練習の性質と効果的にする為の解説

 

練習にも良し悪しがある。
とは言え、忘れてならないのは
練習しなければ出来るようにはならない
その事実である。

 

序論:練習、されど、練習

練習にも”性質”がある。

バレエに限らず何でもそうだが、反復練習は必要である。

反復練習なしに上達することなど、人間である以上あり得ない。

 

 

バレエレッスンは、それ自体が反復練習になるように構成されている。

アンシェヌマン自体の組み合わせは違っても、毎回、同じ動きを繰り返し練習する。

 

 

あなたは、”反復練習する為の準備”は出来ているだろうか。

それこそが、練習の成果が上がるか否か、今後を左右するのである。

 

本稿では、練習の性質と効果的な練習にする為の解説を述べる。

 

 

 

本論:練習の性質と効果的にする為の解説

本論1:三段階で考える

 

練習することを、”練習”とひとまとめにして捉えることが、多いのではないだろうか。

 

これを性質によって分けて捉えると、効率的かつ効果的な練習に変化する。

分かりやすくする為に、まずは、車に例えて解説をする。

 

 

①エンジンをかける、ギアをいれる…一連の運転という”作業” を学ぶ。

②自分で出来るように、意識して練習する。

③考えなくても出来るように、反復練習する。

 

 

①は、教習所で「エンジンはこのようにしてかけます」、「ギアはこのようにして入れます」という事を、教官に教えてもらって”知る・理解する”

 

 

②では、自分で手順を追い、注意点を加味する事で、正確に車を動かせるようにする。

この段階では、意識して出来るようにする事が練習の目的である。

当然、意識しても出来ない段階から始まる。

そこから、出来る確率を上げていくのが”練習”である。

 

 

③この段階では、音楽を聞いたり、同乗者と会話を楽しむ事が出来るようになる。

考えなくても”車を運転するという作業”が、出来るようになるからである。

それ故に、ヒヤッとする場面もあるかも知れない。

時々、”作業”という基本を思い出す事、意識する事が必要になるだろう。

誤った運転をしない為、事故を起こさない為に。

 

 

 

 

本論2:重要だが、欠けていること

 

本論1をバレエに当てはめながら、解説しよう。

 

 

①は、”先生に習う”になる。

「この動きはこのようにやりますよ」、「ここに気をつけましょう」こうした手順は、あなたも経験済みかと思う。

 

②と③での練習は、性質が異なることに着眼したい。

③は反復練習となるが、②ではそこまで行っていない。

 

 

反復練習を”繰り返し行う練習”と認識していることが多い。

確かにそうだ。

とは言え、反復練習に至るまでに”意識して出来る”ようにせねば、ただ、動きを繰り返すだけになってしまう。

また、意識して出来る段階で目的や要点を押さえておかないと、反復する事で”癖”がついてしまう。(注1)

 

 

バレエレッスン では、②に欠ける事が圧倒的に多い。
(もちろん、反復練習を嫌う場合は、③が欠ける事が多いが)

ここをしっかりと認知すべきである。

 

 

 

逆算してみよう。

 

反復練習が必要な理由とは、考えなくても出来るようにする為。

他の事を考えていたとしても、他の事を取り組んでいたとしても、出来るようにする為。

 

 

 

例えば

「今日の晩ご飯は、何を食べようかな」と思っていても、つま先を伸ばすべきは伸ばす、が出来るようにする為。

「今日は、タンジュで骨盤に気をつけよう」と思っていても、つま先を伸ばすべきは伸ばす、が出来るようにする為。

 

 

これを実現する為に、「脳からの指令が届く事」が必要である。

他の事を考えていたとしても、「この時は、つま先を伸ばします」と、指令を自動的に出してくれるシステムを構築する。

 

 

脳からの指令が出なければ、体は反応しない。

このシステムこそ、②で作っていくものである。

③では、そのシステムを強固にする為に、確認作業として反復するだけに過ぎない。

 

このシステムは特に、大人にとって重要であると心得よう。

 

 

 

結論:良い練習とは

反復練習を効果的かつ実りあるものにする為に、”脳からの指令が出る” これを、②で構築する事がポイントとなる。

 

そして、指令が適切なものか、指令が出やすい内容であるか、これも重要だ。

 

物事は全体を捉えるべきだが、

個々の問題を全体で捉えるべきではない。

 

問題解決や改善を望む時、全体で捉えすぎである。

個々の問題を”アンディオール”や”引き上げ”で解決を望むべきではない。

 

 

これらは、バレエ全体を構成する要素である。

基礎でもなければ、基本でもない。

しかも、複合的すぎる。

具体性に欠けると指令は出にくく、指令として捉えにくい。

結果的に、体の反応が鈍くなってしまうのだ。

 

 

まとめをしよう。

 

練習と一口に言っても、②と③では性質や目的が異なる。

今行っている練習は、それぞれどちらに当てはまるのか、あなたの課題と照らし合わせてみよう。

 

 

暗闇を彷徨うかのような練習は、何か足りないものがある。

良い練習とは、電灯がある明るい道を歩いている。

明るい道を歩いていれば、間違ったとしても、その間違いに気づく事が出来る。

 

1つ1つ、歩んでみよう。
1つ1つ、”で” いい。
1つ1つ、”が” いい。

 

 

注1:「癖がつくから基本動作が出来るようになるまで、次に進むべきではない」という意味ではない。
以前から述べているように、全体を把握する為に”大枠”を捉えることは重要である。
ここでは、次の段階について述べている。

 

 

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