上半身と下半身を繋ぐ骨盤。いわば、胴体や脚の行き先案内人です。
案内が間違っていたら、道を間違っていることに気づかず、突き進んでしまうことでしょう。
道標は、意外と近くにあるものです。あなたの案内人に気づいてもらいましょう。
あなたに必要なことをしましょう
とても面白いことに、骨盤の位置や角度によってタンジュでの足の形や、脚の寄せ方、エポールマンに対しての概念まで変わります。
その話は、機会があればWSでお話しするとして、その前に、どちらにも対応できる体のベースを手に入れましょう。
ここが原点
バレエにおける骨盤の位置や角度。1つの正解を求めがちですが、メソッドやスタイルによって異なります。
つまり、”正しい” が1つでないために、先生によっても指示が異なり、あなたを迷わせる原因になってはいますが、大人が最初にするべき骨盤のポジションは【一択】です。
その他の骨盤のポジションは、この一択ができてからにしないと、弊害が起こります。
- バレエをしたがために、元の可動域より減少する。
- 正しい姿勢を取ることができない。
- 重さが前に落ちるため、全ての動きがバレエの方程式とは真逆。
- 特に、膝・足首・腰などのケガを引き起こしやすい。
- 正常な運動連鎖が破壊されやすい。
大人と子供の体の構造は異なります。
必ず、ベースとなる機能を獲得してから、あなたの “お好み” に移りましょう。
まずは、骨盤を後傾させること
大人の場合、必ず、骨盤を後傾させることからスタートしましょう。少しでも、前傾してしまうと取り返しのつかない事態を招く場合もありますので注意しましょう。
骨盤を後傾(後ろに傾ける)することを、タックアンダー(タックイン)と混同している場合がありますが、ここは整理が必要です。
骨盤の後傾を適切に行うことで、立っているときの股関節の可動域を広げていきます。前傾気味でバレエをするなら、すでに十分な股関節の可動が確保されていることが条件になります。
といっても、”ストレッチで脚が開く=十分な股関節の可動” ではありませんので、思い込みをしないようにしましょう。
骨盤を後傾したとき、このような症状が現れたらタックアンダーの可能性大。
- 腹部の緊張が抜けている。
- 腰背部の緊張が抜けている。
- 頭が前に突き出ている。
- 第1ポジションで、両脚の間に隙間ができている。
- 脚が寄っていない。
- おしりの緊張感がない。
- 全体的に膨張しているように見える。 など。
【指導者の方へ】
骨盤を後傾すると、全身の筋を弛緩させてしまうケースがあります。
この場合、骨盤を前傾することではなく、骨盤は然るべき角度をとった上で、筋の緊張を高める必要があります。
どちらを優先すべきか、迷うことが多いとは思いますが、この場合は骨盤の角度です。
ちなみに、迷うということは、それだけ知識と見極める目があるということ。
知識と見極める目がなければ迷うことはありません。従って、先生が迷ったとしても、それは指導者として努力をしていることの証です。
骨盤を立てる
実際に骨盤を立てる(後傾させる)ために工夫できること。
がんばらなくても、忙しくても、できることがあります。もしかしたら、あなたの生活が今よりラクになるかもしれません。
ここが “要”
骨盤を後傾させるときに必要な体の仕組みが【裏腿の活動】になります。
裏腿は、ハムストリングスと呼ばれる筋肉です。覚えなくていいですが、頭の片隅に入れておくと便利なことをピックアップしましょう。
- 筋肉は伸びたり、縮んだりする。
- 例えば、グランバットマンで前に脚を上げるとき、裏腿が伸びにくいと脚が上がりにくい。
- 例えば、裏腿が縮むことで骨盤の角度を変え、後傾させる。
伸ばすことも、縮めることも必要なのがわかります。
いずれにせよ、大人にとっての課題は【裏腿を伸ばしたり縮めたりできる状況にしてあげること】です。ガチガチでは、どちらをするにしても無理が出てしまいます。
例えば、ここによく伸び縮みするゴムがあるとします。(筋肉)
このゴムを接着剤でコーティングしてしまったら、動かすこと自体ができません。(ガチガチに固まっている)
接着剤をきれいに落とすことで、伸び縮みできるようにします。(リリース)
ガチガチになる原因
ガチガチになる原因。それは、裏腿に重さがかかることです。
ここを取り除くことで驚くほど可動域が出る場合もあります。
JBP WSでも実際にそれは起きていて、WSのテーマ・本編ではないけれど、準備として原因を取り除くことで、「あれ、いつもより大分開いてるね」ということは、日常茶飯事です。
そこまでの時間、たかだか5分程度。本人が気づいているかは別として、こうした下準備がいかに有効かを物語っています。
本人が気付けるくらいの【体感】が身につくと、やりがいにもなるね!
体感がつくまでは、効果がよく分からなくても、一定期間続けることに意義があるよ。
今すぐできる ガチガチ解消レシピ
難しいことは一切ありません。疲れている大人でもできることだけピックアップしています。
- 座っている時間が長い人(デスクワークなど)
➡︎ 30分に一回程度、立ち上がりましょう。 - 立っている時間が長い人(立ちっぱなし)
➡︎ 30分に一回程度、脚を動かしましょう。
座っている人の立ち上がるとは、体操やストレッチをしろと言っているのではありません。例えば、こんなことでOKです。
- トイレに行く
- 水を飲みに行く
- 資料をとりに行く
30分としましたが、できれば20分くらいでやってもらえると、よりベターです。
要するに、太腿やおしりが椅子から離れてくれればOKです。
立ちっぱなしの場合も考え方としては同じです。
同じ立っている時間が長い場合でも、歩いたり走ったりしていればいいですが、ずっと同じ姿勢でその場に立っていることは、ガチガチ化するリスクが上がります。
その場に立っていなきゃならない状況では、次のような工夫をしてみましょう。
- 交互にカカトを上げ下げする。
- 交互につま先を上げ下げする。
- 屈伸をする。
その場足踏みなどもいいですが、状況に合わせて、できることをチョイスしましょう。
まとめ
裏腿に重さがかかっていると、ガチガチにかたまってしまいます。
特に、椅子に座る・床に座ることは、ダイレクトに裏腿に重さがかかってしまうために【骨盤を起こす】という活動を妨げてしまいます。
日頃の工夫で、ガチガチにかたくなるリスクを軽減しましょう。その上で、裏腿の活動を促し、骨盤を起こすところまで点を線で繋ぎましょう。
- バレエにおいての【正しい】骨盤のポジションは1つではありません。
- 大人が必ず、できるようにしたい骨盤のポジションは一択です。
- 骨盤を起こす・後傾することと、タックアンダーを整理しましょう。
- 大人に最適な骨盤ポジションを取るために、裏腿の活動が必要です。
- 裏腿に重さがかかり続けると、可動域は減少します。
- 裏腿に重さがかからない工夫をすることで、コンディションを変えましょう。
ファーストステップ♪
30分に一度、立ち上がるか、脚を動かしてみよう!
『開く』パッセ・ルティレを作る【裏腿・ハム】
【Thank you】
JBPでは、大人の方が最適に踊れ、かつ、今後の日常生活にも望ましい基準を定めています。
あなたが基準に沿ってレッスンすることは、バレエを愛する全ての大人に向けて、本当のバレエを、安全で適切な基準と方法を提供することにつながります!