手指が全身に与える影響:年齢を重ねる私たちに必要なこと

方程式

「手指に力が入らない、手指のコントロールができない」

これらは、全身が弱い、コントロールができていないことを意味しています。

”手指に力が入らないのに、脚や体幹は強い” ということはないのです。

つまり、末梢(ここでいう手指)の活動レベルが低いということは、それ以外のパーツの活動レベルも低いということ。

歳を重ねていく私たちが知っておきたいこと、大人を指導する先生に知って欲しいことをまとめました。

老化とバレエ

”老い”というと、良い印象ではないかもしれません。

ですが、あなたの人生ダイアリーが増えていくということ。

良きにするか、そうではないのかは、あなた次第。

ここでは、老いることで見られる現象について、一般的に言われていることとバレエとの関係を交えてわかりやすく解説します。

指先に力が入らない

一般的に歳をとっていくと指先に力が入りにくくなる傾向があります。

  • モノが掴みにくい、落としやすい
  • 蛇口や蓋が開けにくい、閉めにくい

指先の運動が脳に影響を与えることは、以前から知られています。

その為、指先を動かすことが推奨されていますが、目的は年齢によってことなります。

  • 老人は、脳や体の機能低下を防止するために
  • 幼児は、脳や体の機能向上のために

青年期と違って成人以降は、何もしなければ体は衰えていきます。

青年期のように特別なことをしなくても筋肉がついて、筋力もつくという時期ではありません。

特別に意識し、活動することで[やっと維持]できるのが現状です。

もちろん、維持を超えて向上するケースも珍しくありません。

指先に力が入らなくなるという現象も、老化と切っては切れない関係にあります。

バレエでも多く見受けられる

この老化現象は、バレエレッスンでもとても多く見受けられます。

しかも、レッスンを続けることによって、加速度的に悪化させてしまっている可能性すらあります。

指先が常にベロンベロンに抜けていて、力が入らない。

最も避けるべきことですが、とても多いのが実情です。

先生に持って欲しい危機感

確かにバレエポジションとしての指先は、ガチガチに力が入っているモノではありません。

先生が「リラックスして!力を抜いて!」と言いたくなる気持ちは、じゅうぶん過ぎるほど理解できます。

その上で、バレエポジションは【コントロールされたもの】です。


上辺だけの “サルマネ” させようとすると、ただ力が入っていないだけになってしまいます。

コントロールできない状況下で「リラックスして!力を抜いて!」と言われた場合、必要なパワーも含めて一気に脱力してしまいます。

適度にリラックス、適度に筋緊張、必要な形をとる。

これは、先生が思うよりずっと高度なオペレーションです。

幼児期から訓練を重ねた先生が「呼吸をするようにできること=簡単なこと、誰でもできること」ではありません。

先生と生徒の方法が異なるのは当然で、むしろ同じではおかしいのです。

生徒さんがすべき課題を提供できる【勇気】をもった教師が増えることを願います。

指先に力が入らないと何がいけないのか

指先は日常生活でしっかり使っていると思いがちです。

ペンを持つ、箸を持つ、パソコンやスマホを使う…

ですが、思いのほか “しっかりと手の筋肉を使って” 動かしていないものです。

指先に力が入らないと、どのようなことが考えられるのでしょう。

  • 全身の機能低下
  • 脳神経活動の減少
  • 運動方程式が崩れる

1つずつは話が難しくなるので解説しません。

なんとなくでもいいのです。

指先をしっかり動かすことをしないと、何かと支障が出るということは把握しておきましょう。

バレエポジションへのプロセス

バレエポジションで作る手指のポジション・形を取れるようになるまでの【プロセス】があります。

  • START
    手指に力が入らない、気づくと抜ける、思い通りに動かせない。
  • STEP1
    手指に目一杯、力をいれることができる。習慣になる。
  • STEP2
    ある動きや形を作るための適切な力加減を学習する。
  • STEP3
    バレエポジションをとる力加減・手指コントロールができる。
    *どの関節を、どのくらい、どの方向に動かすか など。
  • STEP4
    ポールドブラとして活用できる。力や形の調整ができる。

先生に知って欲しいこと

【START】にいる大人の生徒たち。

ポジションを作ろうとして、指先に目一杯の力が入りました。

このとき、バレエ教師は「リラックスして!力を抜いて!」と言いたくなります。

そして、いきなり【STEP4】を求めます。

これは、正当な指導です。

「バレエ教師=バレエを教える人」ですから。

その上で、現代人はバレエをそのまま習えるだけの体の機能は持ち合わせていないことも知っておきましょう。

そうした事情もあり、私たちは「バレエ+α」を考えなくてはなりません。

いきなり、完成形を求めると生徒の老化現象を加速させてしまう恐れがあります。

実際に、そうなっています。

大人は、「特別なことをしなくても体が発達していく」子供たちとは違うのです。

まとめ

バレエができる体で、バレエに対応できる。

誰もがそうではありません。

必要なことを工夫し、絶対に譲れないことは何かを整理しましょう。

どんなプロセスで、今どこにいるのかがわかると、言語が通じるようになるね!

【参考:大人に必要なアンシェヌマン】

【Thank you】


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あなたが基準に沿ってレッスンすることは、安全で適切な基準と方法を提供することにつながります!

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