筋力や可動範囲ともに、どのくらいあるべきか。
それは、レッスンの強度・内容・個々の骨格や体型にもよりますので、画一化した答えを出すことはできません。
そして、数字のように出せるものでもありません。
今よりも、強度が高いこと(クラス)にチャレンジしたい、バリエーションを踊りたい、テクニカルなことをできるようにしたい、何かをできるようにしたい…
現状よりも、筋力や可動範囲を必要とすることでしょう。
同じことをするにしても、身長が高い・低い。
これだけでも、どのくらい「必要とするか」は違ってきます。
もちろん、それぞれの現状によっても変わります。
その上で。
バレエをするのであれば、「バレエに必要とする筋力・可動範囲を持っている」だけでは、実は足りないんです。
その理由をちょっと探っていきましょう。
バレエは常に「コントロール」をすることで、動作を成立させていきます。
一見、当たり前のようですが、コントロールをする、ということは、ただ力を発揮したり大きく動かすこととは、まるで違います。
あなたが今持っている、筋力・可動範囲を限界まで使って動いたら、動きや体をコントロールすることができません。
バレエは非常に知的なものです。
バレエを踊るために必要なパワーや可動域に留まっている、それが、形式・様式を逸脱してしまう原因の1つとなっているかも知れません。
ここからが重要です。
バレエで本当は大切なのに知られていないこと、バレエを踊るために要求される能力とは、
「バレエに必要とする筋力・可動範囲 プラスα」です。
プラスαを持っているからこその、「バレエに必要とする筋力・可動範囲の境界線にまで制限をかける」ことが、バレエレッスンに欲しいポイントです。
バレエ自体は、能力として「プラスα」を持っていることが、前提として構成されています。
この「プラスα」は、今の自分の能力よりも困難なものにチャレンジする時、疲労している時などに、力を発揮します。
また、この「プラスα」を余力として、新たな改善ポイントだったり、課題に注力することができます。
先ほどのコントロールの話に戻すと、限界・限度の「プラスα」まで、筋力・可動範囲を敢えて活用しないという選択肢を持てるようになると、コントロールとは?がわかりやすくなります。
「手前」でコントロールするからこそ、安全に踊ることも可能となります。
この「プラスα」がない状態では、余力にかけるため、怪我や技術的ミスなどのリスクが高くなります。
私たちは、この「プラスα」を「保険」と呼んでいます。
まずは、この「保険」を手に入れることが先決ですが、可能となったら、レッスンでは「バレエに必要とする境界線」に調整します。
つまり、制限をかけていくということです。
結果として生まれた余力は、課題に向けて活用しましょう。
保険をどのように手に入れるか、手段は様々あります。
フロアワークだから保険が手に入る、そうとも言えません。
レッスンをする前に保険がないと…、レッスン自体で保険を作ることももちろんできます。
ちなみに、人間のカラダの部位で、”絶対に”保険の部分を大きく持っておかないと、バレエでの怪我、クオリティの部分、いろんな悪影響がでてしまう箇所が『2箇所』あります。
さて、どこでしょう??