大抵の動作に共通すること。
その1つが「プリエに始まり、プリエに終わる」ということでしょう。
プリエは、アラベスクなどのように、プリエ自体を美しい形として見せるものではありません。
プリエに続く動作を生み出し、その動作による衝撃を緩衝し、美しいランディングへと導くのです。
つまり、100%機能性のために存在していると言っても過言ではありません。
それは、バレエ動作の機能でもあり、体の機能でもあるのです。
機能が失われたら、何も役目は果たせない
美しくないだけならともかくとしても、機能性に問題が発生すると動きそのものが成立しません。
▷ドライヤーの塗装が剥がれても、髪を乾かすという役割は果たせるが
→髪を乾かすという機能を失えば、ドライヤーとしての役目は果たせない。
▷靴が汚れても、足を保護するという役割は果たせるが
→ソールが剥がれてしまったら、靴としての役目は果たせない。
▷バックの装飾が取れても、バッグとしての役割は果たせるが
→穴が空いてしまったら、バッグとしての役割は果たせない。
機能というのは、「それそのもの」なのです。
装飾的な美しさであっても、機能があってこその話。
プリエはここにあたる、とても重要な動作なのです。
美しく、正しく、だけでは不十分。
抜群の機能性がほしい。
そして、抜群の機能性を兼ね備えたプリエこそが、美しく、正しいプリエなのです。
もしかしたら、あなたは進んでいるのかも
大人を対象にしたクラスの場合、機能性に関することよりも、“ステップの把握・アンシェヌマンの順番・場所の移動” など、レッスンを受けるにあたっての【エチケット的要素】に関するサジェスチョンが多くなります。
なぜでしょう?
答えは簡単です。
もちろん、あなたのためというのはあります。
その上で、これらのことができないと、クラス自体が存在できなくなってしまうから。
クラスが成立しない状況というのは、あなたにとっても避けるべき状況ですし、あなた自身もここはクリアする必要があるのです。
これらは、バレエ要素というよりかはエチケットに近いものがあります。
例えば、咳をするときには手で口を塞ぐ。
これも、エチケットですね。
もし、あなたが食事をしている時、目の前の人が豪快に咳やくしゃみをしたら?
あなたの顔や食事には、その人の飛沫がたくさん入っていたら?
順番を覚える、指定の場所に移動する。
これらは「先生に言われたから」というよりも「レッスンで事故が起きないため、安全に遂行するため、充実したレッスンにするため」に必要なことなのです。
そう考えると、あなたがもし「プリエが抜けてるよ!」と指摘を受けているのならば、次のフェーズには入れているのでしょう。
なかなか立派なことです。
それらをクリアした上で、つぎの段階に進んでいるということですから。
プリエが抜けているという「背景」を知るとシンプル
では、「プリエが抜けている」原因・背景を整理しましょう。
チェックしたいのは、大きく2つ。
▶︎姿勢崩壊していないか
▶︎土台崩壊していないか
要するに、抜けたプリエとは形が崩れているということ。
ここ、押さえましょう。
まず、プリエをする際に姿勢が崩れてしまう例。
- おしりを突き出してしまう。
- 胸を突き出し、腰が反ってしまう。
- 頭が垂れてしまう。
- お腹が緩み、出てしまう。
- 手先がぶら下がってしまう。
特に、太腿とお腹の距離が近くなる形で、脚の付け根前側をくの字に曲げてしまうと、抜けたプリエまっしぐらです。
次に、土台が崩壊してしまうとは、どんな状況のことを言っているのか整理しましょう。
土台になるので、脚や足に関することになります。
例えば、プリエをすると同時にフットがロールインしてしまい、太腿が滑っている状態になってしまう。
あるいは、「集める力」が抜けてしまう。
プリエというのは、次の動作を生み出すわけですから、エネルギーを蓄える必要があります。
バネを縮こませてエネルギーを貯めることで、手を離すと一気に飛び上がるのと同じです。
集める力が抜けてしまうと、次の動作を生み出すだけのエネルギーを貯めることができません。
つまり、プリエとしての機能がなくなってしまうのです。
最初にお話しした、ドライヤーや靴やバッグの話を、もう一度思い出してみましょう。
機能がないと、それ自体の存在が危うくなってしまうのです。
機能的なプリエをするために見直しておきたいこと
セルフでも可能な機能的プリエチェック。
まず、フット編。
- 膝とつま先の方向は適切ですか?
- プリエをした時の骨盤の位置は適切ですか?
大人に多いのは、プリエをしたときに、フットの上方に骨盤が残っていること。
ここが適切でないと、膝とつま先の位置も取れません。
さらに、プリエが抜けていると、どこまででも深いプリエになってしまいます。
▶︎深いプリエが、グッドプリエ(機能的な正しいプリエ)とは限らない
思い込みがあったら、しっかり見直すと「プリエが抜けてる!」から脱出できる可能性があります。
もう一つ、とてもとても重要な土台は【脛】
脛の力が抜けていると「プリエが抜けている」文字通りになってしまいます。
脛はプリエをしている時も集め続けています。
ここではプリエについて述べてはいませんが、プリエの時も脛を集め続けるのです。
「集め続ける」の意味、あなたならピンッときたはずです。
ここまでは、セルフでも確認できます。
「難しく確認できないよ!」という正直者のあなたは、意識したり、着眼するところから始めてみましょう。
できているのかいないのかより、「フットはどうかな?脛はどうかな?」とあなた自身に問いかけてあげればいいのです。
気にするということが大事。
できていないのに「できている」と判断するより、よっぽどいい。
さあ、そこから先は、私たち教師の出番です。
大丈夫です、ワークショップでしっかりみますから!
まとめ
プリエについて知っておきたい概要、抜けているプリエの正体がわかりました。
機能が全てと言っても良いくらいの動作だけに、改善の兆しが見えると、実にさまざまな項目へと良い影響を与えます。
JBPでは、脛の活用について1月WSで特集します。
抜けない機能的なプリエ、深けりゃいいってものではない、バレエの形式を守ったプリエを実現しましょう。
ここまでをまとめます。
- プリエは、機能が全てと言っても過言ではないほど、機能性が重要です。
- プリエがなければ動作を生み出すことも、終えることもできません。
- プリエが抜ける背景には、姿勢と土台の崩壊があります。
あなたにクエスチョン♪
プリエが抜ける原因は、姿勢の崩壊と何?