おニャーさんが思ったこと、感じたことをお伝えするエッセイ。今日は、大人バレエにとって、大切なことについてお話しします。
似ているけれど違う
スポーツと体育。
体を動かすという点では共通しています。けれども、似て非なるものです。
個人的には、同じ意味として使われてしまっていることに、ちょっと残念な思いを抱いています。
競技について思うこと
スポーツ、競技。技を競うものです。さまざまな解釈があるのは理解しています。
その上で、スポーツはあくまで技を競うものなワケで、体に良いとか悪いとか、そんなところから議論するのは、そもそも、スポーツがなんたるかを考えていないような気がしています。
体育について思うこと
一方で体育は、「体を育む」と書きます。技を競うのではなく、健康で健全な体と思考を持てるように育てる。学校の科目は体育です。ですが、個人的には、体育というより「スポーツ」という科目になってしまっている印象があります。
運動不足ではない?
競技というのは、決して体にいいものではありません。技を競って勝つために進化してきたものなのですから、それは当然ですし、それ自体が悪いことではありません。
一方で、問題になることは、競技そのものではなく「スポーツをしている=運動不足ではない」と勝手に解釈してしまうことにあります。競技というのは、偏った動きばかりを行う傾向があります。運動不足の人よりも、体の機能が偏っていることもあります。
ところが、本人はスポーツをしているので、全く活動していない筋肉や関節があるなんて、思ってもいないのです。ここが問題点なのです。
バレエは?
バレエの場合、一般的には競技というカテゴリには入りません。けれども、競技か体育かどちらかに分けるとするならば、競技です。つまり、体を育むことが目的ではありません。
ですから、”バレエをしていれば運動不足や筋力不足にならない” ということではありません。
バレエをしているがために、特定の筋力不足に陥っているケースはたくさんあります。それが老化を急速に悪化させ、ケガにつながるケースが大変多いのです。ところが、本人の自覚がない。うまくいかない原因ははっきりしているのに、「なぜ、上手くならないのか」と質問を受けても、困ってしまいます。
10代との違い
バレエに限ったことではありませんが、ティーンエイジャーだったら、体育の能力がなくても、バレエやそのほかのスポーツで優秀な成績を納めることは可能です。正しいからできるとは限りません。正しくないからこそ、できてしまうことはたくさんあります。
もちろん、そのままにしておけば、必ず、ケガに悩まされるようになるでしょう。けれども、踊れないわけではありませんし、プロになることだって可能です。
一方で大人の場合は、体育の能力が低いと、上達という意味では行き詰まります。というより、上達できません。ここが、体が小さく、体重も軽い子供とは違うところなのです。
きちんとしていれば伸びる
これまでお話ししたことを前提に、大人ならではの「特典」があります。
子供の場合は、必ずしも、体育の能力があり、日頃からきちんとした生活を送り、レッスンでも努力している子が報われるとは限りません。
大人の場合は、子供と比べると「これらがしっかりしている人」は、必ず成長します。もし、伸び悩んでいるならば、いずれかを穴埋めした方がいいですよ!という合図なのです。
あとは、本人が認めることができるかにかかっています。ここが、最も難しいところです。
当たり前のことを見直そう!
特別なことよりも、当たり前のことを見直すことが、バレエ上達への最も近道になります。
姿勢を良くする、テキパキと動く、頭を使う。当たり前のことではありますが、現代に置いて3つ揃う人はほとんどいません。
生活できているから問題ないワ!と思う前に、いつもより1ミリ気をつけてみましょう。バレエ上達と長く踊るためのコツです。
今日、1つだけでも気をつけてみませんか?
体育の能力というのは、学校での体育の授業で良くできるだとか、そういうことではありません。日常生活をしっかりと送ることで、本来、身につくはずの能力のことを指しています。