背中は、ヒトの構造としても、バレエテクニックを身につける上でも、非常に重要なパーツです。
バレエに限らず達人になってくると、背中で気配を感じたり、バランスを取ったりするようになってきます。
感覚と言っても、正しい感覚を身につけることが大切です。
感覚は、ただ有ればいいというものではありません。
正しい感覚でなければ、あなたを間違ったアクションへと誘導してしまいます。
正しい感覚とは何だろう?
ヒトは、自分の感覚を正しいと思いがちです。
他の人の感覚を経験していないし、知らないから。
あなたはあなたであって、他の人ではない(他の感覚ではない)わけで、感覚ほど自分の世界だけで完結しているものはありません。
では、バレエでいうところの「正しい感覚」とは、どのような状態を指しているのでしょう。
それは、【実際に起きている事実と、あなたが感じていることの一致度が極めて高い状態】のことを言います。
この件に関しては、正しい感覚の詳細より、誤った感覚がどういうものかを考えた方がわかりやすいですので、そちらを解説しましょう。
あなたも体験済み
例えば、バットマンタンジュをしているとしましょう。
- あなたは、膝を伸ばしている。(と思っている)
- ところが、先生に「膝を伸ばしなさい、曲がっていますよ」と指摘を受ける。
膝が曲がっている(事実、ファクト)にも関わらず「伸びている」と、誤った感覚と認識を持っている状況です。
膝が曲がっているのに、あなたは「伸びている」と思うわけです。
つまり、ここの情報を入れ替えない限り、何度でも同じ間違いを起こします。
これが、[なかなか上達しない、なおらない、頭でわかっているけど体でできない]理由の一つです。
大人からバレエをはじめた場合、背中の感覚がない傾向にあります。
さまざまな理由がありますが、いずれにせよ、感覚を身につけるにしても「正しいもの」でなければ、あなた自身があなたの邪魔をしてしまうのです。
背中の感覚があることで、どのような恩恵を受け取ることができるのかを整理しましょう。
ここでいう「背中の感覚」とは、もちろん、事実に近い【正しい感覚】のことです。
こんなことにも役立ちます
大人の悩みに大きなヒントを与えてくれることがわかります。
- 「背中を立てる」がわかる。
=前に移動する動作で、上体のツッコミを改善。 - 「まっすぐ立つ」感覚が身につく。
=もちろん【正しい】まっすぐのこと。あなたの“正しい“ではありません。 - 体全体の可動性が高まる。
=重さの落ちる地点が変わる。 - 姿勢が良くなる。
=体型も良くなる。 - 所作が美しくなる。
=ガサツな動きが減り、品の良さを感じる動きへ。
姿勢や所作、可動性に関しては、いうまでもありません。
①グランソドシャ(グランパドシャ)やグランジュッテの前のグリッサードで、上体が突っ込まなくなると、しっかり上に跳ぶ力を発揮できるようになります。
②ピルエットなどの回りものでは、背中の感覚がないと、上体が前に折れ曲がり、腰を引いてしまう傾向にあります。
背面の感覚は、体の「前」ではなく「後ろ」で回ることの主役となります。
あなたに知ってほしいこと
必ず、知っておいてほしいこと。それは、落とし穴に落ちないためです。
【感覚=筋力】ではありません。
従って、筋力が上がれば、感覚が身につくわけではありません。
けれども、筋力が弱いと感覚を持ちにくいのも事実です。
大人の場合、実際に筋力がありすぎるということは、まずありません。
筋力が上がれば、感覚がつくとは限らないけれど、筋力をつけることは【感覚を身につけるためのスタート】にはなります。
つまり、努力した人が可能性を掴むことができるのです。
怠け者では、感覚は身につきません。
感覚と妄想は一緒にすべきではありません。
とても、カンタン。後ろ向きに歩くだけです。
とはいえ、条件やルールがありますので、必ず守って行いましょう。
- 頭は、骨盤の上かそれより後ろ
…前に突っ込まない - 腰やおしりから引かない
- 顔は、まっすぐ前を向く
- 胴体は板のように強く保ち、グニャグニャしない
体の上部に位置しているパーツほど、先行して後ろにいることがポイントです。
おしりを突き出し、脚の付け根から、体がくの字に折れ曲がることのないようにしましょう。
また、こんにゃくのようにグニャグニャグニャすることも禁止。
これで、いくら後ろ向きに歩いても、効果は出ません。
*周りの人やものにぶつかったり、転倒しないよう、十分に気をつけて行いましょう。
また、極度の筋力不足の場合は、実施を控えましょう。
正しい感覚を身につけるために、最も重要なこと。
それは【謙虚であること】です。
口先だけの謙虚さではなく、常に、自分に疑いを持ち、相手の指摘を受け入れ、やってみようとする姿勢が問われます。
横柄な発想では、正しい感覚が身につくことはありません。
謙虚な態度も大事ですが、謙虚な思考であることが求められます。
- 正しい感覚を身につけましょう。誤った感覚は、あなたを誤った行動へと導きます。
- 感覚とは何か、あなたの感覚は正しいのか。常に問いただしましょう。
- 背中の筋力があることが、感覚取得のスタートです。筋力をつけましょう。
ファーストステップ♪
短くていいから、3日以内に後ろむきで歩いてみよう!
【Thank you】
JBPでは、大人の方が最適に踊れ、かつ、今後の日常生活にも望ましい基準を定めています。
あなたが基準に沿ってレッスンすることは、バレエを愛する全ての大人に向けて、本当のバレエを、安全で適切な基準と方法を提供することにつながります!