真面目な人、一生懸命な人、上達を目指す人が一度ならずとも経験すること。
それが「注意することがたくさんありすぎて、頭がパンパン」
これ、実はいいことです。
何をすべきかを把握できる能力があるってことですから。
その上で、少しずつでいいから自動化すること(反射的に複数のことがセットになってできること)が必要になってきます。
その方が、実際の動作にも反映しやすく、効率的、次のステップへと進められます。
大人が特に意識したい「効率化」今日はその話。
上達する人の楽しみ方『点の収集』
点と線。
点がたくさん集まって繋げることで、線にすることができます。
人は、出来上がった線にばかり目を向けて、「この線はいい」だの「この線は悪い」だの言いがちです。
線の前に「点」があることを忘れて、線ばかり欲しがるのです。
これでは、点どころか線を手に入れることはできません。
線にするには、線を構成できるくらいの点が必要なのです。
例えば、バットマンタンジュでのよく伸びた脚と足。
- よく伸びた膝
- よく伸びた足首
- よく伸びた足指
こうした[点]がなければ、実現できません。
タンジュで伸びない脚(足)は、ロンドゥジャンブアテールでもグランバットマンでも伸びないでしょう。
この場合、まず取得すべきは[よく伸びた脚と足]という線ではなく、
▶︎よく伸びた膝
▶︎よく伸びた足首
▶︎よく伸びた足指
という、最低でも3つの「点」です。
最初は、独立した状態でこの点を獲得します。
最初は、“足首はなかなか伸びないけれど、膝は伸びるようになった” とか “足指はまだまだ癖がついているけれど、足首は伸びるようになった” というように、1つ1つでいいのです。
1つ1つでいいから、どうしたら伸ばせるのかという方法を知っておくこと、やってみることが大切です。
先生からみると足指が伸びているように見えない。
とても、気になる。
けれど、あなたにとっては足指より優先したいことがある。
経験や習得の差が歴然としている状況では、こうした「差」があるのは当たり前です。
ただ、あなたが上達するに従って、先生が気になることとあなたが気になることが近づいてくる日がきます。
その時に、何をすべきかがわかっていることが大切なのです。
今すぐやるかやらないか。
そこで選択するのも1つ。
ですが、バレエの場合「今」だけで考えていると、全体像をみるチャンスを失いやすいのも事実。
「今やる」という選択が今のあなたになかったとしても、知っておくことで「落ちてくる葡萄に気づくチャンス」はぐっと近づきます。
そういう意味でも、点はできるだけ集めておくのに越したことはありません。
例え、今できなくても。今やらなくても。
点を収集することが楽しみな人に、成長しない人はいません。
今すぐ使わなかったとしても、点を収集しておくことが上達へのポイント!
習得効率を上げるフォルダ化
ここからは、点を収集するだけでなく、実際のバレエレッスンで【より】使えるように、フォルダを作っておきましょう!という話。
これが「線」にあたる部分です。
1つ1つのファイル(点)をそのまま保存しておいてもいい。
でも、[バットマン・タンジュで脚と足を伸ばす]という時、今のままだと最低でも3つのファイルを探し、開かねばなりません。
そう、これです。
- よく伸びた膝
- よく伸びた足首
- よく伸びた足指
この3つのファイルを集めて1つのフォルダにします。
要するに「線」です。
【脚と足を伸ばすフォルダ】にしちゃえば、これ1つで済みます。
バレエレッスンでは、とにかくやることがたくさんあります。
- 動きの順番は?
- カウントは?
- 引き上げやアンディオールは?つま先は?
- 先週先生に注意されたことはなんだっけ?
- さっき先生に注意されたことは?
これが、それぞれのステップで気をつけないとならないとしたらどうでしょう?
“トンベパドブレ・グリッサード・グランパドシャ” のなかに、一体、いくつ“気をつけなけらばならないことがあるんだ!” って話になります。
そして、そう思っているうちは「全てが思うようにいかず、イライラし、自己嫌悪に陥る」なんて事態を招きます。
だから、フォルダが必要なのです。
点を集めたら、線にしていく。
複数のファイルをフォルダにして効率化を図る。
体だって、同じことなのです。
要するに、反射的にそうなるようにシステム化するんだ。
効率化の手順
[脚と足を伸ばす]をレッスンでできるよう、効率化するための手順を整理しましょう。
- 点の獲得
↪︎膝・足首・足指を伸ばすことを、それぞれ単独でできるようにする - 線につなぐ
- 実際に使ってみる
こうしてみると、点をただ並べればいつの間にか線になるような印象がありますが、実際には違います。
そこには、体の協調性や調和が求められます。
点は並べただけでは線にならず、そこに「糸」を通す必要があるのです。
それが、協調性や調和にあたる部分になります。
例えば、つま先を伸ばそうとすると膝は曲がりやすい。
これを制御するのです。
それを学ぶのが、点を線にするということ。
そうすることで、これまでよりもずっとレッスンに反映しやすくなるのです。
ここまでやってみよう:セルフエクササイズ
脚を伸ばす『点』である「膝を伸ばす」をやりましょう。
ここで欲しいのは、体重をかけて突っ張り棒のようにした膝の伸ばし方ではなく、きちんと筋肉を活動させ伸ばされた膝です。
体重がかかっている脚(支持脚)だと前者が起こりやすいので、ここでは、体重がかからない状況で膝を伸ばすことをやりましょう。
- 長座6番になり、背筋を伸ばす。
- お腹に緊張感を持つ。
- フレックスで膝を伸ばす。
- 一度、リセットしポイントで再び膝を伸ばす。
1番ポジションや5番ポジションでもやってみましょう。
まとめ
実際のレッスンにより反映しやすい方法がわかりました。
この記事で取り上げた脚と足を伸ばすこと、点を線にしていくことを実際にワークショップで行います。
膝・足首・つま先が伸びにくい方のみならず、現状より美しいレッグラインにしたい方、普段は伸びているけれど気が抜けると伸びなくなってしまう方など、ぜひご参加ください。
ここまでをまとめましょう。
- まずは、点を獲得しましょう。できるだけ多いに越したことはありません。今すぐできなくても、今気になる項目でなくても構いません。
- 点を線に繋ぐことで、体と頭脳の効率化を図れます。
- 線にするためには繋ぐ必要があります。繋ぐ作業をすることで、動きの自動化をすることができます。
- 点を線にすることは、より実践的に近づけます。
ファーストステップ♪
今日中にセルフエクササイズを3回はやっておこう!