レッスンは、キャッチボール。
ボールは、あなたにある。
投げられたボールを返してみよう。
序論:当たり前すぎて分からない
レッスン前は、レッスンの準備をする。
当たり前のような言葉ではあるが、”当たり前すぎて” 何をすれば良いのかが、分からない場合もあるだろう。
改めて考え始めると、あれもこれも欲張りたくなるであろうが、それは現実的とは言えない。
本稿では、レッスン前の時間をどう過ごすと、クラスレッスンが有効になるのかについて、現実路線で述べる。
本論:バレエレッスン前の準備|大人からはじめた人に向けて
本論1:まず、優先すること
レッスン前と言えば、ウォームアップを思い浮かべる事であろう。
ここに関しては、本稿では取り上げないが、1つだけ述べておこう。
やりようによっては、ウォームアップ由来のケガの誘発、身体機能の低下を招くという事である。
大人からはじめた人の場合、ウォームアップでわざわざ、これをしてしまっているケースが極めて多い。
ここに関しては、別の機会にまとめるとしよう。
本題に入る。
まず、前回のレッスンに続く課題を整理する。
ここでは、あなたが思う課題ではなく、前回、先生が提案した事を思い出してみよう。
できれば、バーレッスンから1つ、センターレッスンから1つに絞ってみる。
優先順位は、[あなた個人に対しての提案→全体に対し、出した提案] である。
個人的な提案がない場合は、全体に対しての提案からの選択となる。
その場合、先生が説明やサンプルでの直しに、
▶︎より多くの時間をかけた事
▶︎強調していた事
これらを優先すると良いだろう。
強調というのは、例えば
▶︎他の提案よりも、大きな声で伝えていた
▶︎何度も繰り返し伝えていた
この辺りを目安にすると良い。
選択ができたならば、それらをするための “工夫案” を考えよう。
バレエレッスンでは、内容が省略された形で進行する事が多い。
(JBPプログラムでは、この辺りを説明している)
従って、言われた事をそのまま意識する、これでは不十分となる。
[いつ、どこを、どのようにするのか] この3つのポイントを、自分の中ではっきりさせておこう。
前回の先生からの提案に対し、自分なりの返答を考えるのだ。
軽く動いて、確認してみるのも良いだろう。
本論2:あなたの実験を足す
本論1だけでも十分かとは思うが、プラスアルファしてみたかったり、あなたが気になる事もあるだろう。
そのような場合は、ここで、あなたの課題を加えよう。
1つだけ。
たった1つ?と思うかも知れないが、欲張ってはいけない。
優先すべきは、あくまで “本論1” で述べた事である。
なぜならば、教師は、あなたよりもあなたの事をよく見ている ”ハズ” だし、大局的に判断しているからである。
あなたが思う課題も1つ決まったら、[いつ、どこを、どのようにするのか] まで、準備しておこう。
本論3:特に、大人は考えるべき
これは、初心者には向かない。
ある程度、経験がある人なら考えてみて欲しい。
その日のレッスンのピークを、どこに持っていくか、という事である。
もちろん、先生は全力でレッスンする事を望むだろうし、多くの人が、それがベターだと思うだろう。
間違いではない。
その上で、大人は、あらゆる意味で子供と同じではない事も、事実である。
毎回、バーレッスンで全力を出し切り、センターレッスンが、もはや時間の消化になっている状態では、
・センターレッスンで覚えるべき動作を、いつまで経っても覚えられない、出来ない
・付きたくない癖までついてしまう
という事になりかねない。
全力ダッシュ→毎回、途中でエネルギー切れ、これが良いわけではない。
全力ダッシュが望ましいのは、順番を覚える事である。(注1)
ピークをバーレッスンに持ってくるのか、センターレッスンにするのか、或いは、敢えて全力ダッシュをし、体力作りをするのか、体力配分する事を考えるのも、大人にとっては、非常に重要である。
特に、あなたにとって難度の高いクラスを受講する場合、全力ダッシュでエネルギー切れを起こしていると、ボーッとしてしまったり、気が抜けた時に、ケガや事故を招きやすくなる。
体力配分をするという事は、手を抜くとは別である。
やるべき課題は、やるのだから。
従って、サボっているのかも知れない、という心配はご無用。
体力配分も、技術である事を認識したい。
結論:レッスンは、キャッチボール
レッスン前の準備とは、前回レッスンにおける先生からの提案に対して、返答を考え、決める時間である。
投げられたボールは、あなたにある。
そのボールを、どう返すのかをしっかり考え、先生が分かるように返答をしたい。
投げられたボールを、そのまま、放りっぱなしにしていないだろうか。
ボールを投げど、投げ返さなければ、キャッチボールは成立しない。
それでも、教師はボールを投げ続けるだろうが、キャッチボールが出来て、初めて理解できる事も多い。
前回のレッスンと、今日のレッスンでは、会話が続いている事を意識したい。
その為の準備を、クラスが始まるまでにしておこう。
注1:順番を覚えるという全力ダッシュについては、こちらの記事をお読み頂きたい。