長座、第6ポジションでの前屈。
なんのためにやっているのだろうか。
ウラモモのストレッチ?
よくやるから??
はっきりとわかっていないのならば、もったいない。
ちなみに “ウラモモ” もストレッチされるだろうが [最も重要なこと] ではない。
ここには、知られざる秘密が隠されている。
子供対象のクラスならば、股関節を動かす際、一般的な動かし方と異なる「バレエシステム」を本人の自覚なしに組み込む。
大人の場合は、無自覚にとはいかない。
知識を経て、頭の中のブロックを解除し、新たなデータを組み込む。
そのとき、重要になるのがよくある「前屈」である。
さあ!ほんの少しではあるが、前屈の秘密を解き明かそう!
前屈の知られざる秘密 ~バレエ特有 股関節の制御~
前屈の正体
股関節を折り曲げるように動かすとき「滑り運動」というものが発生する。
これが、バレエでは厄介な存在だ。
詳しいことはここでは省略するが、こんな心当たりはないだろうか。
・支持脚が引けてしまう
・デヴァン(前方へ)の動きで動作側の付け根を詰めてしまう
・股関節が詰まる
その他、おしりや骨盤が引ける、肋が突き出る・開いているなどにも間接的に関わっている。
もちろん、あなたが「意識して、気をつける」ことが第一歩にはなる。
その上で、「気をつけている、がんばっている」けれど、そうなってしまうならば「滑り運動の仕業」である可能性が高い。
それは、がんばりが足りないのでも、意識が低いのでもない。
体のシステムが未熟で、必要な項目がないから起きることなのだ。
いうならば、OSの入っていないパソコンのようなものなのだから。
2つの入り口
さて、文字に起こして、あなたが気軽に読める範囲で「滑り運動の制御(コントロール)」について整理しよう。
普段、私たちの生活で股関節を動かす際、滑り運動が発生しているわけだが、バレエでは制御(コントロール)する必要がある。
その際に活躍するのが「腸骨筋(チョウコツキン)と呼ばれる、腸腰筋群の1つだ。
いわゆる「インナーマッスル」と言われている。
”なんだか難しくなってきた…” と思ったアナタ、これ以上踏み込まないので安心して読んで欲しい。
ざっくりと「長座での前屈」で、あなたがやっておきたいことをまとめよう。
①上体を変形させないこと。
②フトモモを動かさないこと。
この2点だけだ。
①の補足をしよう。
・腰がつぶれる、お腹が突き出る
・脚の付け根から2つ折り
・胴体と腕の関係がズレる
こんな「症状」が表れたら、要注意。
骨盤を含む上体の形が変わらずに、動かせるようにしよう。
②の補足。
・フトモモが浮いてくる
・フトモモの接地位置が変わる
体の前傾とともに出やすい。
ここで大事なのは、フトモモに対して骨盤が動くことである。
フトモモが動いてしまうと、そもそも、この方程式が成立しなくなってしまう。
フトモモを動かさないという意識付けは、非常に有効だ。
原理がわかれば、簡易方法へ
滑り運動を抑えた前傾姿勢は、股関節を折り曲げるバレエ動作全般に必要となる。
つまり、片脚になった時点で、ほぼ全ての動作に共通する必須アイテムである。
バーレッスンで、前方へのカンブレ(ポールドブラ)を行うのは、ウラモモを伸ばすためではない。
こうした、日常とは異なる動かし方を日々、確認し、覚えさせるためである。
さて、こうしたものは何か「特別」なことのように思えるだろうが、そんなことはない。
大事なのは、最初に「原理を学んでおくこと」だ。
それさえやっておけば、その後は案外、今までの “ストレッチ方式” より気楽にできるというものだ。
原理が理解できたら、こんな方法がある。
[やってみよう]
①長座になる。
②両手をフトモモに当てる。
③軽くバウンスをするように、前屈をする。
原理さえわかっていれば、こうすると体が変形しにくいし、股関節を詰めにくい。
つまり、滑り運動を減らしやすいのだ。
ちょっとした時間に、「軽く」バウンス5回くらいやればいい。
こんな程度でも全然違う上、 “ストレッチ方式” よりも確実に “ストレッチできる” というオマケつきだ。
ちなみに、慣れてきたら椅子に座ったままでもできるので、オフィスでも取り入れやすいかもしれない。
大事なのは「原理を知ること」だ。
●原理を知る。日常とバレエ、股関節運動の違い●
▶︎https://juncotomono.info/program/20210706-11-iliacus/
今日は、休憩時間に
骨盤含む上体を変えずに
体を少しだけ倒してみよう!