“あなた” と “おニャーさん” が、お茶会をする「エッセイ」。
ご近所会議でもするかのように、座談会にお付き合いください。 好きなお茶のイメージはできましたか? お気軽に読んでみてください。
✳︎✳︎✳︎
この記事は、全3回の連載です。
●前回の記事はこちらから● https://juncotomono.info/be-taught-2-essay/
いよいよ最終回。
わたしは、冷たい麦茶を用意しました。
今日もおしゃべりにお付き合いください。
✳︎✳︎✳︎
今日お話しする内容は、おそらく、ほとんどの人は持っている能力だと思います。
一方で、あなたの職場なり、知り合いなりに一人くらいはいるかもしれません。
ちょっと、ギョッとするようなこともあるのですが、大人の話として聞いてください。
スタジオで、こんな光景をみたことはありませんか?
先生が「前に出て!」といっているのに、なぜか後ろに下がる。
これはわかりやすい例です。
もしかしたら自信がなくて、誰かが前に出るのを待っているのかもしれません。
では。
「骨盤の位置が正しくないですよ!」という先生の意見に対して、
「お腹がこうなってました!」
「脚がこうなってました!」と、的外れなことを言い出す。
「つま先を伸ばして!」と言われているのに、なぜかそれはやらずに
「お腹の引き上げや背中がどうこう」ということをした挙句、
「つま先が伸びないんですけど、わからないんですけど!わかるように教えてよ!」とはじまる。
お察しだとは思いますが、話が通じないんです。
とても残念ですが。
本人の聞く気がないというよりも、「話を聞く」という “能力” がないんです。
なので、こんな光景を目にしたら、そっとしておいてあげましょう。
もちろん、あなたにとって、快適とはいえないかもしれません。
とはいえ、努力したくてもできないわけですから、一歩譲ることも考えてください。
私は若いころ、ここが理解できませんでした。
話をそのまま聞くことは、誰にでもできることだと思っていたのです。
だから、どうしたら理解してもらえるのだろうと、一生懸命、伝え方を試していました。
もちろん、伝え方に問題を抱えている場合もあります。
その上で、話をそのまま聞くことができない、相手が何を言っているのか字面を理解できないケースもあるようです。
これは、先輩方や各方面の方々の助言によって気づき、調べたり、勉強する中で、そのような事例があることを、ようやく理解することができました。
私の経験上の話になりますが、質問の内容でその傾向がわかります。
答えに困る質問が多いのも特徴です。
実際に伺った話ですが「教わる力」がある方は、
「質問したいことがはっきりわかるまで、やってみたり、一度整理したりする」
と言います。
この時点で、質問するにしても “思いつき” ではなく、熟考した上でのことだとわかります。
そして、”整理したり、考えたり、試してみるうちに、自分なりの糸口が見えてくるからこそ、質問が多いわけではない” ということも伺えます。
「教わる力」がある方の質問というのは、非常に答えやすいのが特徴です。
それだけ、理解していることと、分からないことかがはっきりしている。
何を知りたいのか。 それに対して自分で実験してみてどうだったか。
ここまで、用意して質問にきてくれます。
お盆の上に、ご飯とお味噌汁と、主菜副菜が並べられた「定食」にして、”質問” にしてくれる。
自分で定食にする。
質問は、お味噌汁がいいのか、お吸い物がいいのかの意見が欲しい。
主菜の味付けを、醤油味にしたけれど、もしかしたら塩味だったり、他の調味料を足すべきなのかの意見が欲しい。
こんなイメージです。
いわゆる「質の良い質問」というものです。
あなた自身はきっと、話をそのまま耳に入れることはできていると思います。
次は「定食作り」に挑戦してみませんか?
定食を作っているうち、いつの間にか、質問したかったことも解決するかもしれません。
さて、最後にヴォルテールの言葉を記しておこうと思います。
どのように答えるかではなく、むしろ、どのような質問をするかで人を判断せよ。
私は、この言葉を知ったとき「ああ、質問って恐ろしい!」と思いました。(笑)
質問するときは、しっかり考えてからにしよう!と思い直したものです。
今回、私があなたにお伝えしたいのは、クラスを受けていて問題がある人がいるというのは、めずらしくないということ。
レッスンに集中していると気づかないかもしれませんが、突発的な行動を起こすこともあります。
距離を置くことです。
物理的な距離も、会話的な距離もです。
あっちこっち稽古場を回っているときは、さっきまでご機嫌だったのに、何事が起きたのかと思うほど豹変してしまったり、駅で待ち受けられていたり、そんなこともありました。
そしてこうした経験は珍しいことではなく、わたしの周りの先生でも、起きたことがある事例です。
ゾッとするような話も聞いてます。
まだ、教師に向かっているうちはいいですが、あなたに向かい出したら過剰になることだって考えられます。
だからこそ、距離を置くということを、大人だからこそ、考えていただきたいのです。
その重要性を知って欲しいのです。
あなたなら、理解してくれるでしょう。
3回に渡って、「教わる力」についてお話ししました。
掲載された内容は、あくまで私個人の意見ですので、その点、ご了承ください。
✳︎✳︎✳︎
お付き合いいただき、ありがとうございました。