5番に始まり、5番に終わる。
バレエポジションでは、コンパクトさが要求されます。
この記事では、分厚い5番になってしまう、よりコンパクトな5番を目指すケースでのポイントについてお伝えします。
まず、5番ポジションについて整理しましょう。
“5番ポジションで大切なこと=アンディオール、ターンアウト“
あるいは
“アンディオールやターンアウトできれば、5番に入れる“
といった安易でモヤっとした考えは禁物です。
今日からは、もっと具体性に富んだビジョンを持ちましょう。
- 5番ポジションはコンパクトに
- 側方から見たとき、できるだけ「薄く」
- 少しずつ、厚みを減らしていくことで
- コンパクトさを実現する
ここに関しては、支持基底面と重心の関係が大きく影響しています。
お持ちの方は、テキスト30、31ページを参照いただくことで理解が深まります。
電子書籍『大人のバレエ なぜ上達しない』コンパクトな5番にするために必要なこと
もちろん、脚を外向きにする以上、股関節の可動は必要です。
ただ、5番が分厚い人の場合、股関節以上に問題となる可動域があります。
「足首」です。
だって「足首で開くな!」っていうじゃない?
この言葉の意味を正確に理解する必要があります。
「足首で開くな!」の言葉を詳しくすると、次のようになります。
- 足首【だけで】
- 足首にわざわざ体重を多くかけるような立ち方をし
- バレエのルールや前提をおざなりにするな
バレエポジション自体、股関節【だけ】で作れるものではありません。
股関節、膝、足首、足といったとても多くの関節を可動することで形成されています。
特に、5番ポジションでは足首の可動がポイントとなることは、体のことをちょっと勉強すれば耳にすることです。
とはいえ「足首で開きなさい」という言い方はしません。
それをしない理由が、②に当てはまります。
初心者の方が、無理矢理爪先を真横に開こうとすると、足首に多くの体重がかかってしまうため、捻挫などの危険が出てきます。
足首を強調しないのは、こうした理由があるのです。
“なんちゃってバレエポジション“の見分け方
ところで、あなたは「足首に体重がかかった状態」というのが、良くわからないかもしれません。
大丈夫、足首にかかっている重さを測定することはできなくても、あなたは「フォーム」によって見分けることができるのです。
- 骨盤がタックアンダーし
- 膝が曲がり(緩み)
- 1番なら脚と脚の間がガバガバと離れている
- 5番なら膝が曲がることで、つま先より前に膝が突き出ている
- 頭が突き出て
- お腹が突き出て
- ピシッ!と立っているように見えない
- いわゆる姿勢不良
イメージしてみてください。
例えば、目の前を通り過ぎた“見るからに運動不足そうな人“に、「つま先を真横に向けて立ってください」と言ってみたとしましょう。
ほぼ、間違いなくこの姿勢を取ります。
この状態は、確実に足首に重さがかかってしまっています。
それだけでなく、膝も危険な状態と言えます。
特に、膝が曲がっているのは、あなたが思うよりずっと大きな問題です。
膝がしっかり伸びている場合、言い方を変えると、足首に不必要に重さが掛かるほど極端につま先を開いたり、極端な姿勢不良にはならないからです。
もちろん、理想系とまではいきませんが、膝をしっかり伸ばしていれば、体やテクニックに支障が出るほど極端な可動ができないのです。(もしできるなら、相当可動域が広い)
そうしたこともあり、先ほどの③に当たるバレエルールや前提が重要になるのです。
1番ポジションでの脚の隙間をつける重要性に関しては、先ほどのテキスト13、14、15ページに掲載されてるよ。
行動の癖を知っておく有意性
足首の可動域やその重要性については、認識できましたか?
分厚い5番になってしまう人が、なぜ足首の可動域を失ってしまうのか。
「生まれつき」ではありません。
ここに関しては、バレエ特有の可動域ではなく、人がもともと持っている可動域があれば、正しいレッスンで広げていくことが可能です。
そもそも持っているはずの可動域を失うことによって、足首はカマアシを生み出し、必要な分開くことができず、分厚い5番を形成してしまうのです。
原因は「外側荷重」です。
足の外側(コユビ側)に多く体重をかけてしまうことで、正しい立ち方がわかったとしても、体が動かないという現象を作ってしまっています。
“知らない→できない“ “知っている→できない“
それぞれ対策が異なるよ。
「均等にかける」の落とし穴
「オヤユビ側とコユビ側に均等に体重をかけよう」
そう思うかもしれません。
ここにこそ、大きな落とし穴があります。
体オタクになるほど、こうしたことばかり気にするタイプに限って、思っていることと言っていることが真逆なケースを数多くみてきました。
それには、原因があります。
人は、その構造上「オヤユビ側とコユビ側に均等に体重をかけよう」と思った時、コユビ側、つまり外側荷重をしてしまいます。
これは、くるぶしの位置が関係しているのですが、「コユビ側に体重がかかりやすい」ということがわかっていればいいでしょう。
人は「A」と思って「A」という行動をするとは限りません。
むしろ「A」と思って「B」をしていることの方が多い。
さらに「A」と思って「B」をしているが、自分では「C」と思っている場合もある。
これは、確実に覚えておきましょう。
ここを認められないと、先生から指摘されても、本当の意味で受け入れることができません。
人間というのは、思ったことと異なるアクションをしやすいということを覚えておきましょう。
ここでいうと、「オヤユビ側とコユビ側に均等にかけよう」が「A」になります。
ですが、この場合、ほぼ全員が「コユビ側にかかりすぎる」という「B」を引き起こします。
さらに、本人は外足にかけ過ぎていることに気づかず、「A」だと思っていることが多い。
なので、「外側に体重がかかり過ぎてますよ」と言われてもピンとこないし、自分のことだと思えない、受け入れられない。
という悪循環に陥りやすいのです。
先生とのコミュニケーションにも影響が出るね。
普段から意識したいこと
- 姿勢を正す
- 膝を伸ばす
- 内側に多めに体重をかける
最初の2つを絶対に守ること。
それがあれば、極端な間違いを確実に避けることができます。
日常でもこの立ち方をすることで、体が引き上がりいわゆる「集める力」が働いていることがわかるはずです。
もちろん、バレエポジションでも同様です。
失った可動域を回復させましょう。
コンパクトな5番を目指しましょう。
内側荷重の意識が重要な理由を認識し、日常から意識しましょう。
また、あなたが本来持っている足首の可動域を回復させ、正しく5番を作りましょう。
- バレエポジションは、股関節だけで作られているわけではないことを認識しましょう。
- 5番ポジションにおいての足首可動の必要性を知りましょう。
- 思考と実際の違いを理解した上でアクションを起こしましょう。
内側荷重を徹底する
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