肉です。
JBP バレエWS
ハムストリングスの出力、おしりとの協調、ターンアウトやアンディオールでの意識の持ち方や、この記事で取り上げた「原因」との関わりなどを考慮した構成。まさに、大人専用のプログラムです。
ハムストリングスを通じて、あなた自身の身体と向き合います。
バレエで大活躍する筋肉だからこそ、定期的に取り組みたいパーツ。今回は、「協調」もテーマになっています。
まとめ
脚をまっすぐ、正しいアライメント。
骨盤を起こして、正しいポジション。
この両立を邪魔する阻害因子を除去し、必要な可動域や筋活動を得ることで、まっすぐに立つことができるようになります。もちろん、ターンアウトもしやすくなります。
大人の体や生活習慣に対応した方法で、適切に取り組みましょう。
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