バレエの健康と
体の健康と。
その両方を手に入れる。
序論:活用幅が広い知識
肋骨の動きを知っておく事は、大人にとって役立つ知識である。
ピラティス等の胸式呼吸を用いるエクササイズはもちろんのこと、バレエをする為の体作りや、レッスンにおいての肋骨操作への理解も深まるだろう。
「肋を閉じて!」という指導言語にも通ずる。
体を知る為のヒントととして、ご活用頂きたい。
本稿では、肋骨の動きについて述べる。
本論:肋骨の動き|呼吸法と肋骨操作のヒント
本論1:バケツハンドルモーション
肋骨や呼吸についての基礎知識は、こちらをご覧いただきたい。
まず、下部肋骨の動きを述べる。
可能であれば、下部肋骨の側面に手を当てて、自分の体を観察してみて欲しい。
大きく吸ってみると、下部肋骨は横方向に広がる。
この時、下部肋骨はバケツの柄のような動きをしている。
これを、バケツハンドルモーションと言う。
バケツと柄の接続部を胸骨・背骨との接続部と捉え、持ち手となる柄を下部肋骨と見立てると良いだろう。
バケツハンドルモーションは、下部肋骨の左右径を拡大する。
つまり、横方向に広がるのである。
本論2:ポンプハンドルモーション
次に、上部肋骨の動きを述べる。
鎖骨下に、軽く手を添えてみる。
大きく吸ってみると、手が持ち上がるような動きをする。
これを、ポンプハンドルモーションと言う。
井戸のポンプハンドルのような動きをしている。
大きく吸うことで持ち上がった上部肋骨は、息を吐けば、当然下がる。
ところが、バレエでは、上部肋骨を極力下げないのが ”基礎” である。(基本ではない)
上部肋骨は、普段よりも高く位置し、息をすることで下げてはならない。
息を吐けば、体は下がる。
故に、バレエレッスンでは “吐く” ことを強調してはならない。
呼吸トレーニングでは、”吐く・吐ききる” ことが、最初の重要ポイントで、故に、吸えるわけだが、呼吸トレーニングとバレエテクニックを混同すべきではない。
バレエとは、あくまでバレエをする為の技術なのだから。
息を吐きながらプリエするなんて、最悪の自体なのだ!
このように上部肋骨は、ポンプハンドルモーションによって、前後径を拡大させる。
結論:肋間の動きを出す
肋骨がどの方向に広がるのかを知っておくと、肋骨操作だけでなく、腹部や腰背部の筋を活動させるヒントにもなる。
大人の場合、肋間の弾性に欠ける事で、肋骨に動きが足りない事も多い。
その場合は、リリース(胸部側面)で、大きく息を吸い、胸郭を膨らませ、ボールに圧をかける事で、肋間を広げ、動きをだしていくと良い。(注1)
大人は、動きが出にくくなるパーツである。
肋間の動きが出ないと、バレエでは、肩を水平に保つ事に支障が出やすい。
バレエでは強調してはならないが、機能回復の為にも、意識的に吐き出す事をやってみるといい。
信号待ちで1回、やってみよう。
(注1)こちらのテキストに写真入りで掲載されています。
テキスト『リリースエクササイズ』