バレエレッスンを正しく行うためには、日常生活より広い可動域が必要になります。可動域が足りないままだと、どこかで代わりの運動をしてしまい、適切に動くことができません。
この記事では、大人ならではの可動域を広げるポイントをわかりやすく解説します。
3つのポイント
可動域=関節が動く範囲のことをいいます。
”可動域を広げる=動ける範囲を広げる” ということになります。
その1:可動域そのものを広げる
【関節が動きにくい=可動域が狭い】ということ。関節を動かすのは筋肉です。ここでは、2つのポイントを押さえましょう。
柔軟性獲得に必要なこと
①筋肉そのものの柔軟性と長さ
▶︎ストレッチ
②関節を動かす筋肉の働き(収縮)
▶︎筋力トレーニング
両方とも必要です。
▶︎関節を動かす筋力のパワーがあっても、筋肉自体が短ければ動きにくい。
▶︎筋肉の長さがあっても、関節を動かすパワーが足りなければ、動くことができない。
その2:重さを軽減する
関節や筋肉に重さがかかるほど体は動きにくくなり、可動域は減ってしまいます。
街を走るバス。
ほとんど人が乗っていなければ、軽い為、スムーズに走ることができます。
一方、ぎゅうぎゅう詰め満員状態だと、かなりの重さがバスにかかります。
その結果、スピードが落ち、動きが鈍くなってしまいます。
体も原理的には同じで、重さがかかるほど動きにくくなります。
ストレッチで「10」までの柔軟性があったとしても、バレエ動作をする際に(つまり、立位で)重さがかかっていると「1」まで減ることもあります。
その3:【重さ=体重】ではない
関節や筋肉に、かかる重さは体重そのものだけではありません。わかりやすい例をあげてみましょう。
股関節にかかる重さは次のように言われています。
□片足になるだけで体重の3〜4倍
□早足で歩くと体重の10倍
体重が40キロだったとしたら、このくらいになります。
□片足で【120〜160キロ】
□早歩きで【400キロ】
重さは、上から下へと【合算+α】されていきます。つまり、体の下の方に位置しているパーツほど負担が大きくなり、動きにくくなります。
”腕は動きすぎてしまうのに、足指が動かない” というのは、典型的な例です。
こちらも参考になります。
足指が動かない、感覚がうすい:誰でもOK カンタン対策を紹介|大人のバレエ上達
体を吊る
バレエレッスンでは、大きく関節を動かします。可動域そのものと重さの分散の両立をすることで、実際のレッスンでの可動域が生まれます。
”糸で吊る” の意味
バレエの先生がよく使う「頭から糸で吊る」という言葉。バレエ的な意図を組むことができると、重さの分散に繋がります。
この場合、背中がそりかえったり、のけぞることなく【背中と胸郭をしっかり立てる】ことを求められています。それにより、体重の分散を実現します。
重さの分散をするために
違いを知って欲しいです💬背中はのけ反りません。立てます。胸に力が入りすぎ・肋が開いているなどの指摘がくる場合、大抵、背中がのけ反っています。”胸を広げる・引き上げる・デコルテをキレイに”と混同しないように。みぞおちが前に突き出していたらのけ反っている可能性アリ。こっそりチェック✅
— 大人のバレエ上達 JBPおニャーさん (@junkotomono) September 21, 2021
みぞおちが前に突き出ている人は、痛みやケガが多い傾向があります。 重さの分散ができずに負担が大きくかかっている証拠です。
重さの分散をするために “これさえやればOK!” というものは、残念ながらありません。
ゆえに、あなたの努力と素直さが反映されやすく、まじめに取り組んでいる人とそうでない人との差が確実につく項目です。
背中と胸郭を立てて、正しい立ち姿勢を身につけましょう。地味ですが、最も効率良い方法です。
まとめ
柔軟性や可動域を確保するためには、そのものを広げることと体重の分散が必要です。また、体重分散はケガの予防など体を動かす場合に欠かせません。
子供を対象としてバレエメソッドでは、体重分散についての指摘が少ない傾向にありますが、大人にとってはとても重要なことです。
□可動域そのものの確保をしましょう。ストレッチだけでなく、筋力も必要です。
□重さの分散をするためにも、背中や胸郭の立て方を覚えましょう。
背中や胸郭の立て方 “大人からはじめたなら必ずクリアすべき” こと。
信号待ちで、まっすぐ立ってみよう!