自ら歩み寄ること。
これが
積極性である。
序論:そのものか「指導言語」か
バレエレッスンにおいての「目線」に関する提案は、指導言語として捉えるべきである。
なぜならば、「目線そのもの」を指していないのにもかかわらず、「目線」という言葉を用いることが非常に多いからである。
本稿では、現場で多く起こる「目線」という指導言語について述べる。
本論:「目線」という指導言語を解明する
本論1:例題1
ピケターン(ピケアンデダーン・ピケトゥール)やシェネのように、進みながら回転をする際、
▶︎「目線」を進行方向に送って!
▶︎進行方向をはっきり「見て!」
という指示が出ることが多い。
一般的な意味で言うならば、「目」がその方向を向けば良い。
▶︎パソコンやスマホを見る
▶︎本を読む
ここで大事なことが、「そのものを目で見ていること」である。
その上で、この場合の「目線・見て!」は、意味がちょっと違うことに着眼したい。
この場合の「目線を送る」或いは「見る」とは、「顔を向けること」である。
顔が進行方向を向いていない状態で、目だけ進行方向を向いてみよう。
「横目」になる。
これは、正しくない。
確かに、目は進行方向を向いているだろう。
その上で、大事なのは “顔が向いていること” であることを思い出して欲しい。
<ここまでのまとめ>
▶︎進みながら回転する動作では、進行方向に顔を向ける。
本論2:例題2
「目線を上げて!」
これは、何を意味しているのか。
この場合、「頭の高さと傾き」の変更を求められている。
頭をそのまま動かさずに、目線を上げると「上目使い」のようになってしまう。
これは、求められたものではなく、正しくない。
▶︎顎の引きすぎ
▶︎頭が前に突き出ている、低い
主に、この2項目の改善を求められている。
試してみよう。
左右の鎖骨の間に、窪みがある。
この窪みに顎を近づけてみよう。
顎を引いた状態になる。
では、顎を窪みから出来るだけ遠ざけてみよう。
この時、首の後側にシワが出来ない範囲にとどめる。
頭の高さも位置も変わる。
<ここまでのまとめ>
▶︎目線と一緒に頭を上げる。
結論:日常でも使う言葉だからこそ
レッスンでは、一般的にも用いられている言葉が「指導言語」として使われることがある。
その場合、一般的な意味と同様なのか、注意が必要である。
アンディオール・ターンアウトのように、日常生活では使わない言葉なら、意識し易いだろう。
一方で、普段から使っている言葉は、それ自体が「当たり前」になってしまっている。
故に、無意識であり、意味が同様なのか疑問を持つこと自体が難しい。
教師が何度も同じことを繰り返し伝えている場合、言葉の意味を疑ってみると、思わぬ発見があるかも知れない。
「目線」に関するものは、「頭の高さや傾き」のチェックをしてみよう。
真意を把握することは、
歩み寄ることでもある。
あなたなら、出来る。